REPORT|ライヴ・フィルム『REBECCA BLOND SAURUS TOUR '89 in BIG EGG -Complete Edition-』(5.1ch HDリマスター)一日限定プレミアム上映 #110107eiga

REPORT


●EVENTレポート
『REBECCA BLOND SAURUS TOUR '89 in BIG EGG
-Complete Edition-』一日限定プレミアム上映
2019年9月23日(月・祝)@新宿バルト9 <スクリーン9>
#110107eiga


 1984年にメジャーデビューし、紅一点NOKKOのキュートでパワフルなヴォーカルやファッションが話題を呼び大ブレイクした伝説のロックバンド、REBECCA。人気絶頂の1989年7月17日に東京ドームで行なわれた感動ライヴの映像が5.1chリマスター版『REBECCA BLOND SAURUS TOUR ’89 in BIG EGG-Complete Edition-』として生まれ変わり、9月23日(祝)全国16都市26劇場にて一夜限りのプレミア上映が行なわれた。

 1989年7月17日に行われたREBECCA初の東京ドームライヴは『BLOND SAURUS in BIG EGG』として1990年1月のREBECCA活動休止宣言を受けて、2月にVHS・LD発売された。東京ドームでのステージでは18曲が演奏されたが、残念ながら当時発売された『BLOND SAURUS in BIG EGG』には10曲しか収録されなかった。

 その後DVD化はされたものの、ライヴ全編のパッケージ化を希望する声も多く寄せられていたが実現に至らなかった。もはや伝説となったライヴから30年が経過した2019年、映像撮影カメラ素材と演奏を記録したマルチテープが奇跡的に良好な状態で保管されていることが確認され、ついに東京ドーム公演の全編映像化が決定。

 注目の映像は、当時の撮影監督である岸聖展により全編を再編集、最新技術にてレストアを施し見事に現代に蘇らせることに成功。気になる音声は、マドンナをはじめ、ジャネット・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン、坂本龍一、宇多田ヒカルらの一流アーティストを手がけてきたグラミー受賞プロデューサーでもあるGOH HOTODAの手によってマルチテープからリミックス、東京ドームという空間を体感できる5.1chサラウンドに再生された。約2時間にわたる全18曲を完全収録した『REBECCA BLOND SAURUS TOUR ’89 in BIG EGG-Complete Edition-』がここに完成した。

 9月23日、16時半、前売り完売の400名満員の新宿バルト9は、上映開始と同時にスクリーンから流れる東京ドームの大歓声と、新宿バルト9の生歓声が交錯する異様なまでの興奮状態に包まれた。初期人気曲「Love is Cash」や大ヒット・シングル「Raspberry Dream」はVHS・LDに未収録だったこともありイントロが流れるだけで客席のあちらこちらから大きなどよめきが起こり。やはり初公開となった「Monotone Boy」では一緒に歌い、座りながら拳を振り上げるファンもいた。「このサウンド、凄くない! どうやって再現したの!?」。客席から聞こえてきた驚きの声にも裏打ちされた高質な30年前の東京ドーム空間へのタイムスリップは、記憶以上の感動を呼び起こしたようだ。

 エンドロールが見届けたお客さんからスクリーンに向けられた大きな拍手と喝采。興奮が冷め止まぬなか、トークイベントがスタート。REBECCAのドラムス小田原豊、REBECCAのファン代表としてタレントの千秋、そして司会進行として音楽評論家の藤井徹貫がステージに登壇した。

── みなさんご挨拶を。

千秋 本物!(横にいる)本物から。

小田原 小田原です。いやいや、ステージに立つより緊張しております。

千秋 ずっと緊張してる緊張してるって言うんですけど、ドームのステージでやってた人が緊張しますか(笑)?

小田原 ステージでは、ほら、ドラムセットが前に置いてあるから。意外と緊張をごまかせるんですよ。あと、滑舌悪いの。

千秋 大丈夫です、ドラマーですから。叩いてれば大丈夫です!

客席 (笑)

千秋 あらためまして。高校のとき、ずっとREBECCAのコピーバンドをやってました、千秋です。よろしくお願いします!

小田原 ポケットビスケッツをテレビで初めて見た時に、あーこの人は絶対ロックだなと思いましたよ。直感で。

千秋 本当ですか? バレましたか?

小田原 ニューウェイヴだなと思って。

千秋 嬉しいです。高校の時にNOKKOさんを見て、将来ミュージシャンになりたいと思って、ずっとバラエティを頑張って、やっと歌手の仕事ができるようになったので、その気持ちが全部あそこ(ポケビ)に集約されて、出ちゃいましたね。

── ちょうどいま、30年前の東京ドームのライヴをみなさんに見ていただきましたが、思い出すことありますか?

