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第310回 萩原健太のotonanoラジオ#192

2023/06/06 公開

井上鑑さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

井上鑑さんをゲストに迎えて(その2)

1.

井上鑑

滑走路夕景 (RUNWAY LIGHTS)

『TOKYO INSTALLATION』

井上鑑さんをゲストに迎えて(その2)

2.

井上鑑

LADY JEAN

『RHAPSODIZE』

井上鑑さんをゲストに迎えて(その2)

3.

井上鑑

SMILE

『RHAPSODIZE』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#192

『幸せな結末~AKIRA INOUEアレンジ・ワークス集』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. 幸せな結末 / 大滝詠一

先週に引き続き、井上鑑さんをお迎えして新作アルバム『RHAPSODIZE』をめぐって盛り上がった「otonanoラジオ」、いかがでしたか? さて、そんな井上鑑さんをめぐるプレイリスト。先週はアキラさんの過去のソロ・アルバム群などからご自身パフォーマーとしてリリースなさった曲のベスト・セレクションをお届けしましたが。今週は日本を代表するアレンジャーとしてのアキラさんにスポットを当てます。これまでアキラさんが編曲家として手がけた無数の作品群から、ほんのごく一部ではありますが、12曲ピックアップしてみました。まずはアキラさんにとって大切な師匠筋にあたる大滝詠一さんのナンバー。1997年のシングル・チューンからいきましょう。まだ歌詞ができあがっておらず、曲タイトルもついていなかったときにこの曲のアレンジを依頼されたアキラさんは、ご自分が考案したイントロの冒頭フレーズの音列が映画『ウエストサイド物語』の挿入歌「トゥナイト」と同じあることから、譜面に“Tonight”と記してきたのが“アキラの音楽的ルーツを表わしていてとても印象的だった”と、生前、大滝さんが楽しそうにおっしゃっていたことを思い出します。
2. 素直になりたい / ハイ・ファイ・セット

続いては1984年、ハイ・ファイ・セットのシングル・ナンバーです。作詞作曲:杉真理、編曲:井上鑑。
3. 夏のクラクション / 稲垣潤一

アキラさんは自らソロ・アーティストとして1980年代アタマに東芝EMIからアルバム・デビューを飾った当時、EMIの“ニューウェイヴ4人衆”のひとりとしてプロモーションされていました。その4人衆の顔ぶれはアキラさんの他、安部恭弘、鈴木雄大、そして稲垣潤一。というわけで、その稲垣さんの曲、いってみましょう。作詞:売野雅勇、作曲:筒美京平、編曲:井上鑑という必殺のラインアップで制作された1983年の名曲です。
4. CURTAIN CALL / 杏里

アキラさんのプロデュースの下、1986年にロンドン・レコーディングされた杏里さんのアルバム『TROUBLE IN PARADISE』より。作詞:真沙木唯、作曲:佐藤博、編曲:井上鑑。
5. The Stardust Memory / 小泉今日子

1984年にキョンキョンが放ったナンバーワン・ヒット。作詞:高見沢俊彦&高橋研、作曲:高見沢俊彦、編曲:井上鑑。
6. 出航 SASURAI / 寺尾聰

1981年の日本のポップ・シーンを代表する特大ヒット・アルバムといえば大滝詠一の『ロング・バケーション』と寺尾聰の『リフレクションズ』。アキラさんはこの両方にがっつり深く関わっていて、当時、この人ほんとすごいなと思わせてくれたものですが。そのうちのひとつ、寺尾聰さんの『リフレクションズ』の収録曲を。今なおテレビのCMイメージソングとして親しまれている名曲です。作詞:有川正沙子、作曲:寺尾聰、編曲:井上鑑。
7. Tシャツに口紅 / ラッツ&スター

アキラさんは本当に大滝詠一作品に欠かせない存在でした。今回も大滝さん絡みの曲だけで12曲選んじゃおうかなと思ったほど。薬師丸ひろ子の「探偵物語」とかもいいなぁ、ナイアガラ・フォール・オヴ・サウンド・オーケストラルもいいなぁ…と、あれこれ楽しく悩んだ末、やっぱりこの曲は外せないなとラッツの曲、選ばせていただきました。作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、編曲:井上鑑。1983年のヒットです。
8. 旅立ちはフリージア / 松田聖子

1988年のヒットです。作詞は聖子ちゃん自身、作曲:タケカワユキヒデ、編曲:井上鑑。
9. 渡り鳥 はぐれ鳥 / 沢田研二

続いては1984年のナンバー。作詞:三浦徳子、作曲:新田一郎、編曲:井上鑑。新田さんらしいブラス・ロックです。
10. 静かにきたソリチュード / 今井美樹

1988年のナンバー。作詞:戸沢暢美、作曲:中崎英也、編曲:井上鑑。ちょっぴりソウル系?
11. SAND BEIGE -砂漠へ- / 中森明菜

聖子ちゃん、キョンキョン、そして明菜。1980年代アイドルにとってもアキラさんは欠かせないアレンジャーさんだったわけですが。これは明菜ちゃんが1985年にリリースしたシングル・チューン。作詞:許瑛子、作曲:都志見隆、編曲:井上鑑。エキゾチックにキメてます。
12. 輝きたいの(アルバム・ヴァージョン) / 遠藤京子

井上鑑アレンジ特集、最後はぼくが個人的にも大好きなシンガー・ソングライター、遠藤京子(現・響子)さんの曲を。この曲はもともと1983年にテレビドラマの主題歌としてシングル・リリースされたもので、そのシングルは鈴木茂さんのアレンジでした。が、1985年にアルバム『夢見るスター』に収められる際、井上鑑さんのアレンジで再録音。そちらのアルバム・ヴァージョンで今回のプレイリストを締めくくりましょう。作詞作曲:遠藤京子、編曲:井上鑑。

解説:萩原健太

井上鑑さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第309回 萩原健太のotonanoラジオ#191

2023/05/30 公開

井上鑑さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

井上鑑さんをゲストに迎えて(その1)

1.

井上鑑

DIA

『RHAPSODIZE』

井上鑑さんをゲストに迎えて(その1)

2.

井上鑑

Woodstock Lost (feat. 吉田美奈子)

『RHAPSODIZE』

井上鑑さんをゲストに迎えて(その1)

3.

