大瀧詠一 Cover Book -ネクスト・ジェネレーション編-『GO! GO! ARAGAIN』インディ・ポップの気鋭アーティスト12組が大瀧詠一作品をカヴァー。 大瀧詠一 Cover Book -ネクスト・ジェネレーション編-『GO! GO! ARAGAIN』インディ・ポップの気鋭アーティスト12組が大瀧詠一作品をカヴァー。

SHIBUYA MUSIC PARTY 「レコードの日」×「GO! GO! ARAGAIN」リリースパーティ ネクスト・ジェネレーションによる大瀧詠一作品カヴァーLP『GO! GO! ARAGAIN』リリース記念ライブ 2018年11月4日 渋谷ストリームホール

ラジオ日本開局60周年記念
大瀧詠一『ゴー・ゴー・ナイアガラ』ベストセレクション

12月23日(日)より
25:00~26:10(予定)

番組パーソナリティ : 大瀧詠一
ナビゲーター : 音楽評論家 宮治淳一

『GO! GO! ARAGAIN』アルバム・ダイジェストムービー

新進気鋭のアーティストたちによる大瀧詠一作品のカヴァー集CDが12月3日に発売される。

この「大瀧詠一 Cover Book -ネクスト・ジェネレーション編- 『GO! GO! ARAGAIN』」は、本家本元ザ・ナイアガラ・エンタープライズの楽曲管理部門である“ARAGAIN”(NIAGARAを逆から読んだアナグラム)が制作協力。大瀧作品を愛して止まないネクスト・ジェネレーションのポストJ-POPアーティストたちによる最新型のカヴァー集だ。

シャムキャッツ、キイチビール&ザ・ホーリーティッツ、トリプルファイヤー、柴田聡子といったJポップインディの人気アーティストから、大瀧詠一さんからの影響のあまり?入間の米軍ハウスをスタジオに改造した笹倉慎介と元・森は生きているのメンバー等によるOLD DAYS TAILOR、テレビ東京『家、ついて行ってイイですか?』に登場後、がぜん注目を集める最年少14歳中学生の大瀧フォロワーKEEPON(キーポン)など、若かりし日の大瀧を思わせるユニークな遺伝子たち12組が集結。孫世代と言って良い彼らならではのカヴァー解釈で大瀧作品の普遍性も一層引き立つ内容となっている。

またジャケットを『GO!GO!NIAGARA』等ナイアガラ作品でおなじみの中山泰が手掛けている点も見逃せない。

尚、このカヴァー集はCDに先行して11月3日の「レコードの日」にアナログ盤として発売される。

大瀧詠一 Cover Book
-ネクスト・ジェネレーション編-

『GO! GO! ARAGAIN』

■発売日:2018123 
■価格:2,500円+税 
■品番:MHCL-2794

<収録予定曲>

01. 少林兄弟
  「君は天然色」

02. キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
  「指切り」

03. ayU tokiO
  「幸せな結末」

04. bjons
  「雨のウェンズデイ」

05. 秘密のミーニーズ
  「春らんまん」

06. KEEPON
  「ロックン・ロール・マーチ」

07. 柴田聡子
  「風立ちぬ」

08. トリプルファイヤー
  「朝寝坊」

09. やなぎさわまちこ
  「うれしい予感」

10. OLD DAYS TAILOR
  「Velvet Motel」

11. Spoonful of Lovin’
  「それはぼくじゃないよ」

12. シャムキャッツ
  「夢で逢えたら」

*収録内容変更の可能性あり

ayU tokiO

猪爪東風(イノツメアユ)によるソロ・プロジェクト。
the chef cooks meのギタリストやMAHOΩでのソングライターとしての活動を経て、2013年よりカセットテープ・フォーマットのシリーズ『NEW TELEPORTATION』をsuburbiaworksよりリリース。
ライブではヴァイオリン、ヴィオラ、フルート、キーボード、ギター、ベース、ドラムスなどのサポートメンバーを迎えての大人数バンドセットから単独での弾き語りまで、様々な編成で活動中。
2014年全国流通盤CD『恋する団地』を発表。
2016年1stフルアルバム『新たなる解』発表。
2017年自主レーベル『COMPLEX』本格始動。
2018年2ndフルアルバム『遊撃手』等を発表。
その他、ギタリストとしてライブやレコーディングに参加、サウンドプロデュースや楽曲リアレンジ、録音エンジニア等、ジャンルを越えて幅広く活動中。