小田原 当時、REBECCAはアリーナ・コンサート・ツアーをよくやってたんですよね。横浜アリーナとか大阪城ホールとか。結構広いところで演奏していたんで、正直、東京ドームのキャパをナメていたんです。ま、大丈夫だろって。そしたら、お客さんの歓声がドーーーって下からくるの。普通はパチパチパチパチ、キャー、ワーってくるのが、1曲目の演奏を終えたらお客さんの歓声がドオオオで地鳴りのように響いてきて、もう化けものかと思いましたね(笑)。

── 僕は何がびっくりしたかっていうと、本編終わって、楽屋に1回引っ込むでしょ。その時にカメラがドキュメントで追ってるじゃないですか。その時の楽屋が全員一緒っていうのが驚いたんですよ。

千秋 男女が一緒だった。

── 普通、NOKKOさんあれだけステージ上で走ってるんだから、多少ケアが必要だろうと思うから、てっきり違う部屋じゃないのかなと思ったら、全員一緒の部屋に入って、じゃあ、行きましょうみたいな感じで(笑)。

小田原 多分、東京ドームは楽屋がいっぱいあるから2階とか3階とか行かなきゃいけない。ステージ裏からは遠いから、そこの部屋を全員一緒に前室っていう感じだったんだと思うよ。

千秋 最初の頃、まだライヴハウスをまわってる頃は、楽屋とか一緒ですか。

小田原 うん。NOKKOが着替える時だけみんなが外に出てて。いいよーって言ったら入る。

客席 (笑)

── 千秋さんは東京ドームにいらっしゃったんですか?

千秋 私はまだお金がない貧乏だったのでこの現場にはいません(笑)。でもこの東京ドームのライヴはVHSで擦り切れるぐらい何度も観ていて、ダンスもMCも全部覚えてるんですよ。フェイクとか。最後の方、盛り上がってくると、「ヒロインなの〜〜〜!」ってNOKKOが叫ぶところとか、よくきゃい~んの天野くんの前でやってった。

客席 (爆笑)

── NOKKOさんのこと好きだったんですね。

千秋 もう大好き! ここの会場にいるみなさんも一緒だと思うんですけど。バンドブームの最初の頃、男の人はBOØWYのコピー、女の子はREBECCAのコピーっていうのが、あってね。私たちのバンドもREBECCAさんの新譜が出ると、まず楽譜を買って、バンドのメンバーで音を合わせて、ギターができる曲から選んだりして。これは難しいからできないとか(笑)。NOKKOさんは身体が小さいのにものすごいパワーがあるじゃないですか。私は小さいのがコンプレックスだった。NOKKOは、大きな声をだして大きな動きをやっていれば、大きくいれるんだと思わせてくれた人なんです。

客席 (拍手)

 小田原豊の穏やかな笑顔と、千秋の止まらないREBECCA愛に会場全体がアットホームな雰囲気に包まれていく。来場できなかったリーダーの土橋安騎夫(キーボード)、高橋教之(ベース)のメッセージが司会から読み上げられるとさらに大きな拍手が起こる。そして満を持してNOKKO(ヴォーカル)のメッセージを読み始めると、なんと上手からNOKKO本人が「令和」と書かれた紙を持ってとぼけた様子で登場。

 一瞬、何が起きたかわからず身構えるお客さん。いちばん固まってしまったのは千秋。「ギャーーーー」。お客さんと千秋はNOKKOのサプライズ登場に驚きと興奮状態に。千秋は思わず感涙。「やだヤダもう帰る~。恐れ多くて横になんて座れない~」。ざわつく会場を鎮めるようにご本人が挨拶。「こんばんは、NOKKOでございます」。大歓声と拍手喝采。NOKKOを迎えたスペシャルトーク2部が始まった。

── 千秋さん、泣いてる、泣いてる。

千秋 (目頭を押さえながら)ご本人が来るなんて聞いてないですから!

NOKKO 時が経ったのよ。こうやって昔の作品も直視できるようになったの。

── 千秋さんのNOKKOさん愛を、袖で聞いてましたか?

NOKKO  はい。拝聴していました。(東京ドームでの)MCのこととかも言ってくれて嬉しいんですけど……自分としてはしゃべるのが苦手でテンパってるから、あーいう(盲腸手術をしたMC)挙動不審な感じになってるわけです。私にしてみればそれをまじめにコピーされる哀しみだよね……微妙さ。

客席 (爆笑)

千秋 全部コピーしていました。

NOKKO (横浜アリーナで)初めてあなたに会った時に、なんか私は真顔になっちゃったもんね。すごい戸惑いというか、自分のなかでもどう接していいのか、あまり見てはいけないものをいっぱい見られているみたいな。

客席 (笑)

NOKKO だらか東京ドームもどっかでテンパってるからあんなMCになってました。

客席 よかったー!