井上鑑

Let the Water Flow

『RHAPSODIZE』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#191

『バルトークの影~AKIRA INOUE極私的ベスト!since 1982』

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1. バルトークの影 / 井上鑑

井上鑑さんをお迎えして新作アルバム『RHAPSODIZE』についてたっぷりお話をうかがった今週の「otonanoラジオ」。アキラさんのお話はいつもクールで、深くて、幅広くて、しびれます。来週も楽しみ。というわけで、今週のプレイリストはアキラさんが過去リリースしてきた多彩なアルバム群からそれぞれ1曲ずつ、ぼくの好きな曲をセレクトした極私的ベストです。残念ながらストリーミングされていない作品もいくつかあって、その辺は仕方なく省いていますが、ざっくりアキラさんのソロ・パフォーマーとしての歩みを振り返っていただけるか、と。まずは1982年にリリースされた初ソロ・アルバム『PROPHETIC DREAM〜予言者の夢』から。そのオープニングを飾っていたナンバーです。いきなりスティーリー・ダンみたいな精緻な音に乗せて、バルトークを題材に、ハンガリーへと思いを馳せる曲が飛び出してきて、ぶっとんだっけ。懐かしい。
2. アレサコレサ / Parachute

ソロ・アルバムを出す以前、1981年にアキラさんはウルテク・ミュージシャンが結集した超絶フュージョン・バンド、パラシュートに途中加入。ライヴに、スタジオワークに、大活躍していました。その時期の演奏を。順序は逆になりますが、『PROPHETIC DREAM〜予言者の夢』が出る前年、1981年にリリースされたアルバム『HAERE MAI』より。アキラさん作曲のイキのいいフュージョン・チューンです。このときのパラシュートは林立夫(ドラム)、斉藤ノブ(パーカッション)、マイク・ダン(ベース)、松原正樹(ギター)、今剛(ギター)、安藤芳彦(キーボード)、井上鑑(キーボード)というめくるめく顔ぶれでした。
3. 夏の夜の夢: オースゴールストランの海辺 / 井上鑑

1982年にリリースされたセカンド・ソロ・アルバム『CRYPTOGRAM』より。その後、アキラさんの第二の拠点となるロンドンで初めてレコーディングされた1枚でした。
4. リンダ・ラルー (ラムの大通りにて) / 井上鑑

1983年リリースのソロ・アルバム『SPLASH』より。みずみずしいワルツへと流れ込んでいくまでの展開もなんだか魅力的。
5. A MOMENT IN A MORNING / 井上鑑

アキラさんに加え、ジョン・ギブリン(ベース)、アラン・マーフィー(ギター)、今剛(ギター)、山木秀夫(ドラム)が参加したプロジェクトによる1985年のアルバム『架空庭園論』より。冒頭の女性たちのおしゃべりも興味深い。加工されていて内容全然入ってこないけど(笑)。
6. アポカリプス戦線 / 井上鑑

過去の作品群からピックアップした曲たちを新たに書き下ろしたインタールードでつないだ1986年の変則ベスト・アルバム『UNDULATION』より。本曲はボーナス・トラックとして収録されていた2曲のアルバム未収録楽曲のうちのひとつです。
7. 遠い波 / 井上鑑

1986年に書籍+CDという形でリリースされた『TOKYO INSTALLATION』の収録曲を。エレクトロニック音楽と和楽器がイマジネイティヴに交錯する意欲作でした。
8. LOVE SONG / 井上鑑&デヴィッド・ローズ

ピーター・ゲイブリエルとのタッグでおなじみのギタリスト、デヴィッド・ローズとの連名で1989年にリリースされたアルバム『HEAD,HANDS AND FEET』より。
9. Motion In Emotion / 井上鑑

その他、1980年代末にはスウィッチ・レーベルなどからもいくつか傑作アルバムをリリースしているものの、ストリーミングされていないので一気に2001年へ。ボブ・ディランやレッド・ツェッペリンのナンバーのカヴァーなども含む初のピアノ・ソロ・アルバム『OPHELIA~12の物語に捧げる12のピアノ曲~』から、心洗われる1曲を。
10. Centrifugal Focus / 井上鑑

2006年、チャド・ブレイクにミックスを依頼した名盤『CRITERIA』から。吉田兄弟の津軽三味線がファンキーにグルーヴします。
11. 和音 (Resonator) / 井上鑑

2017年、『CRITERIA』から11年ぶりにリリースされたソロ・アルバム『OSTINATO』からのナンバー。これもチャド・ブレイクのミックス。デヴィッド・ローズ、ジョン・ギブリン、ジェフ・ダグモア(ドラム)、山木秀夫(ドラム)、高水健司(ベース)、今剛ら内外の名手が参加したアキラさんならではの充実しまくりの1枚でしたが、そこからあえてぐっと地味目の1曲をセレクトしてみました。しみます。
12. ブラームスの子守歌 / 井上鑑

最後は2021年にリリースされた企画アルバム『私たちの大切なうた1〜ダニーボーイ』より。コロナ禍、なかなか大きな声を出すことができない状況にあって、それでも好きな曲を口ずさみたいという思いを満たすために企画された超おなじみの名曲集でした。今回はブラームスの美しい旋律を。

解説:萩原健太

井上鑑さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第308回 萩原健太のotonanoラジオ#190

2023/05/23 公開

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その2)

今週のオンエア曲

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その2)

1.

山下達郎

THIS COULD BE THE NIGHT

『GO AHEAD!』

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その2)

2.

山下達郎

HEY THERE LONELY GIRL

『IT'S A POPPIN' TIME』

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その2)

3.

山下達郎

ピンク・シャドウ

『IT'S A POPPIN' TIME』

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その2)

4.

山下達郎

時よ

『IT'S A POPPIN' TIME』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#190

『That’s My Desire~山下達郎Covers オリジナル・ヴァージョン集』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. ピンク・シャドウ / ブレッド&バター

 先週に引き続き、山下達郎さんが1976年から1982年、RCA/AIRレコード在籍中に残したアルバム群をアナログLPおよびカセットテープで復刻する“TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection”シリーズに注目して特集をお送りした今週の『otonanoラジオ』。先週は達郎さんが他アーティストに提供した楽曲のセルフ・カヴァー・ヴァージョンを特集しましたが、今週は達郎さんがこの時期にアルバムでカヴァーした他アーティストの楽曲を集めてお届けしました。シンガーとしての達郎さんの魅力をたっぷり味わっていただけていればうれしいです。というわけで、今週のプレイリストも達郎さんのカヴァー・ヴァージョン絡み。達郎さんがアルバムで、あるいはライヴで、いろいろな形でカヴァーしてきた他ソングライターによる楽曲のオリジナル・ヴァージョンを集めて並べてみました。達郎さんの音楽の好みのようなものが垣間見られて興味深いと思います。
 本当は今週の番組でも1曲目にかけた「ジス・クッド・ビー・ザ・ナイト」で始めたかったんですが、この曲のオリジナル・アーティストであるMFQのヴァージョンがストリーミングされていなくて。まあ、作者であるハリー・ニルソンのデモ・ヴァージョンとか、ブライアン・ウィルソンによる後年のカヴァー・ヴァージョンとかはあるんですが、それもどうかなぁ…と思って、今回は見送り。番組の3曲目にかけたこっちの曲のオリジナル・ヴァージョンでプレイリストをスタートしましょう。達郎さんが1978年の2枚組ライヴ・アルバム『イッツ・ア・ポッピン・タイム』でカヴァーしていた名曲です。ブレッド&バターが1974年にリリースした名作アルバム『Barbecue』の収録曲です。シングル・ヴァージョンもありますが、今回はよりかっこいいアルバム・ヴァージョンのほうで。
2. New York's A Lonely Town / The Tradewinds