オフィシャルサイト: http://www.ayutokio.net/

OLD DAYS TAILOR

2014年に笹倉慎介with森は生きている名義で発売された7inchシングル「抱きしめたい/風にあわせて」から4年。
シンガーソングライターの笹倉慎介、“森は生きている”のメンバー岡田拓郎(Eg)、谷口雄(Key)、増村和彦(Dr)が再集結。
さらに伊賀航(Ba)、優河(Cho)、濱口ちな(Cho)を迎え、7inchシングル「晴耕雨読/南の窓から」の発売(2018年4月)を皮切りにバンド名を“OLD DAYS TAILOR”とし活動開始を表明。
同年6月には1stアルバム「OLD DAYS TAILOR」を発表。
[OLD DAYS“在りし日”][TAILOR“仕立て屋”]、在りし日の仕立て屋はその名のごとく、潔く、今というこれまでを紡ぐ。

オフィシャルサイト: https://twitter.com/old_days_tailor

キイチビール&ザ・ホーリーティッツ

2016年4月にライブ活動をスタートとさせた、東京の5人組ロックバンド(4boys, 1girl)。
ライブ会場といくつかの店舗/通販サイトにて枚数限定で販売された1stEP「俺もハイライト」/1stミニアルバム「世の中のことわからない」がいつしか全国的に評判になり、完売し、各地のライブハウスを賑わす存在に。
2017年夏はコンテストに優勝し、ROCK IN JAPANとSUMMER SONICにいきなり出演。
2018年2月7日に初の全国流通盤にして初のフルアルバム「トランシーバ・デート」リリース。
翌日渋谷WWWにて、ホフディラン/台風クラブ/MONO NO AWAREを招いて開催したリリースパーティーは完売し、幸先良いスタートを切る。極めてオーソドックスなバンドスタイルで奏でる、極めて同時代的でリアルな日々の歌。
悲しさも虚しさも、時に訪れる悦びも高揚も、その先に見え隠れする一筋の光も全てないまぜになった類い稀なるメロディーとリリック。
熱い胸騒ぎをあなたに。

オフィシャルサイト: http://kiichibeer.com/

KEEPON(キーポン)

2003年 東京生まれ。
4歳の時にギターに出会ってコードを探しているうちにすっかりギターの虜になり、それからずっと ”音楽一筋” 現在15歳のシンガーソングライター。
ギター、ピアノ、ベース、ドラムなどなんでも弾きこなすマルチプレイヤーで、普段から自宅で多重録音をして楽曲制作にのめり込んでいる。
テレビ東京の番組にて紹介されてから巷で話題となり、今年6月、それまで自身で制作していたアルバム3タイトルを同時販売して主に都内にてライブ活動も行なっている。
ビートルズ、はっぴいえんど、を始めに50~70年代の音楽をこよなく愛し、現在も様々なジャンルへの音楽の世界を探求中。

オフィシャルサイト: http://panda4x4.wixsite.com/keepon

柴田聡子

1986年札幌市生まれ。大学時代の恩師の一言をきっかけに、2010年より都内を中心に活動を始める。ギターの弾き語りでライブを行う傍ら、2011年夏と冬に自身で録音した2枚のデモCD(計20曲)、2012年6月三沢洋紀プロデュース多重録音による1stアルバム『しばたさとこ島』を、2013年8月にはバンドサウンドによる12インチ・アナログレコードシングル「海へ行こうかEP」を、2014年6月には再び自身で録音した2ndアルバム『いじわる全集』を発売。演劇の祭典、フェスティバル/トーキョー’13では1時間に及ぶ独白のような作品「たのもしいむすめ」、雑誌『文學界』に文章を発表するなど、歌うことを中心に活動の幅を広げつつある。2015年は6月に2種類のライブアルバム発売を経て、9月、山本精一プロデュースによる3rdアルバム『柴田聡子』を発売。2017年、青森県立美術館の美術展「ラブラブショー2」テーマソング提供や、小島みなみと紗倉まなのユニット・おとといフライデーへのシングル曲「もしやこいつはロマンチックのしっぽ」提供を経て、5月には岸田繁(くるり)、山本精一のプロデュース参加を始め、錚々たるミュージシャンたちと紡いだ待望の4thアルバム「愛の休日」をリリース。

