走り続けろ――魂の叫びへ
スプリングスティーン 孤独のハイウェイ
(オリジナル・サウンドトラック)
Springsteen: Deliver Me From Nowhere The Original Motion Picture Soundtrack
Blu-spec CD2
2025年12月5日発売
SICP-31835 (Blu-spec CD2) 2,970円(税込)
- ボーン・イン・ザ・U.S.A. (Power Station) - ジェレミー・アレン・ホワイト Born in the U.S.A. (Power Station) – Jeremy Allen White
- ネブラスカ - ジェレミー・アレン・ホワイト Nebraska – Jeremy Allen White
- アトランティック・シティ - ジェレミー・アレン・ホワイト Atlantic City – Jeremy Allen White
- マンション・オン・ザ・ヒル - ジェレミー・アレン・ホワイト Mansion on the Hill – Jeremy Allen White
- ハイウェイ・パトロールマン - ジェレミー・アレン・ホワイト Highway Patrolman – Jeremy Allen White
- ステイト・トルーパー - ジェレミー・アレン・ホワイト State Trooper – Jeremy Allen White
- 僕の父の家 - ジェレミー・アレン・ホワイト My Father’s House – Jeremy Allen White
- 生きる理由 - ジェレミー・アレン・ホワイト Reason to Believe – Jeremy Allen White
- アイム・オン・ファイア - ジェレミー・アレン・ホワイト I’m On Fire – Jeremy Allen White
- ルシール - ジェイ・ブキャナン、ジェイク・キスカ、サム・キスカ、アクセル・コー、ボビー・エメット&ジェレミー・アレン・ホワイト Lucille – Jay Buchanan, Jake Kiszka, Sam F. Kiszka, Aksel Coe, Bobby Emmett & Jeremy Allen White
- ブーン・ブーン - ジェイ・ブキャナン、ジェイク・キスカ、サム・キスカ、アクセル・コー、ボビー・エメット&ジェレミー・アレン・ホワイト Boom Boom – Jay Buchanan, Jake Kiszka, Sam F. Kiszka, Aksel Coe, Bobby Emmett & Jeremy Allen White
- アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー - ジェイ・ブキャナン、ジェイク・キスカ、サム・キスカ、アクセル・コー&ボビー・エメット I Put a Spell on You – Jay Buchanan, Jake Kiszka, Sam F. Kiszka, Aksel Coe & Bobby Emmett
©2025 20th Century Studios
『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』オリジナル・サウンドトラック
12月5日発売
映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』(原題:Deliver Me From Nowhere)のオリジナル・サウンドトラックが発売となることが決定。絶賛を浴びている同名映画のキャストと主演のジェレミー・アレン・ホワイトによる新録音12曲が収録される。全米映画公開日の10月24日に5曲が先行配信され、全編収録のアルバムは12月5日にCD、アナログ盤、デジタルの各フォーマットでリリースされる。アルバムのプロデュースを手がけたのは、グラミー賞を複数回受賞しているデイヴ・コブ(クリス・ステープルトン、ブランディ・カーライル、スタージル・シンプソンなどを手がけたプロデューサー)。演奏には、ジェレミー・アレン・ホワイトのほか、グレタ・ヴァン・フリートのジェイク&サム・キスカ兄弟、ジェイ・ブキャナン、アクセル・コー、ボビー・エメットらが参加している。日本盤は解説・歌詞・対訳付きで高品質Blu-spec CD2で発売となる。
映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』
映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は、『Born In The U.S.A.』の前夜、世界的スターへの階段を上り始めた若きスプリングスティーンが、成功へのプレッシャーと過去の影に向き合いながら、葛藤し苦闘し、名盤『ネブラスカ』(1982年)の誕生へと至る過程を描いている。『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は、彼のキャリアの転換点を切り取る作品であり、飾らない物語性と感情の真実が、いかにしてスプリングスティーンの表現を新たな次元へと導き、『ネブラスカ』をアメリカ音楽史に残る不朽の名盤へと押し上げたのかを描き出している。