 続いては1991年のアルバム『アルチザン』で達郎さんがカヴァーしていた「Tokyo's A Lonely Town」。これ、元々はトレィドウインズが1965年にヒットさせた「ニューヨークは淋しい町(New York's A Lonely Town)」という曲でした。それを後年、デイヴ・エドモンズが地名をロンドンに置き換え「London's A Lonely Town」としてカヴァーしたことがあって。それに倣い、達郎さんは「Tokyo's A Lonely Town」としてカヴァーした、と。そういう洒落心に満ちたカヴァー劇でした。ということで、大元になっているトレイドウィンズのヴァージョンをどうぞ。
3. Guess I'm Dumb / Glen Campbell

 達郎さんが1983年のアルバム『メロディーズ』でカヴァーしていた名曲。ラス・タイトルマン作詞、ブライアン・ウィルソン作曲によるグレン・キャンベル、1965年のシングル・ナンバーです。
4. 指切り / 大滝詠一

 達郎さんがシュガー・ベイブの一員としてデビューする前、1974年にニッポン放送のスタジオで録音した、いわゆる“LFデモ”でカヴァーしていたナンバー。シュガー・ベイブのファースト・アルバムのプロデュースを手がけることになっていた大滝詠一師匠のファースト・ソロ・アルバム、1972年の『大瀧詠一』に収められていた作品です。
5. Hey There Lonely Girl / Eddie Holman

 「ピンク・シャドウ」同様、2枚組ライヴ・アルバム『イッツ・ア・ポッピン・タイム』で達郎さんがカヴァーしていた曲。番組でもお伝えした通り、もともとは女性シンガー、ルビー・ナッシュをフィーチャーしたヴォーカル・グループ、ルビー&ザ・ロマンティックスが1963年にリリースした「ヘイ・ゼア・ロンリー・ボーイ」という曲がオリジナルですが、達郎さんはそれを1969年、「ヘイ・ゼア・ロンリー・ガール」と改題してリバイバル・ヒットさせたエディ・ホールマンのヴァージョンを元にカヴァーしていました。ということで、そのエディ・ホールマン・ヴァージョンを。
6. Can't Take My Eyes Off You / Frankie Valli

 達郎さんは近年のライヴでもツアーごとにお気に入り曲をひとつずつカヴァーして聞かせてくれていますが、2015年から2016年にかけてのツアーではこの曲を歌っていました。そのときの音源はシングル「チア・アップ! ザ・サマー」のカップリングとして世に出ていますが。もともとはフォー・シーズンズのリード・シンガーとしておなじみのフランキー・ヴァリが1967年に放ったソロ・ヒット。1980年代にはボーイズ・タウン・ギャングによるカヴァー・ヴァージョンもディスコで大ヒットしましたが、達郎さんはもちろんフランキー・ヴァリのオリジナル・ヴァージョンを下敷きに気持ちよさそうにカヴァーしていました。
7. It's Not Unusual / Tom Jones

 これも2017年のコンサート・ツアーで達郎さんが気持ちよさそうにカヴァーしていた1曲。1965年にトム・ジョーンスがヒットさせたナンバーです。邦題は「よくあることさ」。
8. Oh, Pretty Woman / Roy Orbison

 この曲は学生時代から達郎さんお得意のレパートリーだったようで、ご自身でDJをつとめるFM番組で歌ったり、ファンクラブ向けのスペシャルCDでカヴァーしたり、コンサート・ツアーでも披露したり、機会があるごとによくカヴァーしている曲。1982年のヴァン・ヘイレンによるカヴァー・ヴァージョンもおなじみですが、達郎さんが下敷きにしているオリジナル・ヴァージョンは1964年にロイ・オービソンが全米1位に送り込んだこのヴァージョンです。
9. 二人の夏 / 愛奴

 浜田省吾さんがソロ・デビュー前に在籍していたバンド、愛奴が1975年にリリースしたファースト・シングル。達郎さんは1994年のコンサート・ツアー“TATSURO YAMASHITA Sings SUGAR BABE”でカヴァー。そのときの音源をシングル「世界の果てまで」のカップリングとしてリリースしています。ちなみにこの曲、間奏にビーチ・ボーイズの「サマー・ミーンズ・ニュー・ラヴ」が引用されていて、愛奴ヴァージョンではそのコード進行などがちょっと曖昧に変更されていたのですが、達郎ヴァージョンではビーチ・ボーイズのオリジナル・ヴァージョンをそのまま完コピで再現。超マニアックな達郎さんらしさが爆発していました。
10. Groovin' / The Young Rascals

 達郎さんのフェイヴァリット・アーティストのひとつ、ラスカルズが1967年に放った全米ナンバーワン・ヒット。達郎さんはこの曲をまず1979年のサントラ・アルバム『限りなく透明に近いブルー』でカヴァー。その後、自身のFM番組のために改めてカヴァーして、そのヴァージョンが1991年のアルバム『アルチザン』に収録されました。
11. 時よ / 吉田美奈子

 もう1曲、番組でもかけた『イッツ・ア・ポッピン・タイム』収録曲のオリジナル・ヴァージョンを。『…ポッピン・タイム』にもコーラスで参加していた吉田美奈子さんが1978年にリリースしたアルバム『LET'S DO IT -愛は思うまま-』からのナンバーです。といっても、実はこのアルバム、『…ポッピン・タイム』のちょっと後に出ているため、厳密にはどっちがオリジナル・ヴァージョンなのか、微妙ですが。いずれにしても1970年代後半の達郎さんと美奈子さんは、ぼくたち当時の若き音楽ファンにとって大いなる希望の星でありました。
12. That's My Desire / The Belmonts

 そして最後は、達郎さんのコンサートの締めの1曲として流れるこの曲を。1980年リリースのドゥーワップ・カヴァー・アルバム『オン・ザ・ストリート・コーナー』のために録音したひとり多重コーラス・ヴァージョンがコンサートのエンディングで使われています。もともとは1930年代に作られたスタンダード・ナンバー。以来、ルイ・アームストロングからエディ・コクラン、ホリーズまで、多彩なアーティストが歌ってきましたが、ドゥーワップとしては1957年のザ・チャネルズのヴァージョンがおなじみです。が、達郎さんはたぶんザ・ベルモンツが1972年にリリースしたこのアカペラ・ヴァージョンじゃないかなぁ…ってことで。このヴァージョンでプレイリストを締めくくりたいと思います。

解説:萩原健太

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第307回 萩原健太のotonanoラジオ#189

2023/05/16 公開

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その1)

今週のオンエア曲

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その1)

1.

山下達郎

LET'S DANCE BABY

『GO AHEAD!』

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その1)

2.

山下達郎

TOUCH ME LIGHTLY

『MOONGLOW』

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その1)

3.