近年は弾き語りのほか、「柴田聡子inFIRE」名義でのバンド形態でのライブも精力的に展開しつつ、既に次作の構想を着々と練っている。

オフィシャルサイト: http://shibatasatoko.com/

シャムキャッツ(Siamese Cats)

メンバー
夏目知幸 菅原慎一 大塚智之 藤村頼正

メンバー全員が高校三年生時に浦安にて結成。
2009年のデビュー以降、常に挑戦的に音楽性を変えながらも、あくまで日本語によるオルタナティブロックの探求とインデペンデントなバンド運営を主軸において活動してきたギターポップバンド。サウンドはリアルでグルーヴィー。
ブルーなメロディと日常を切り取った詞世界が特徴。
2016年からは3年在籍したP-VINEを離れて自主レーベルTETRA RECORDSを設立。より積極的なリリースとアジア圏に及ぶツアーを敢行、活動の場を広げる代表作にアルバム「AFTER HOURS」「Friends Again」、EP「TAKE CARE」「君の町にも雨は降るのかい?」など。
最新作はシングル「カリフラワー」。
2018年、FUJI ROCK FESTIVAL ’18に出演。

オフィシャルサイト: http://siamesecats.jp/

少林兄弟(ショウリンキョウダイ)
- THE SHAOLIN BROTHERS -

ワタ・ルー(Vo)、セイ・チャン(G)、ヒデキ・チャン(G) 、ユウジ(WB)、ヒロ(Dr)の5人組。

ショウリンリン!!
最高かつ最低なロックンロールバンド。

オフィシャルサイト: http://shaolinbros.com/

Spoonful of Lovin’

2016年秋のある日、谷口雄(ex.森は生きている)の元に一本の電話が。
「谷口くん、急なんだけど、新しいバンドを作ってくれない?」
声の主は、パイドパイパーハウスの長門芳郎店長。
初ライブはなんと3週間後。大慌てで集まった谷口雄、渡瀬賢吾、ポニーのヒサミツ、サボテン楽団の4人が、カントリー/グッド・タイムテイストで様々な名曲をお届けするカヴァー・バンドです。

トリプルファイヤー

吉田 靖直(vocal)
鳥居 真道(guitar)
山本 慶幸(bass)
大垣 翔(drums)

2006年結成、2010年に現在の編成となる。
「高田馬場のJOY DIVISION」「だらしない54-71」などと呼ぶ人もいた。
ソリッドなビートに等身大の歌詞をのせていてかっこいい。人気がある。
メンバーはみな性格が良く、友達が多い。

オフィシャルサイト: http://triplefirefirefire.tumblr.com/

秘密のミーニーズ

2011年3月リーダー渡辺たもつを中心に結成。幾つかのメンバー変遷を経て、2018年より現在の体制へ。60~70年代の西海岸ロック&3声コーラス(特にCSN&Y,The Byrds)や大瀧詠一やはちみつぱい等の日本のロックに強い影響を受け、リバイバルブームを目論みつつ、コーラスサウンドと長尺ジャムも交えた独自のサウンドを展開する。
2014年3月1stミニアルバム『おはなフェスタ』、2017年9月1stアルバム『It's no secret』発売。

オフィシャルサイト: https://secretmeanies.jimdo.com/

bjons

静岡で局地的な人気を得ていたバンド「kodomonokodomo」の今泉雄貴(Vo&Gt)を中心に2017年結成。渡瀬賢吾(Gt)は大学時代から今泉と同バンドを共にした後、roppenをはじめ多数のバンドでも活動。そして橋本大輔(Ba)もミックスナッツハウス等を経て、同じくroppenなど様々なバンドで活動を行っている。
現在は上記3人のメンバーに加え、サポートメンバーとして岡田梨沙(Dr/ex.D.W.ニコルズ)、谷口雄(Key/ex.森は生きている、現OLD DAYS TAILOR、1983等)を加えた5人編成で、都内を中心に活動中。
洗練と朴訥さの両面を持つ練り上げられたソングライティングと、豊潤なバンドサウンドが織り成すのは、時代にとらわれない確かなポップミュージック。
ライブハウス等で静かな熱を生んでいる。