全米2025年10月24日、日本は11月14日から全国ロードショー公開、絶賛上映中。
映画の詳細はこちら
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/springsteen
©2025 20th Century Studios
これまでの伝記映画と一線を画す『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』―――五十嵐正
世界的な人気を誇るアメリカン・ロックのスーパースター、ブルース・スプリングスティーン。彼の人生の重要な時期を描く映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』が、11月14日に日本公開される。
近年ロック・スターの伝記映画が数多く作られるようになり、クイーンのフレディ・マーキュリーを描いた『ボヘミア
ン・ラブソディ』のような大ヒット作品も生まれた。だが、その多くは波乱万丈の人生やキャリアを描いても、最終的にはその主人公を偉大なアーティストとして崇拝する。だが、『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は、そういった伝記映画とは一線を画している。
第一に、ブルースはまだまだ過去を振り返る必要がない人である。彼はキャリアが50年を超えるベテランだが、今もなお大規模な世界ツアーを行い、各国でスタジアムやアリーナといった大会場に万の単位の観客を集める現役真っ只中のアーティストであり、Eストリート・バンドと共に、70代にして3時間超えという長時間の全力投球コンサートで熱狂を巻き起こしているのだから。
さらに、多作家として知られたシンガー・ソングライターとしての創作のペースも衰えを知らず、新作と未発表録音の発掘の両方で次々とアルバムが発表されている。今年も6月にお蔵入りさせていた7枚!もの未発表アルバムを収めたボックス「トラックスII ロスト・アルバムズ」で驚かせたと思いきや、映画公開に合わせて、10月には82年のアルバム「ネブラスカ」の拡大版CD/LP4枚+ブルーレイというボックス「ネブラスカ82」が届く。そして、既に完成済みの最新録音のアルバムが来年早々の発売を待っている。
最高傑作にして異色のアルバム「ネブラスカ」
『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』の描くブルース・スプリングスティーンは、そんなエネルギッシュなロッカーの知られざる一面である。初の全米ナンバーワンとなった80年のアルバム『ザ・リバー』とそのツアーの大成功で、ロック・スターの地位を確固としたにもかかわらず、人生の大きな変化の訪れに強い不安を覚え、あえて労働者階級のルーツに立ち返り、今では最高傑作とも評される異色のソロ・アルバム「ネブラスカ」を制作した81~82年の短い時期に焦点を絞っている。それは、精神的危機を抱えた彼の人生の中でも最も暗い時期だった。
「ネブラスカ」 は自宅の寝室で4トラックのカセットに録音したデモをそのままアルバム化したもので、彼にとって重要な転機となった作品だ。社会の片隅で厳しい暮らしを強いられ、時には罪を犯す人びとを登場人物にした物語歌を集めた衝撃的な内容だった。音数の少ない抑制されたアコースティックなサウンドで、殺人犯の心理にまで入り込む暗い物語を歌う作品は、キャリアの自殺行為にもなりかねない大きな挑戦でもあった。
その歌の世界の背景には、80年に就任したレーガン大統領の「レーガノミクス」が経済成長を後押しする一方で、貧富の格差をさらに広げていった時代の状況もあったが、聴き手の心を強く揺さぶる力は、その荒涼とした風景に作者自身の幼い頃の思い出が絡み合っているところから生まれた。実のところ「ネブラスカ」は社会背景と同じくらいに、当時のブルースの人生の状況、心理状態、子供時代のトラウマなどを映し出す非常に私的なもので、登場人物の抱える孤独や疎外感は作者自身の感情でもあったようだ。
ブルースと父、ブルースとジョン・ランダウ
この映画の監督・脚本は09年の『クレイジー・ハート』で、ジェフ・ブリッジズ演じる中年カントリー歌手を描いたスコット・クーパーである。彼は「ブルースの人生におけるこの特定の時期、つまり、幼少期から抱えてきたトラウマに直面している一人の男性について、より静かで内面的な作品を作ろうと努力した」と語るが、特にブルースと父親との複雑な関係に目を向けた。父ダグラス(スティーヴン・グレアムが適役)は、安定した職になかなか就けず、幾つもの仕事を転々とした人で、映画は幼いブルースが父の入り浸っていたバーに母の命で帰ってきてほしいと呼びに行ったときの回想で始まる。