山下達郎

LAST STEP

『CIRCUS TOWN』

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その1)

4.

山下達郎

雲のゆくえに

『RIDE ON TIME』

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その1)

5.

山下達郎

夏への扉

『RIDE ON TIME』

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その1)

6.

山下達郎

MORNING GLORY

『FOR YOU』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#189

『山下達郎Worksスペシャル[提供楽曲集]』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. 恋のブギ・ウギ・トレイン / アン・ルイス

山下達郎さんがシュガーベイブを解散して1976年に初のソロ・アルバム『サーカス・タウン』で再スタートを切ってから、1982年、アルバム『フォー・ユー』を大ヒットさせるまで、RCA/AIRレコード在籍期のオリジナル・スタジオ・アルバム6作と、2枚組ライヴ・アルバム1作、そしてグレイテスト・ヒッツ1作、計8作をこの5月から9月にかけて少しずつ、アナログLPやミュージック・カセットで再発していく“TATSURO YAMASHITA RCA/AIR YEARS Vinyl Collection”シリーズ。今週の『otonanoラジオ』は、このシリーズで再発される作品群を2週にわたって聞き直していこうという特集、その1回目をお届けしました。テーマは達郎さんが他アーティストに提供した楽曲のセルフ・カヴァー・ヴァージョン。達郎さんはわりと活動初期から他のシンガーへの楽曲提供をしていて。番組でも話した通り、自分で歌うために書くときよりもちょっとだけわかりやすくなるというか、親しみやすくなるというか、そういう感触が素敵だったりします。今回番組でオンエアしたのはそんな提供曲を達郎さん自らが歌ったヴァージョンだったわけですが。こちらのプレイリストでは、それ以外、達郎さん自身は音盤化していない提供楽曲集というのを作ってみました。ライヴではご自身でも歌っている曲はいくつか含まれています。まずは達郎ライヴでもけっこうおなじみのこの曲、1979年暮れにアン・ルイスさんに提供されたナンバーからいきましょう。作詞・吉田美奈子、作編曲・山下達郎によるごきげんなディスコ・チューンです。
2. Dream In The Street / 池田典代

1979年にリリースされた池田典代さんのアルバム『Dream In The Street』はシティ・ポップ系の隠れた名盤として人気の1枚。松岡直也、村上ポンタ、鈴木茂,土屋昌巳、野呂一生ら強力な顔ぶれがバックアップした作品ですが、そのオープニングを飾っていたのが作詞・池田典代、作曲・山下達郎によるこのナンバーでした。達郎さん自身もギターとコーラスで参加しています。
3. 復活Love / 嵐

達郎さんは近藤真彦の「ハイティーン・ブギ」や少年隊の「湾岸スキーヤー」、KinKi Kidsの「硝子の少年」など、ジャニーズ系の楽曲をたくさん手がけているのですが、このあたりなかなか配信もされておらず、今回はほとんど選曲できず。でも、嵐のこの曲だけはストリーミングされていました。2016年のシングル。作詞・竹内まりや、作編曲・山下達郎です。
4. 夏の恋人 / 竹内まりや

奥さま、竹内まりやさんの場合、近年のレパートリーはほぼすべて自作曲になっていますが、活動初期、RCAレコード在籍期には加藤和彦、林哲司、杉真理、細野晴臣、安部恭弘など、他のソングライターたちの曲をたくさん歌っていました。もちろん達郎さんもけっこうたくさんの楽曲を提供。ということで、今回はまりやさんのデビュー・アルバム、1978年の『Beginning』からこの曲を。作詞作曲・山下達郎、編曲はアル・キャップスです。
5. 真夜中にベルが2度鳴って / EPO

EPOさんといえば、達郎さんがシュガー・ベイブを率いて活動していた時期の代表曲「ダウンタウン」のカヴァーでもおなじみですが。そんな彼女が1981年にリリースしたアルバム『JOEPO〜1981KHz』より、作詞・EPO、作編曲・山下達郎によるこの曲を。
6. シャンプー / 山下久美子

この曲ももともとは1979年、アン・ルイスさんに提供された楽曲。それを山下久美子さんが1981年、サード・アルバム『雨の日は家にいて』でカヴァーしたヴァージョンを聞いてください。作詞・康珍化、作曲・山下達郎、編曲・石田長生。
7. WOMAN / フランク永井

これはリリース当時、大いに話題になりました。歌謡曲の大御所、フランク永井への提供曲。フランク永井と言えば“低音の魅力”ってことで、達郎さんはやはり低音が魅力的だったアメリカの偉大なジャズ〜ソウル系シンガー、ルー・ロウルズのヒット曲を意識しながらこの曲を仕上げたのだとか。作詞作曲・山下達郎、編曲・山下達郎&乾裕樹による1982年のシングル曲です。
8. センチメンタル・ボーイ / 桜田淳子

桜田淳子が1979年にリリースしたアルバム『PARTY IS OVER』に達郎さんは2曲、提供していました。そのうちのひとつ。作詞・岩沢律、作曲・山下達郎。編曲は初期達郎バンドのギタリストでもあった元ムーンライダーズの椎名和夫さんでした。
9. バイブレイション / 笠井紀美子

日本のプログレッシヴなジャズ・シンガーの草分け、笠井紀美子が1977年にリリースしたアルバム『トーキョー・スペシャル』より。作詞・安井かずみ、作曲・山下達郎、編曲・鈴木“コルゲン”宏昌。
10. 偽りのDJ / ダディ竹千代と東京おとぼけCats

これも1980年の発売当時、ファンの間でけっこう話題になった1枚。超ごきげんな“音態模写”で人気を博したファンキーでパワフルでアヴァンギャルドな実力派バンドのサード・シングルです。作詞は“ダディ竹千代”こと加治木剛、作曲は達郎さん、編曲は“ダニエル茜”こと浦山秀彦。
11. 恋の手ほどき / 吉田美奈子

達郎さんの多くの楽曲に素晴らしい歌詞を提供してきたことでもおなじみ、日本の最強ディーヴァ、吉田美奈子さんにも1970年代、達郎さんはたくさんの曲を提供しています。その中から今回は1978年のアルバム『愛は思うまま』からのナンバーを。このアルバムに達郎さんは3曲提供していますが、そのうちのひとつ。作詞は美奈子さん、作曲は達郎さん、編曲はジーン・ペイジという鉄壁の布陣です。
12. おやすみロージー 〜Angel Babyへのオマージュ〜 / 鈴木雅之

そしてラストは、これまた達郎さんがライヴでよく取り上げている名曲を。マーチンさんが1988年にリリースしたアルバム『Radio Days』より。作詞作曲、編曲、すべて達郎さん。達郎さん自身が多重コーラスでバックアップしています。

解説:萩原健太

山下達郎(RCA/AIR YEARS)特集(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第306回 萩原健太のotonanoラジオ#188

2023/05/09 公開

山下久美子さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

山下久美子さんをゲストに迎えて(その2)

1.