オフィシャルサイト: http://bjons.net/

やなぎさわまちこ

これまでに、Wiennersではボーカル・キーボード・サンプラー、MAHOΩではボーカル、そして現在サポートメンバーとしてayUtokiOではボーカル&キーボードを担当。これらの活動を経て、SSWとしてソロ活動を開始。ライブでは、「やなぎさわまちことまちこの恐竜」としてバンドセットにて2017年6月より活動開始。
その他、婦人倶楽部でのコーラス歌唱でのレコーディング参加、ギターポップバンドtotosでのキーボード演奏&歌唱でのライブ、レコーディング参加、cm音楽のレコーディング参加などジャンルを越えて幅広く活動中。
2017年1stミニアルバム「わたしの向こう側」発表
2018年2ndミニアルバム「回転画」発表

オフィシャルサイト: http://yanagisawamachiko.blogspot.com/

< LIVEレポート >

SHIBUYA MUSIC PARTY 「レコードの日」×「GO! GO! ARAGAIN」リリースパーティ ネクスト・ジェネレーションによる大瀧詠一作品カヴァーLP『GO! GO! ARAGAIN』リリース記念ライブ 2018年11月4日 渋谷ストリームホール

キイチビール&ザ・ホーリーティッツ 「指切り」「鰐肉紀行」

Spoonful of Lovin' 「それはぼくじゃないよ」「ブラック・ピーナッツ」

bjons 「雨のウェンズデイ」「ハンバーガー」

OLD DAYS TAILOR 「Velvet Motel」「南の窓から」

秘密のミーニーズ 「春らんまん」「風はざわめき」

KEEPON 「ロックン・ロール・マーチ」「Dig It Record(発掘!レコード)」

やなぎさわまちこ 「うれしい予感」「q」

ayU tokiO 「あひる」「幸せな結末」

柴田聡子inFIRE 「風立ちぬ」「後悔」

 2018年11月4日、オープンしたばかりの渋谷ストリームホールにて“SHIBUYA MUSIC PARTY 「レコードの日」×「GO! GO! ARAGAIN」リリースパーティ ~ ネクスト・ジェネレーションによる大瀧詠一作品カヴァーLP『GO! GO! ARAGAIN』リリース記念ライブ ~”が開催された。このイベントは「レコードの日」である11月3日を挟む1週間にわたって行われた「SHIBUYA Music Week」の一環として行われたもの。イベント前日には『大瀧詠一 Cover Book -ネクスト・ジェネレーション編- 『GO!GO!ARAGAIN』のアナログLPも発売されている。その後好調なセールスを記録し、完売目前となっているこの完全限定盤のアナログLPに続き、12月3日にはCDでもリリースされるこのコンピレーション『GO! GO! ARAGAIN』。少林兄弟、キイチビール&ザ・ホーリーティッツ、ayU tokiO、bjons、秘密のミーニーズ、KEEPON、柴田聡子、トリプルファイヤー、やなぎさわまちこ、OLD DAYS TAILOR、Spoonful of Lovin'、シャムキャッツという12組が参加、いずれもインディーズ・シーンで急速に注目を集めている存在ばかりで、それぞれに持ち味を活かしたアレンジメントで大瀧作品を料理しているのも印象的だ。

 この日のイベントには少林兄弟、トリプルファイヤー、シャムキャッツを除く9組が登場、基本的には『GO! GO! ARAGAIN』収録曲とそれぞれの持ち曲を1曲ずつ披露するというスタイルで進行している。各アーティストの出演時間はほぼ10分という目まぐるしさだが、大瀧詠一の音楽に少なからず影響を受けているという点で共通する面々が揃っていただけに、個々の満腹感はなくともそれぞれの個性と旨味を飽きることなく味わえたのではないだろうか。

 SUBURBIA/カフェ・アプレミディの橋本徹によるDJタイムに続いてこの日のイベントが開演。フロアのサイドに設えられたDJブースに姿を現したのはタワーレコード渋谷店に現在出店しているパイドパイパーハウスの長門芳郎。かつてのシュガー・ベイブのマネージャーにして、ナイアガラ・レーベルとも今なお深いつながりを持つ同氏がこのイベントの進行役を務めている。