その父子はなかなか理解し合えない年月を過ごし、その愛憎半ばの関係は、ブルースの作品の重要な主題のひとつともなるが、それらの曲に描かれた父の気難しさは昔気質の頑固さとか、失業で家長の責任を充分に果たせぬ欲求不満だけが原因ではなく、やがて息子は彼に精神疾患があると理解する(世の中の人びとがメンタル・ヘルスに関心や理解を示し始めたのは近年のことだ)。自伝で「おれの血管、おれの遺伝子には厄介な猛毒が流れていた」と表現したように、その血筋を引くという不安を抱え、自分自身の鬱病と父の抱えていた問題が重ね合わされる。
一方で、この映画ではもうひとつの疑似的な父子関係が重要な軸となっている。ブルースのマネジャー兼プロデューサーのジョン・ランダウの存在だ(ジェレミー・ストロングが繊細な演技を見せる)。彼はその肩書にある仕事だけでなく、親友として、セラピスト的な役として、ブルースを守り、支える。何があってもブルースのヴィジョンを実現させるという強い信念と決意は揺るぎなく、彼らの私的及び職業的関係は現在に至るまで50年も続いており、音楽界でも稀な成功例となっている。その深い関係は、監督が「2人の男性の間のラヴ・ストーリー 」とまで形容するほどである。
ジェレミー・アレン・ホワイト 驚異の変貌
そして、主役を演じるジェレミー・アレン・ホワイトだ。彼はここでカリスマのあるロック・スターとアーティストとして苦闘し、人生を見失いそうになる内省的な若者というブルースの2つの面を演じなければならなかったが、彼は俳優としてスター性と演技力を兼ね備え、見事にブルース・スプリングスティーンになりきっている。
驚くことに、彼は歌唱もギター演奏もまったく経験がなかったというのに、5か月ほどのトレーニングだけで、つぶやくように歌うデモ録音の歌唱から、叫ぶように歌うロック曲まで、全編で自分の歌声を聞かせている。とりわけバンドと一緒に歌った「エレクトリック・ネブラスカ」版〈ボーン・イン・ザ・USA〉の魂を揺さぶるような激しい歌唱には特に驚かされるだろう。
一か所も訂正が要求されなかった脚本
本作は劇映画というフィクションではあるが、劇中で描かれる出来事は実際に起こったことにかなり忠実と受け取ってもいいようだ。というのは、この映画の原作は著者の創作や脚色が加えられた小説や伝記ではなく、元デル・フエゴスというミュージシャンから作家、音楽評論家に転じたウォーレン・ゼインズの書いた『Deliver Me from Nowhere: The Making of Bruce Springsteen's Nebraska』(23年)で、スプリングスティーン側の協力を得て、「ネブラスカ」という作品の背景と制作の過程、その影響の広がりなどを考察した、一般の音楽ファン向けではあるが、評論書・研究書の類なのである。スコット・クーパー監督が自ら手がけた脚本は、その本で明らかにされた事実や引用されているブルース本人をはじめとする関係者の発言をもとにしている。
さらに、ブルースは16年にNYタイムズ紙のベストセラーリストに首位で初登場するほどの売上げを記録した自伝「明日なき暴走」(邦訳は早川書房)を発表しており、映画のなかの父と母との思い出などは、その自伝の記述や描写を参考にしている。父に強要されるボクシングのパンチ練習や母を守るべくバットを手にする場面などはその本のなかで振り返られている。
もちろん監督が脚本を書くにあたり、2時間の上映時間に入れ込むため、実際に起こったことの時期をずらす、場所を移すなどはしている。それでも、ブルースとマネジャー/プロデューサーのジョン・ランダウは40年前の自分たちが登場する脚本を読んで、一か所も訂正を要求しなかったという。監督の脚色があっても、そこに物語の本質とのずれを感じなかったということだろう。
実在の人物と架空の人物
家族とランダウ以外の登場人物は、カリフォルニアまでの米国横断旅行を共にする長年の友人マット・ディリア、寝室でのデモ録音を手伝うギター・テクのマイク・バトラン、マスタリングの問題の解決を託される共同プロデューサー/エンジニアのチャック・プロトキン、コロムビア・レコードの担当A&R、アル・テラーら、みんな実在の人物で、そこで描かれている役割を現実に担った。ブルースと働き出したときは駆け出しのエンジニアで、その後にプロデューサー、レーベルの会長として大成功して、米音楽業界の超大物となったジミー・アイオヴィンは、電話の向こうで本人が声のみ登場している。
ブルースがアズベリーパークのボードウォークにあるクラブ、ストーン・ポニーで共演するバンドは、入り口のマーキーにその名前がある通り、82年にクラブの専属バンドとして毎週日曜日に出演していたキャッツ・オン・ザ・スムース・サーフェス。その後にサウスサイド・ジョニー&アズベリー・ジュークスやボン・ジョヴィで活躍するギタリスト、ボビー・バンディエラが率いたバンドである。
唯一のまったくの架空の人物は、恋人のフェイで、ブルースが若い頃につきあった複数の女性から作り上げたようだ。ただ、娘のいるシングル・マザーという設定は、自伝に書かれているデビュー前後の時期につきあっていた或る女性の思い出を借りたようで、ブルースが幼い娘へ贈るプレゼントはその母娘との逸話そのままである。