山下久美子

ON THE STREET WHERE YOU LIVE

『JAZZ "N" KUMIKO』

山下久美子さんをゲストに迎えて(その2)

2.

山下久美子

LADY JEAN

『JAZZ "N" KUMIKO』

山下久美子さんをゲストに迎えて(その2)

3.

山下久美子

SMILE

『JAZZ "N" KUMIKO』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#188

『LADY×××POP! ~ベスト・オブ・山下久美子|Nippon Columbia Years』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. ハードボイルド エッグズ グラタン / 山下久美子

先週に引き続き山下久美子さんのお迎えして、初のジャズ・アルバム『Jazz’n’Kumiko』の特集をお届けした『otonanoラジオ』。楽しかったですねー。ぼくも久々に久美子さんと話ができて、大いに盛り上がりました。というわけで、今回のプレイリストは、ぼくが久美子さんとしょっちゅうお目にかかっていた1980年代、彼女が日本コロムビア・レコードに在籍していた時期のオリジナル・アルバム全12枚それぞれから1曲ずつセレクトした『ベスト・オブ・久美子』健太エディションです。基本的におなじみのシングル曲とかはあえて外した、ぼくの個人的好みまるだしの裏ベスト的セレクション。こういう久美子さんもごきげんです。お楽しみください。ということで、まずは1980年6月発売のデビュー・アルバム『バスルームから愛をこめて』から1曲。作詞・康珍化、作曲・亀井登志夫、編曲・松任谷正隆という布陣によるこの曲からどうぞ。
2. Sweet Slow Samba / 山下久美子

続いては1980年12月発売のセカンド・アルバム『ダンシン・イン・ザ・キッチン』より。作詞・KURO、作曲・西岡恭蔵、編曲・松任谷正隆というナンバーです。
3. どしてもプリーズ / 山下久美子

佐野元春作の「ソー・ヤング」や、今回のジャズ・アルバムでも改めてカヴァーしていた山下達郎作の「シャンプー」などを含む1981年8月発売の初期傑作アルバム『雨の日は家にいて』からは、作詞・康珍化、作曲・岡本一生、編曲・伊藤銀次によるこのナンバーを。
4. EASY TO CHANGE MY LIFE / 山下久美子

1982年4月リリースの『抱きしめてオンリィ・ユー』は、特大ヒット・シングル「赤道小町ドキッ」と同時期に出たアルバム。にもかかわらず、「赤道小町」は入っていないという、なんとも久美子さんらしい、なんというか、こう、ツンデレ? いや、デレツン? な1枚でした。その中から作詞・下田逸郎、作曲・岡本一生、編曲・大村憲司というなかなかにクセ者ぞろいの作家陣による曲をどうぞ。
5. A Silver Girl (ずっと昔から) / 山下久美子

1982年11月リリースのアルバム『Baby Baby』はパンタ、Nobody、大沢誉志幸など興味深い作家陣が参加した1枚でした。そのオープニングを飾っていた佐野元春の作詞作曲ナンバーを聞いてください。編曲は大村憲司。
6. LOVER ステッカー / 山下久美子

1983年7月に出たアルバム『Sophia』は米ニューヨークのレコーディング・スタジオ“ザ・パワー・ステーション”で制作された1枚。プロデュースとギターはヒュー・マクラッケン、ドラムがリック・マロッタ、ベースがトニー・レヴィン、キーボードがドン・グロルニックという強力な顔ぶれがバックアップしていました。その中から、なんとカーリー・サイモンがバック・コーラスに参加したこの曲を。作詞・銀色夏生、作曲・亀井登志夫、編曲はヒュー・マクラッケンです。
7. DOWNTOWN SUNDOWN / 山下久美子

1984年5月リリースの『ANIMA ANIMUS』はアレンジャーに後藤次利を起用したなかなかの問題作。そこから作詞・神沢のりえ、作編曲・後藤次利によるナンバーを。
8. プリテンダー / 山下久美子

前作に引き続き後藤次利が全曲のアレンジを手がけた1985年1月のアルバム『and Sophia's back』より。作詞・神沢のりえ、作曲・斎藤誠。
9. Sweet Pain / 山下久美子

1985年11月リリースのアルバム『BLONDE』は久美子さんにとっていろいろな意味で分岐点となった1枚で。この年に結婚することになる布袋寅泰が全面的に参加していました。まあ、ご存じの通り、のちに二人は別々の道を歩むことになってしまうものの、このアルバムをきっかけに彼らの鉄壁のコンビネーションが生まれたのでした。そんなアルバムから、作詞・あさくらせいら&山下久美子、作曲・有賀啓雄、編曲・吉田建によるこの曲を。
10. Nomore, Rumour / 山下久美子

1986年10月リリースの『1986』は、布袋寅泰がサウンド・プロデューサーとして全面参加した“ロックンロール3部作”の第1弾でした。作詞・山下久美子、作編曲・布袋寅泰。
11. LADY×××POP! / 山下久美子

布袋寅泰との“ロックンロール3部作”第2弾 、1987年7月リリースの『POP』より。プロデューサー・クレジットには今回のジャズ・アルバムのプロデュースも手がけた渡辺康蔵の名前も並んでいます。この曲ももちろん作詞・山下久美子、作編曲・布袋寅泰。
12. LADY JEAN / 山下久美子

そしてラストは今回の『Jazz’n’Kumiko』でもジャズ・アレンジで再演されていたこの曲。1988年6月リリースの“ロックンロール3部作”最終作『Baby alone』の収録曲です。このアルバムを最後に久美子さんはしばし音楽活動を休止。新たなステップめがけて充電期間に入ったのでありました。

解説:萩原健太

山下久美子さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第305回 萩原健太のotonanoラジオ#187

2023/05/02 公開

山下久美子さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

山下久美子さんをゲストに迎えて(その1)

1.

山下久美子

BYE BYE BLACKBIRD

『JAZZ "N" KUMIKO』

山下久美子さんをゲストに迎えて(その1)

2.

山下久美子

シャンプー

『JAZZ "N" KUMIKO』

山下久美子さんをゲストに迎えて(その1)

3.