 そんな長門氏の紹介でまずステージに登場したのはキイチビール&ザ・ホーリーティッツ。2016年に結成され、今年2月に初の全国流通盤となるフル・アルバム『トランシーバ・デート』をリリースしたばかりだが、ライブの動員も増し、現在人気急上昇中の彼ら。この日のステージではヴォーカル、キイチビールの喉の調子が今ひとつといったアクシデントはあったが、スタジオ録音で聴けるオーセンティックでポップなギター・ロック・サウンドはそのままながら、キイチビールのブルージーでエモーショナルなギター・プレイがより前面に打ち出され、骨太なサウンドを聴かせてくれたのが印象的だった。

 続いて登場したのはSpoonful of Lovin'。谷口雄(OLD DAYS TAILORほか)、渡瀬賢吾(bjonsほか)、ポニーのヒサミツこと前田卓朗、サボテン楽団こと服部誠也というドラムレスのカルテットだ。谷口いわく「長門さんの無茶ぶり」によって結成することになったユニットとのこと。とはいえ共演機会も少なくない気心の知れた面々が集っていることもあって、バンド名さながらにほどよくレイドバックしたカントリー・テイストあふれるアンサンブルは実に堂に入ったものだったと言える。ここでは「それはぼくじゃないよ」に加え、細野晴臣初期の名曲「ブラック・ピーナッツ」(『泰安洋行』収録)を披露した。

 谷口、渡瀬がそのままステージにステイする形でbjonsの演奏が始まる。基本的には渡瀬(ギター)、今泉雄貴(ヴォーカル、ギター)、橋本大輔(ベース)の3人が核となるが、谷口と元D.W.ニコルズの岡田梨沙(ドラムス)をサポートに加えた5人編成でライブ活動を行っている。2018年5月に初のアルバム『SILLY POPS』をリリースしたばかりだが、いずれのメンバーもbjons以外にも多数のバンドで活動しているだけあって、この日のステージでもヴィンテージで老練さを感じさせるプレイを聴かせてくれた。

『GO! GO! ARAGAIN』ではある意味完コピに近い「Velvet Motel」を聴かせてくれたOLD DAYS TAILOR。シンガー・ソングライターの笹倉慎介に加え、森は生きているのメンバーだった岡田拓郎(ギター)、谷口雄(キーボード)、増村和彦(ドラムス)らを擁した7人編成のバンドである。やはり今年6月に初のフル・アルバム『OLD DAYS TAILOR』をリリースしている。この日は笹倉、岡田、谷口の3名のみによる変則的なスタイルでの演奏となった。アルバム以上に繊細な表現力が際立った「Velvet Motel」、そして「南の窓から」はまさしくこの日前半のハイライトだったと言える。

 橋本&長門両氏のトークでブレイクを挟んだあとに登場したのは秘密のミーニーズ。ヴォーカル&ギターの菅野みち子をフロントに据え、渡辺たもつ(ヴォーカル、ギター、バンジョーほか)、青木利文(ヴォーカル、ギターほか)による3声のハーモニーを多用したサウンドが大きな個性となっている彼ら。60~70年代のウェストコースト・サウンドに強く影響を受けているが、その字義どおりのいわゆる爽快さだけではなく、時にはサイケデリックで物憂げな空気感も表現しているあたりに彼らのマニアックなこだわりを感じさせる。

 その秘密のミーニーズをバックに従えて颯爽とステージに現れたのはKEEPON。現在まだ15歳ながら、自主制作ですでに3作のアルバムを発表しているというKEEPON。それらの作品も今回の『GO! GO! ARAGAIN』でも基本的には宅録/多重録音で仕上げられているが、ここではライヴらしくバンドとのパフォーマンスを聴かせてくれた。「ロックン・ロール・マーチ」でも単なるカバーを超えたマニアックな引用も印象的だったが、本当に15歳なのかと疑ってしまうくらいに巧みなパフォーマンスを披露し、オーディエンスを驚愕させていた。まさしく“恐るべき10代”による、圧巻のステージだった。

 ここで再びトーク・コーナーとなり、本日のスペシャルゲストである野宮真貴が登場した。『GO! GO! ARAGAIN』では「君は天然色」で参加しているものの、この日は出演できなかった少林兄弟。10月31日にリリースされた野宮真貴のベスト・アルバム『野宮真貴 渋谷系ソングブック』には小西康陽がプロデュースを手がけた野宮真貴と少林兄弟による「東京は夜の七時」が収録されている。“渋谷系”をキーワードに活動を続けている近年の野宮真貴。トークでは『GO! GO! ARAGAIN』について「若い世代の人たちがこうしてカバーするのも、私が渋谷系をカバーするのも近い気がするし、とても意義のあるカバー・ブックになったんじゃないかと思う」といったコメントを残してくれた。