テルライド映画祭(8/29)でのプレミア上映終了後、監督、出演者、ランダウらとQ&Aに参加したブルースは、こんな話でその公開インタヴューを締め括った。彼はその数日前に一歳年下の妹ヴァージニアと試写を観たという。映画の回想場面で幼い彼女は兄と野原を駆けまわる。上映終了後に彼女は兄に向って言ったという。「素敵なことよね。私たち、こんな映画を作ってもらって」。
父との軋轢がある幼年時代であったとしても、スクリーンに映し出された家族の思い出は、兄妹にとって作り物とは感じられない真実味のあるものなのだろう。
『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』は聖人伝ではない。スターの神話化ではなく、アーティストの苦闘を見つめる作品で、彼が自分自身を探す姿を生々しく、そして大胆に描き、その魂をむき出しにする。「ネブラスカ」のような偉大な作品を作り上げるためには、アーティストは真実を徹底的に探求しなければならないし、大きな代償を払わなければならない。スプリングスティーンのようなソングライターに限らず、いかなる種類のアーティストにも、いや、自分の人生で何かを表現しよう、作り出そうと考えるあらゆる人びとに大きなインスピレーションを与えてくれる映画と言ってもいいだろう。
©2025 20th Century Studios
スコア版もデジタル配信リリース!
『Springsteen: Deliver Me from Nowhere (Original Motion Picture Score)』
『ネブラスカ’82:エクスパンデッド・エディション』
10月24日映画に合わせて名盤『ネブラスカ』の大拡張版『ネブラスカ’82:エクスパンデッド・エディション』がリリースとなった。これまで発表・発見されていなかった数多くの音源をフィーチャー、『ネブラスカ』のレコーディング・セッション集大成した、4CD+1Blu-rayの5枚組。DISC1に自宅レコーディングでの貴重なアウトテイク集、DISC2にEストリート・バンドとエレクトリック・バンド・ヴァージョンに挑戦したファン垂涎の『エレクトリック・ネブラスカ』、DISC3に2025年春に行われた『ネブラスカ』全曲再現ライヴ(音源)、DISC4に2025最新リマスター、更にDISC5(Blu-ray)には『ネブラスカ』全曲再現ライヴの映像版を収録。日本盤のこのBlu-rayには日本語対訳字幕付。なぜこの作品が傑作と呼ばれるのか、名盤たる理由を深く知ることができるはずである。
ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』を語る!ミニ・ドキュメンタリー・フィルム
『インサイド・ネブラスカ'82:エクスパンデッド・エディション』を日本語字幕付で公開
ブルース・スプリングスティーン自身と評論家エリック・フラニガンが『ネブラスカ’82:エクスパンデッド・エディション』を語り、紐解いていく貴重なミニ・ドキュメンタリー・フィルム『インサイド・ネブラスカ'82:エクスパンデッド・エディション』が日本語字幕付で公開となった。
●特別映像『インサイド・ネブラスカ'82:エクスパンデッド・エディション』日本語字幕付
スプリングスティーンの映像作品を数多く手がけグラミー賞も受賞したトム・ジムニーが監督を務めた約13分の映像で、スプリングスティーンがアルバム『ネブラスカ』の制作過程の秘話や思い出を語り、エリック・フラニガンがその背景や歴史的意義を深く掘り下げている。まさに現在絶賛公開中の映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』で描かれる、1982年の『ネブラスカ』物語を、実際のスプリングスティーンの音楽で紡ぐドキュメント作品が『ネブラスカ’82:エクスパンデッド・エディション』であることがわかる内容となっている。
【Cocotame】ブルース・スプリングスティーンについて知っておきたい12のこと
映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』公開でも話題のブルース・スプリングスティーン。彼はなぜ、アメリカンロックを体現するアーティストとして、50年以上にわたり第一線を走り続けられているのか。日本の担当ディレクターが、その魅力と味わい方を解説する。
/#ブルーススプリングスティーン
— ソニーミュージック (@SonyMusic_JPN) December 5, 2025
栄光と孤独の50年??
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アメリカンロックを体現する“The Boss”
ブルース・スプリングスティーンについて、知っておきたいことを国内担当ディレクターに聞きました?
前編?https://t.co/KW5L0zKsPc
後編?https://t.co/WzplJ7ZfR9https://t.co/KW5L0zKsPc