山下久美子

LOVIN' YOU

『JAZZ "N" KUMIKO』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#187

『ポップ・フィールドのアーティストによるジャズ・スタンダート名演集』

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1. We Three (My Echo, My Shadow And Me) / Paul McCartney

山下久美子さんをお迎えして、最新アルバム『Jazz’n’Kumiko』についてたっぷりお話をうかがった『otonanoラジオ』。ぼくも久美子さんに会うのが、まじ久々だったもので大いに盛り上がってしまいましたが(笑)。何よりも、久美子さんが彼女ならではのキュートな歌声で往年のジャズ・スタンダードを歌うという、その設定を聞くだけでわくわくしてしまう新作アルバムが素敵で。楽しいひとときでした。来週もお楽しみに。というわけで、今回のプレイリストは久美子さん同様、ポップ・フィールドで活躍するアーティストがジャズ・スタンダードを歌った名演を古今の洋楽からいろいろ集めてみました。ジャズ・シンガーが歌うのと違って、ポップ・シンガーの場合、インプロヴィゼーション的なフェイクを入れることなく楽曲そのものの良さみたいなものをまっすぐ伝えてくれるパフォーマンスが多くて。久美子さんの新作も含めて、そういうアプローチがいいなぁと思います。まずはこの人、ポール・マッカートニー。2012年にダイアナ・クラールのピアノをバックに録音されたアルバム『キス・オン・ザ・ボトム』から、1940年にインク・スポッツやフランク・シナトラがヒットさせたこの曲をどうぞ。
2. Just In Time / Rickie Lee Jones

久美子さんもちょっと意識したというリッキー・リー・ジョーンズは、これまでも時折ジャズ・スタンダードを歌ったり、ジャズっぽいアレンジを導入したりしてきましたが。この4月、全曲スタンダード・ナンバーをカヴァーした新作アルバム『ピーシズ・オヴ・トレジャー』をリリースしました。というわけで、その中からディーン・マーティンのヒット曲としておなじみの「ジャスト・イン・タイム」を。
3. Why Try To Change Me Now / Bob Dylan

こちらも4月、久々の来日を果たして大いに盛り上がったボブ・ディラン。彼も2015年から2017年にかけて、フランク・シナトラのレパートリーを中心とするスタンダード・ナンバーばかり歌ったアルバムを3作リリースしています。そのシリーズ第1弾となった2015年のアルバム『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』から1曲セレクトしてみました。
4. Love Is Here To Stay / Brian Wilson

20世紀の米国を代表する名作曲家のひとり、ジョージ・ガーシュウィン。彼を敬愛するブライアン・ウィルソンが、2010年、ガーシュウィンが残した名曲群を“リイマジン=再考”、つまり独自の切り口でカヴァーした1枚『ブライアン・ウィルソン・リイマジンズ・ガーシュウィン』より。1938年、映画『華麗なるミュージカル(The Goldwyn Follies)』のために書き下ろされた名曲です。
5. Teach Me Tonight / James Taylor

ジェイムス・テイラーもちょいちょいカヴァー・アルバムを制作しているけれど。全編ジャズ・スタンダードもので固めた1枚は2020年の、ずばり『アメリカン・スタンダード』が初でした。そのアルバムから多くのシンガーがカヴァーしてきたこの名曲を。ジェイムス・テイラー自身は1954年にダイナ・ワシントンが歌ったヴァージョンが好きだと言ってました。
6. You're My Thrill / Joni Mitchell

難病を克服して、今年の夏、ブランディ・カーライルのサポートの下、ツアーを再開するという噂のジョニ・ミッチェル。彼女も2000年、ゴージャスなオーケストラをバックに自作曲やスタンダード・ナンバーを歌ったアルバム『ボス・サイズ・ナウ』をリリースしています。その中から今回は、ビリー・ホリデイやドリス・デイ、ジュリー・ロンドンらの名唱でおなじみのこの曲を。
7. How Deep Is the Ocean / Eric Clapton

エリック・クラプトン。この人も4月、なんと100回目の日本武道館公演を行なったばかり。すごい。と、そんな彼が2010年にリリースしたアルバム『クラプトン』は自作曲だけでなく、ブルースのカヴァーとか、シャンソン「枯葉」のカヴァーとか、何でもかんでも入った盛りだくさんの1枚でした。そんな中から、前出ジョージ・ガーシュウィンと並ぶ米国の偉大な作曲家、アーヴィング・バーリンが1932年に書いた名スタンダードのカヴァーをどうぞ。
8. Lullaby In Ragtime / Harry Nilsson

フランク・シナトラの座付きアレンジャーとしても知られる名匠、ゴードン・ジェンキンス指揮による壮麗なオーケストラをバックに、ハリー・ニルソンがスタンダード・ナンバーばかりを歌った1973年の超名盤『夜のシュミルソン(A Little Touch of Schmilsson in the Night)』より。1959年の映画『5つの銅貨(The Five Pennies)』の挿入歌です。
9. I Get Along Without You Very Well / Chrissie Hynde

ジョージ・ガーシュウィン、アーヴィング・バーリンと並ぶ名作曲家、ホーギー・カーマイケルの作品。これもフランク・シナトラ、チェット・ベイカー、ビリー・ホリデイなどいろいろな人が歌い継いでいる名曲ですが、今日はプリテンダーズのリード・シンガー、クリッシー・ハインド姐さんが2019年にリリースしたカヴァー・アルバム『ヴァルヴ・ボーン・ウォー』に収められていたヴァージョンで。
10. I Got It Bad And That Ain't Good / Carly Simon

ちょっと渋めのスタンダード・ナンバーのカヴァーを中心に構成されたカーリー・サイモン、1981年のアルバム『トーチ』より。デューク・エリントン作のナンバーです。
11. Gee Baby Ain't I Good To You / Taj Mahal

ブルースの怪人、タジ・マハール。彼が偶然にも、前出リッキー・リー・ジョーンズやわれらが久美子さんと同時期にリリースしたスタンダード・カヴァー・アルバム『サヴォイ』より。ナット・キング・コールやビリー・ホリデイでおなじみ、必殺のバラードです。
12. Dream / Ringo Starr

ポップ・フィールドのアーティストが全編ジャズ・スタンダードをカヴァーするアルバムを出した最初の例はこの人かも。リンゴ・スターがビートルズ解散直後、1970年にリリースした初ソロ・アルバム『センチメンタル・ジャーニー』はそういう意味でも画期的な1枚でした。というわけで、その中からビートルズの育ての親、ジョージ・マーティン編曲によるこの名曲を。

解説:萩原健太

山下久美子さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第304回 萩原健太のotonanoラジオ#186

2023/04/25 公開

佐野元春さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

佐野元春さんをゲストに迎えて(その2)

1.

佐野元春

誰かが君のドアを叩いている

『SWEET16 30th Anniversary Edition』

佐野元春さんをゲストに迎えて(その2)

2.

佐野元春

ボヘミアン・グレイブヤード(See Far Miles Tour Part II Live at 横浜アリーナ 1993.1.24)

『SWEET16 30th Anniversary Edition』

佐野元春さんをゲストに迎えて(その2)

3.

佐野元春

また明日...