 Wienners、MAHOΩといったバンドでの活動を経て昨年よりソロ活動をスタートしたやなぎさわまちこ。これまでに発表した『わたしの向こう側』、『回転画』の2作のミニ・アルバムでは、ローファイでエレクトロなテイストを感じさせながらも独特のポップ感覚あふれるサウンドを聴かせてくれた。『GO! GO! ARAGAIN』には大瀧が渡辺満里奈に提供した「うれしい予感」を収録。楽曲の持つノスタルジックでノベルティ的な要素を、彼女ならではの表現力でよりポップに際立たせていたのが印象的だった。

 長いステージ転換を挟んで(この間は予定になかった長門&谷口によるトーク・コーナーとなった)ステージに登場したのはayU tokiO。やなぎさわまちこら3人の女性コーラス、ヴァイオリン、ヴィオラ、そしてミュージカルソウ(のこぎり)をフィーチャーした総勢9人によるパフォーマンスとなった。ドラムレスということもあり、フォー・リズムを基調としたロック/ポップス的なスタイルとはおよそかけ離れたアレンジメントではあったが、独特な浮遊感をたたえたサウンド・テクスチャーに魅了されたオーディエンスも少なくなかったのではないだろうか。『GO! GO! ARAGAIN』に収録されているもののイベントには参加できなかったシャムキャッツの大塚智之(ベース)もサポートに加わっていた。

 約3時間に及んだこのイベントのトリに登場したのは柴田聡子。バンド編成による“柴田聡子inFIRE”としてパフォーマンスを披露してくれた。エレクトリック・ギターを弾きながら、ソリッドなバンド・サウンドに乗せて歌われた「風立ちぬ」。『GO! GO! ARAGAIN』収録のスタジオ・ヴァージョンではディテールにもこだわったアレンジメントだったが、このステージではよりグルーヴ感にあふれたサウンドに変化し、フィナーレにふさわしい盛り上がりを見せてくれた。“柴田聡子inFIRE”としての現在の充実ぶりがヴィヴィッドに伝わってくる演奏を聴かせてくれたのは言うまでもないだろう。

 今年の3月21日にリリースされたコンピレーション『EIICHI OHTAKI Song Book Ⅲ 大瀧詠一作品集Vol.3 「夢で逢えたら」(1976~2018)』は、それこそブラス・バンドやオルゴールにいたるまで、さまざまなアレンジの「夢で逢えたら」を86トラックも収録し、ファンを驚かせたことも記憶に新しい。それだけ多くのミュージシャンに取り上げられるだけの名曲であるのはもちろんだが、同時にどんなアレンジを施されてもその輝きを失うことがないということも端的に知らしめてくれた。もちろん大瀧詠一楽曲としてのアイデンティティを感じさせながらも、まるでそれぞれのアーティストの持ち曲であるかのように思える場面が少なくなかったこの日のステージも(そして『GO! GO! ARAGAIN』も)、そういった印象は共通していると感じられた。

取材・文/鮎澤裕之(otonano編集部) 写真/佐々木理趣(otonano編集部)

< 出演後の楽屋コメント >

キイチビール&ザ・ホーリーティッツ

共通質問:「指切り」を選んだ理由は?

●本作への参加のお話を頂いたのがマスタリングの数週間前ということもあり、もう選曲に悩んでいる時間はありませんでした。それでもやはり恐れ多い名曲が数ある大瀧さん作品。最終的にはマネージャーが薦めてくれた<指切り>が持つマイナー調で切ない歌詞の感じというかムードが、僕らキイチビール&ザ・ホーリーティッツが今やろうとしていることとつながった気がしてカヴァーさせてもらいました。レパートリーにされていたシュガー・ベイブやピチカート・ファイヴの世界観をなぞってしまうと到底僕らのオリジナリティがないので(笑)、思い切ってハードロックな感じにしてみようかなとイントロからアレンジしてみたりコードを変えてみたり挑戦しました。(大瀧詠一さんと岩手県同郷?)はい! 僕ら県民の誇りです!! (キイチビール)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

Spoonful of Lovin’

共通質問:「それはぼくじゃないよ」を選んだ理由は?