NOKKO ありがとう。それを真顔で直視できるような年齢になったんで(笑)。

千秋 東京ドームのステージはたくさん走ってましたけど……ご自身のなかで頑張ろうみたいな。

NOKKO あーでありたい、こーでありたいという欲望と葛藤ですよ。こういう風に見られたい見られたくない。混沌のなかの煩悩のステージかな。

小田原 うまいこというね。でも本能でしょ。あれは本能じゃないと出来ないですよ。すっごい運動量だよ。

NOKKO そうだよねー。

千秋 疲れたりしないんですか? 毎回、ライヴの後、NOKKOさんどうなっちゃうんですか?

NOKKO いつも痛かったですよ、筋肉痛とか。色々。

千秋 じゃあ、楽屋にはちゃんとマッサージの人がいたりとか?

NOKKO その頃、そんなスポーツ科学とか発達してなくて、なんか、もっとうさぎ跳びをすれば強くなるとか、なんかそんな感じですよ。

小田原 ストレッチっていう言葉なかったよね。

NOKKO なんか無駄なこといっぱいやったような気がする。

千秋 私はあれが日本のヴォーカリストのあるべき姿だと思っていたんですよ。あれくらい激しく動くのが普通っていうか。NOKKOさん以上の人出てきてないですもんね、今。

NOKKO えっと、それは……心肺能力のことで?

客席 (爆笑)

── あらためて今日の上映内容はいかがでしたか?

NOKKO 映像は文句なく綺麗になってますよね。音も。こんなに大切に扱っていただいて。もう本当に素晴らしいです。

小田原 東京ドームの会場で聴いているようなドーム仕様のミックスを施してくれたんですよね。

NOKKO そう。ミックスし直してくれてね。

小田原 例えば、渋谷公会堂だったら、ちょっと狭いところの感じに。

NOKKO アンビエントがね、ちょっと違うのねー。

── 今日、聞きたかったのは。当時REBECCAのころ、“ロック”というのはNOKKOさんの胸の中にはあったんですか?

NOKKO 私がREBECCAでデビューした頃っていうのは、私はいろんな場面でいろんなとらえ方をされていたんですね。当時は女性ヴォーカル・バンドが少なかったこともあるかもしれないけれど、メディアによってロック、アイドル、アートと。コマーシャルのお仕事もあったりとか、その全部に混乱してたんですよね。どこかで嫌気をさしていたし、場面場面で混乱していましたね。そのどれでもない自分がいると。

小田原 それはいつ頃から思ってたの?

NOKKO 「フレンズ」とか出た頃にはもう風当たりの強さっていうのを感じる? 歌番組に出てもしっくりこなかった。私はどこに行ったら落ち着くのかなぁって。葛藤です。でも千秋ちゃんはそういう自分を観て、REBECCAの世界をちゃんと見出してくれていたんだよね。

千秋 はい。私の時代にNOKKOさんがいてくれてよかったです。

NOKKO アハハ。でも、この話には続きがあって……やっと今回のこの東京ドームの映像を観て、私、やっとわかったんです。とうとう、わかったんですよ……全部自分だったっていうことがね。

客席 (この日いちばんの大きな拍手)

NOKKO それがすごく喜び。この映像はすごくいいなって思えて。こういうパフォーマンスを多分するんですよね、今後も。

客席 (大拍手!)

NOKKO 不思議なヴォーカリストであり続けると思うんですよ。ということを宣言いたします。令和の活動も注目していただいて。令和のREBECCAも。

客席 (大拍手!)

千秋 いつですか?いつですか?

NOKKO 土橋さんの機嫌が直ったら(笑)。

小田原 俺はここにいないことにしてくれ。

千秋 機嫌直すことだったら、私なんでもするんですけど。頑張ります。お菓子持っていくとか、好きなお菓子とかあれば。

客席 千秋、頑張って〜〜。

小田原 終わろう!

NOKKO どうもありがとうございました!

 2019年9月23日、NOKKO、小田原豊、そしてファン代表の千秋と過ごし、永遠のヴォーカリスト宣言にも立ち会った特別な時間。30年前の東京ドームで過ごしたあの夏の日と同じようにファンにとっては忘れられない日となったようだ。

写真/山本佳代子 文/安川達也(otonano編集部)

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