『SWEET16 30th Anniversary Edition』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#186

『Day After Day~1972年、16歳、気になる洋楽ポップス16』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. I Saw The Light / Todd Rundgren

先週に引き続き佐野元春さんをお迎えして、オリジナル・アルバムの発売30周年を祝う強力なボックスセット『SWEET16 30th Anniversary Edition』のお話で盛り上がった『otonanoラジオ』。ということで、今週のプレイリストも16歳にこだわっていきましょう。ぼくは佐野さんと同じ1956年の早生まれで。同い年。ということもあって、子供のころからきっと同じような音楽体験をしてきたのだろうと思います。なので、佐野さんとぼくが16歳だった年、1972年に流行っていた洋楽ポップスの中から気になる曲を並べてみました。このプレイリスト、いつもは全12曲のセレクションにしているのだけれど、今回はここもシックスティーンにこだわって、全16曲でいきます。もちろんぼくの独断で選ばせてもらった曲たちではありますが、たぶん佐野さんもどこかで同じ曲を聞きながら胸を躍らせていたことと思います。で、まずはトッド・ラングレン。当時、日本では『瞳の中の愛』という邦題で知られていた曲です。1972年に全米16位まで上昇しました。
2. Saturday In The Park / Chicago

1972年に最高全米3位にランク。シカゴの中心メンバー、ロバート・ラムが独立記念日のセントラル・パークの光景を綴りながら、反戦のメッセージをこめたナンバーです。日本でも大ヒットしました。
3. Family Affair / Sly & The Family Stone

これは前年1971年にリリースされ、暮れに全米1位に輝いた曲。1972年になってからもしぶとくチャートに居残り続けた名曲です。グループ名義になっているものの、実際のレコーディングは中心メンバーのスライ・ストーンがヴォーカルとベースとドラムマシン、ボビー・ウーマックがギター、ビリー・プレストンがキーボードをそれぞれ担当。抑制の効いたファンクという、なんとも不思議なグルーヴを生み出しています。
4. Coconut / Harry Nilsson

この年、1972年にハリー・ニルソンが放った最大のヒットはバッドフィンガーの作品をカヴァーした「ウィズアウト・ユー」ですが。それは超有名で誰もが耳タコだと思うので、同じ、前1971年のアルバム『ニルソン・シュミルソン』からのシングル・カット曲であるこちらをあえてセレクト。1972年に全米8位にランクしました。
5. Brandy (You're a Fine Girl) / Looking Glass

ルッキング・グラスは米ニュージャージーで結成されたバンド。1972年にこの曲を見事全米1位に送り込んだものの、その後はヒットが続かず静かにシーンから消えてしまった一発ヒット屋です。が、この一発ヒットがとてつもなくでかく、この年に生まれた女の子の名前の1位に“ブランディ”が輝いたほどでした。
6. I'll Take You There / The Staple Singers

R&Bの名門スタックス・レコードを代表するゴスペル・ソウル・グループ、ステイプル・シンガーズの代表曲。1972年の全米ナンバーワン・ヒットです。
7. Heart Of Gold / Neil Young

これも1972年の全米ナンバーワン・シングル。ニール・ヤングを世界的なスターにした特大ヒット・アルバム『ハーヴェスト』からのシングル・カット曲です。日本でも『孤独の旅路』という邦題で大ヒットしました。
8. Rocket Man (I Think It's Going to Be a Long Long Time) / Elton John

火星に向けてひとりで旅立つ宇宙飛行士の心情を描いた1曲。レイ・ブラッドベリの同名短編小説に触発された作品だとか。1972年に全米6位にランクしました。
9. Let's Stay Together / Al Green

前出スタックス・レコードと並ぶ米南部ソウルの名門、ハイ・レコードの看板スター、アル・グリーンの代表曲。1971年の暮れにリリースされて翌72年にかけて全米1位にのぼりつめた名曲です。
10. Everything I Own / Bread

素晴らしいメロディメイカー、デヴィッド・ゲイツ率いるポップ・バンド、ブレッドが1972年に全米5位に送り込んだナンバー。コード進行が絶妙です。
11. Day After Day / Badfinger

ビートルズの弟分バンドとして人気を博したバッドフィンガーが1972年、全米4位にランクさせた曲。プロデュースはジョージ・ハリスン。
12. Too Late To Turn Back Now / Cornelius Brothers & Sister Rose

1972年の全米年間チャートの1位に輝いたのはロバータ・フラックの「愛は面影の中に(The First Time Ever I Saw Your Face)」。今回ちょっと思うところがあってセレクトから外しちゃいましたが、この曲、もともとは1969年にレコーディングされたもので。1971年になって映画の主題歌に起用されたのをきっかけに改めてシングル・カットされ、大ヒットしました。それと同じように、もともと1970年にいったんシングル発売されたものの、そのときはまったくヒットせず、1972年に別レーベルから再発されたとき全米2位にランクしたのが、コーネリアス・ブラザーズ&シスター・ローズによる本曲でした。
13. Precious & Few / Climax

これも1971年暮れにリリースされ、翌72年にかけて全米3位まで上昇したポップ・ヒット。日本では「そよ風にキッス」という邦題でリリースされました。
14. Brand New Key / Melanie

この曲も発売されたのは1971年半ば。その後、徐々にヒットの波が広がり、同年暮れから1972年アタマにかけて全米1位に輝きました。邦題は「心の扉をあけよう」。もともとベジタリアンでずっと断食を続けていたメラニーさんが、ある日、我慢しきれなくなってハンバーガー・ショップに飛び込み爆食いをしてしまったとき急に思いついた曲なのだとか。
15. Alone Again (Naturally) / Gilbert O'Sullivan

前述したロバータ・フラックの「愛は面影の中に」とともに1972年を代表する特大ヒット曲。全米1位の座に計6週間輝きました。
16. American Pie / Don Mclean

1959年2月9日、バディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、ビッグ・ボッパーという3アーティストの若い命を奪った悲劇の飛行機墜落事故の日のことを“音楽が死んだ日”と歌い、その日の思い出をきっかけに、音楽が人々を笑顔にしていた佳き時代を切なく回想した名曲。世代によってはマドンナのカヴァー・ヴァージョンのほうがおなじみかも。8分を超える長尺曲ゆえ、シングル・カットされたときはA面B面にパート1、パート2という形で切り分けられていました。これも1972年の全米ナンバーワン・ヒット。ちなみに、1993年1月24日に行なわれた佐野さんのコンサート・ツアー“See Far Miles Tour PartⅡ”最終日の横浜アリーナ公演。開演前の客入れBGMでもこの曲がかかっていました。懐かしい…。

解説:萩原健太

佐野元春さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第303回 萩原健太のotonanoラジオ#185

2023/04/18 公開

佐野元春さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

佐野元春さんをゲストに迎えて(その1)

1.

佐野元春

ミスター・アウトサイド

『SWEET16 30th Anniversary Edition』

佐野元春さんをゲストに迎えて(その1)

2.

佐野元春

スウィート16

『SWEET16 30th Anniversary Edition』

佐野元春さんをゲストに迎えて(その1)

3.