●もしかしたらご存知の方もいるかもしれませんが僕らは2016年にラヴィン・スプーンフルの再発記念イベントのために、パイドパイパーハウス長門芳郎店長の指名で結成されたちょっと特殊なグループです(笑)。それぞれの演奏特徴がいちばん出やすいようにアプローチしてみた結果“ロンヴァケ”ではなく1st『大瀧詠一』にアルバム・ヴァージョンが収録された「それはぼくじゃないよ」をカヴァーしました。3月にもステージで演奏させてもらった時にいちばんしっくりしたのでその感触をスタジオでも再現してみました。サボテン楽団のバンジョー、渡瀬賢吾(roppen)さんのスライドギター、ポニーのヒサミツさんのヴォーカル、僕のアコーディオンを楽しんでもらえたら嬉しいですね。あ、bjons「雨のウェンズデイ」、OLD DAYS TAILOR「Velvet Motel」もよろしくお願いします(笑)! (谷口雄)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

bjons

共通質問:「雨のウェンズデイ」を選んだ理由は?

●あれ、谷口(Key)くんから詳しい経緯を聞いていませんか(笑)? 僕らは最後の方にアルバム参加が決まったので、ほかのアーティストのカヴァー曲がどんどん決まっていたなかで、気がついたら「雨のウェンズデイ」というメジャーな曲(笑)。あの『ロング・ヴァケイション』アナログB面1曲目をカヴァーさせてもらうということですからね……あ、でも必要以上の特別なプレッシャーはなかったかもしれません。個人的にも大好きな曲でしたし、いつもどおり自分たち=bjonsらしい解釈でレコーディングも、今日のライヴも楽しんで演奏できたと思っています。もしかしたら賛否両論が巻き起こる企画アルバムかもしれませんが(笑)、いまはこうして参加させてもらったことに心から感謝です。 (今泉雄貴/Vo&G)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

OLD DAYS TAILOR

共通質問:「Velvet Motel」を選んだ理由は?

●あれ、谷口(Key)くんから詳しい経緯を聞いていませんか(笑)? “森は生きている”のメンバーでもあるギターの岡田(拓郎)くんからこの曲を演奏してみようという提案があったんです。元々『ロング・ヴァケイション』は良く聴いていたし、「Velvet Motel」は低いキーでファルセットを使うというある意味、独得な歌唱の大瀧詠一の真髄でもある曲だと思っていたので「うん、やってみよう」って。で、実際にやってみたら歌いながら弾くこの曲のギターが難しかったのですが、大瀧さんが“歌う”こととどうやって距離を保ち、どうやって向き合っていたかを想像することができたので貴重な体験でした。僕らOLD DAYS TAILORには女性コーラスもいるので「Velvet Motel」をカヴァーするうえではやはり幸いでしたね。 (笹倉慎介/Vo)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

秘密のミーニーズ

共通質問:「春らんまん」を選んだ理由は?

●今回、大瀧さんの音楽史を振り返るなかで、僕ら“秘密のミーニーズ”は大瀧さんのカントリーアプローチを意識して聴きながら選曲させてもらいました。ほかのみなさんが大瀧さん名義のソロ作品から選ばれているのに、あーどうしよう自分らはバンドから選んじゃったよ~と思いましたが(笑)、ここは迷わず“はっぴいえんど”の楽曲からカヴァーさせてもらいました。アルバム『風街ろまん』のなかで三声コーラスがいちばん似合う曲はなんだろうと探りながら「春らんまん」に辿り着いたのですが……松本隆さんの歌詞を歌ってみるとけっこうメロディと合わせるのが難しくて、レコーディングの山はけっこう高かったですね。勉強させてもらいました。 (渡辺たもつ/Vo&G)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

KEEPON

共通質問:「ロックン・ロール・マーチ」を選んだ理由は?

