某日某所。
インタビュアー藤井徹貫氏と我々の前に“待ち人＝小室哲哉”が時間通りに現れた。
精力的に音楽活動をしていないにもかかわらず、現役そのままの姿で登場した彼を見て、オリジナル・アルバムの広告で使われたキーワード＜超人＞という言葉を思い出した。
おもむろにソファに腰を掛け、早々に徹貫氏もインタビューの準備を始める。

小室さんの第一声が「何について話せばいいんだっけ？」、「デジタリアンについてですよ。」徹貫氏が即答。そしてインタビューが始まった。

※下記、太字部分“商品ブックレット”掲載より抜粋

「インタビュー直前、小室哲哉は30年以上前の、初のソロ・アルバム『Digitalian is eating breakfast』を手に取り、懐かしそうにジャケットを眺めた。」

記憶を呼び起こしているのか？当時湧き上がっていた感情を抑えているのか？シングルとアルバム・ジャケットを見る小室さんの穏やかな表情からは、なんとも読み取れない。
最初に話す言葉がどういうものなのかを集中して待っていた。
我々のテーブルに注文されたアイスコーヒーが届けられたが、口をつけることもできなかった。
そして、シーラ・ロックの写真について語り始めた。
写真自体もそうであるが彼女とのフォトセッションが小室さんにとって、記憶に残るとても有意義な機会だったことが発言を通じて強く伝わってきた。

「この写真を撮ってくれたのがシーラ・ロックでした。セックス・ピストルズとか、ブリティッシュパンクの写真で有名な女性フォトグラファー。彼女でなければ、こんな素敵な写真は撮ってもらえなかったでしょうね。今でも感謝しています。」

シーラに関しての発言はまだ続くのだが、それはブックレットでぜひお楽しみください。

インタビューは続く。

インタビュアー藤井徹貫氏とは深い関わりがあり、インタビューのスタートから構えることもなくリラックスした様子。
アーティストとしての佇まいは当時と変わることなく、むしろさらに鋭さを纏ったように見受けられた。

話しの内容が、アルバムリリース当時（1980年代）のことに及ぶ。
今の視点で小室さんは次のような発言をされた。

「80年代は、2020年の現在よりも、音楽シーンでの日本の存在感は格段に薄かったし。日本のアーティストは下に見られていたし。欧米での成功は、道すら見えない時代でしたから。そういう中でも、自分の居場所を自分なりに確保してきたのかな、とも思いますね。」

二人の対話に引き込まれ集中しているせいか、時間の経過がまったくわからない。あとどのくらいインタビュー時間があるのか？あとどれくらい話してくれるのか？まだまだ聞きたいことはある。
そんな中、ソロ・ツアーの話になった。

「ソロ・ライブをやっておいて、今さら言うのも変だけど、もともと（ステージの）センターは苦手なんだよね。だから、ソロ・ツアーも苦労した思い出があります。どう立ち振る舞えばいいのかも含めて。」

気が付けばインタビューは終了。決めカット写真の撮影を行い予定時間を全うした。

すこしの間、雑談。PS5のこと、現在と将来の情報テクノロジーのこと、小室さんが見据えた今後のメディア論など話を聞くにつけ、あらためて小室さんの情報量の多さと未来を予知する力に触れ、この日の登場時に思い出した＜超人＞というキーワードが再び頭をよぎった。

「Digitalian is eating breakfast4」の可能性について、徹貫氏がインタビュー時に尋ねそれに対しての小室さんの率直な答えがあった。これもブックレットでぜひ読みいただけると幸いです。（ファンの皆様すみません。）

用意されていたアイスコーヒーを、我々一気に飲み干すとともに小室さん退室。

スタッフの立場でこういう発言は不適切かもしれませんが、夢のような2時間でした。

とにかく意欲的で前向きで、輝き続ける小室さんとの時を共にしたことは、とても光栄で幸せでございました。

あらためて「音楽家＝小室哲哉」の神髄を感じたインタビューでした。

また小室さんとお会いできることを願いつつ、小室さん、徹貫さんに心から感謝いたします。

『Digitalian is eating breakfast Special Edition』プロジェクトスタッフ

撮影：島田香

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