●今回、はじめに『GO! GO! ARAGAIN』という企画タイトルを聞いたとき、僕としては嬉しかったですね。大瀧さん作品は全部コレクションしているので真っ先に元ネタの『GO! GO! NIAGARA』のジャケが浮かび、その次に♪NIAGARA~のCMジングルがアタマの中で鳴り響きました。だったら“ARAGAIN”で当時のCM曲もカヴァーしようと思ったのですがちょっと尺が短すぎたんです。「ロックン・ロール・マーチ」のオシリの部分がジングルの出典だったことは知っていたので、それこそ「ロックン・ロール・マーチ」をまるごとカヴァーさせてもらおうと思い、全部ひとりでレコーディングしました。絶対にやりたかった♪ARAGAINヴァージョンのジングル、みなさんもお楽しみください!(15歳、最年少参加?)孫世代とか言われたりしますが(笑)、僕自身、古いとか新しいとか、若いとか老いとか意識したことがないので、あまり関係ないですね……普通の答えでスミマセン(笑)。 (KEEPON)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

やなぎさわまちこ

共通質問:「うれしい予感」を選んだ理由は?

●私のなかでの大瀧詠一さん作品ということで選ばせてもらったのが「うれしい予感」でした。でも正直、「うれしい予感」というよりは『ちびまる子ちゃん』のテーマ曲。大瀧詠一さんというより歌われていた渡辺満里奈さんのイメージどうしようかなと思ったりもしたのですが、大瀧詠一さん作品の自分の原体験に正直に向き合ってレコーディングさせてもらいました。原曲は大瀧さんらしいウォール・オブ・サウンド感がしっかりと作り込まれていたと思うのですが、自分は打ち込みなどで違うアプローチを心がけたので、いまは、今日もそうでしたがライヴでの再現がもうひとつのテーマになっていますね。 (やなぎさわまちこ)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

ayU tokiO

共通質問:「幸せな結末」を選んだ理由は?

●「幸せな結末」はまだ子供だった自分には不思議な存在な曲でした。良く観ていた『CDTV』では『ラブ・ジェネレーション』の主題歌としてずっと上位にランクインしているのに、演奏シーンはなくていつもテレビに映し出されるのはキスしている男女のCDシングルのジャケット。あの時に抱いた少し“大人”で少しミステリアスな雰囲気を、今回のカヴァーでも自分なりに表現できたらと思い参加させてもらいました。(今日のステージは重厚なバックに囲まれ気持ちよさそうでしたが…?)はい! めちゃくちゃ気持ちよかったですね。じつは初めてこの曲をステージで披露したんですけど、リハーサルもなしで(苦笑)うまくいきました。同じく「うれしい予感」をカヴァーしているやなぎさわまちこのバックコーラスも心地よかったですね。 (ayU tokiO)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

柴田聡子inFIRE

共通質問:「風立ちぬ」を選んだ理由は?

●大瀧さん作品の女性ヴォーカルをカヴァーさせてもらおうと決めていました。「探偵物語」(薬師丸ひろ子)や「うれしい予感」(渡辺満里奈)も候補にさせてもらっていたのですが、私は、やっぱり松田聖子さんの大ファンなんです! A面丸ごと大瀧さん作曲編曲のアルバム『風立ちぬ』も愛聴盤でしたから、せっかくの機会なので正面から「風立ちぬ」完コピで行かせてもらいました(笑)。私のなかでは大瀧さんサウンドは少し派手で重厚なイメージがあったのですが、今回勉強させてもらったら松本隆さんの歌詞に寄り添う音のひとつひとつに意味があることを知りました。日本音楽史に残る完璧なまでのポップソングをカヴァーさせてもらえて幸せです。 (柴田聡子)

[11月4日@渋谷ストリームホール『GO!GO!ARAGAIN』リリースパーティ出演後の楽屋にて]

取材/安川達也(otonano編集部)

大瀧詠一 Cover Book
-ネクスト・ジェネレーション編-

『GO! GO! ARAGAIN』

■発売日:2018123 
■価格:2,500円+税 
■品番:MHCL-2794

<収録予定曲>

01. 少林兄弟
  「君は天然色」

02. キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
  「指切り」

03. ayU tokiO
  「幸せな結末」

04. bjons
  「雨のウェンズデイ」

05. 秘密のミーニーズ
  「春らんまん」

06. KEEPON
  「ロックン・ロール・マーチ」

07. 柴田聡子
  「風立ちぬ」

08. トリプルファイヤー
  「朝寝坊」

09. やなぎさわまちこ
  「うれしい予感」

10. OLD DAYS TAILOR
  「Velvet Motel」

11. Spoonful of Lovin’
  「それはぼくじゃないよ」

12. シャムキャッツ
  「夢で逢えたら」

*収録内容変更の可能性あり