佐野元春

レインボー・イン・マイ・ソウル

『SWEET16 30th Anniversary Edition』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#185

『Sweet Little Sixteen~古今アメリカ「16歳もの」集』

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1. Sweet Little Sixteen / Chuck Berry

佐野元春さんをゲストにお迎えした『otonanoラジオ』。1992年の大傑作アルバムの発売30周年を記念して編纂されたボックスセット『SWEET16 30th Anniversary Edition』をめぐって盛り上がりました。というわけで、今週のプレイリストは“シックスティーン”に注目。番組の中でも話題になりましたが、佐野さんの「スウィート・シックスティーン」だけでなく、ポップ・ヒストリーには“16歳”をテーマにした名曲がたくさん存在します。そういう古今の“16歳もの”を集めてプレイリスト作ってみました。今回はアメリカの曲ばかりセレクトしましたが、やっぱりアメリカの16歳は特別。日本では16歳だと二輪の免許のみだけれど、アメリカでは16歳になると車の免許が取れるようになるし、女の子は盛大なスウィート・シックスティーンのパーティが催せるし、結婚もできるようになるし…。まさに子供から大人への第一歩を踏み出す瞬間。だからこそ、そんな瞬間をとらえたティーンエイジャー向けのポップ・ソングは無数に存在します。中でもロックンロール・ヒストリーに燦然と輝く代表曲がこれ。1958年に全米2位まで上昇したチャック・ベリーの「スウィート・リトル・シックスティーン」です。ビーチ・ボーイズの「サーフィンUSA」の元歌としてもおなじみかも。
2. Sweet 16 / Green Day

グリーン・デイが2012年にリリースされたナンバー。ビリー・ジョー・アームストロングが自分の妻、エイドリアンに“君はいつまでもぼくにとってスウィートな16歳さ”と歌うごきげんなロックンロールです。タイトルのみならず、“キッズたちは大丈夫”というフレーズも佐野さんとつながるような…。
3. Happy Birthday, Sweet Sixteen / Neil Sedaka

これまた超有名な16歳ものオールディーズ・ヒットです。1961年、全米6位。「すてきな16才」という邦題で日本でも大ヒットしました。ちなみにイントロの印象的なコーラス・フレーズ、日本ではつい“シャーララララー”と歌ってしまいがちですが、これ、ほんとは“トラーララララー”です。ご注意を…って、何に?(笑)
4. It Hurts To Be Sixteen / Andrea Carroll

前曲「すてきな16才」に対するアンサーソングです。邦題は「なみだの16才」。16歳を迎え大人になると寂しくても泣けなくなっちゃったり、いろいろ複雑なのよ…という乙女心をキュートに綴っています。1963年に全米45位という地味な戦績で終わっているものの、1960年代ガール・ポップ・ファンの間で根強く支持されている名曲。竹内まりやのカヴァーなどもおなじみでしょう。作者はロニー・グロスマンとクレジットされていますが、これ、ニール・セダカの変名だとか。
5. Sixteen Blue / The Replacements

ザ・リプレイスメンツが1984年に発表したナンバー。ティーンエイジャーならではの混乱、気まずさ、退屈さ、不安などが歌われています。
6. Sixteen Candles / The Crests

1958年、ホワイト・ドゥーワップ・グループのザ・クレスツが全米2位に送り込んだナンバー。大好きなガールフレンドの16歳の誕生日を祝う超甘々な名曲です。リード・ヴォーカリスト、ジョニー・マエストロの伸びやかなヴォーカルが最高。
7. Sweet Sixteen / Destiny's Child

ビヨンセがかつて在籍していたことでおなじみ、デスティニーズ・チャイルドが1999年にリリースしたナンバー。16歳にして早くも大きな人生の決断を迫られている女の子に歌いかけています。
8. You're Sixteen / Johnny Burnette

1960年から61年にかけて全米8位まで上昇したキュートな曲。リンゴ・スターによるカヴァー・ヴァージョンも1970年代に大ヒットしたので、そちらでご存じの方も多いかも。ジョニー・バーネット・ヴァージョンのほうには「夢みる16歳」という邦題が付けられていました。
9. Heartaches At Sweet Sixteen / Kathy Linden

かつて日本では“ケーシー・リンデン”と誤表記されていた女性シンガー、キャシー・リンデンが1959年に発表した曲。本国アメリカではシングルB面曲だったためまったく注目されずに終わりましたが、イントロの“♪ヤヤヤンヤン……”というキャッチーなフレーズが日本では大受け。1960年代に大ヒットしました。
10. Sixteen / Iggy Pop

ちょっとやばめの16歳讃歌も。イギー・ポップが16歳の男の子のことを歌ったらしき1977年のナンバーです。
11. Sweet Sixteen / B.B.King

ブルースもあります。B.B.キングが1959年に全米R&Bチャート2位に送り込んだ代表作のひとつ。16歳で家出した女の子にひと目ぼれしたものの冷たくされて、何もかもうまくいかないと世を恨む男の心情、みたいな? ブルースやなぁ…。
12. Only Sixteen / Sam Cooke

最後はサム・クックの歌声で締めましょう。1959年に全米15位にランクした名曲。スプリームス、ドクター・フックなどをはじめ多くのアーティストがカヴァーしていますが、やはり究極は作者でもあるサム・クックのヴァージョンです。1950年代末には、16歳じゃ恋をするにはまだ早かったということが伝わってきます。

解説:萩原健太

佐野元春さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第302回 萩原健太のotonanoラジオ#184

2023/04/11 公開

古内東子さんをゲストに迎えて(その2)『果てしないこと』B面

今週のオンエア曲

古内東子さんをゲストに迎えて(その2)『果てしないこと』B面

1.

古内東子

girl

『果てしないこと』

古内東子さんをゲストに迎えて(その2)『果てしないこと』B面

2.

古内東子

Savon

『果てしないこと』

古内東子さんをゲストに迎えて(その2)『果てしないこと』B面

3.

古内東子

ひとりよがり

『果てしないこと』

古内東子さんをゲストに迎えて(その2)『果てしないこと』B面

4.

古内東子

1AM

『果てしないこと』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#184

『B面1曲目!LP時代の洋楽名曲たち』

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1. Uptown Girl / Billy Joel

古内東子さんをお招きして、先週に引き続き最新アルバム『果てしないこと』のお話をたっぷりうかがった「otonanoラジオ」。『果てしないこと』は6月にアナログLP化もされるということで、先週がLPのA面にあたる1曲目から4曲目まで、今週がB面にあたる5曲目以降を聞いたわけですが。その中でも話題になったのが“B面1曲目”。再生メディアがCDの時代に入って音楽ファンが失ってしまった楽しみのひとつが、B面の1曲目という存在なのでありました。1曲目をかけてから一気にラストまでつながっているCDとは違って、A面とB面に分かれているLPの場合、A面1曲目をかけて片面の再生が終わると途中で盤をひっくり返して、またB面の1曲目から再生をリスタートするという手順を踏んでいた。場合によっては最初からB面だけ聞くなんてこともあったし。そういう意味でもB面のトップに入っている曲というのはA面1曲目と同じくらい重要な存在だったのでありました。古内さんの『果てしないこと』の場合、それが「girl」になるわけですが。そういう、かつてとても魅力的だったB面の1曲目という場所に位置していたLP時代の洋楽名曲たちを、今日はざっくり12曲セレクトして並べてみました。けっこうかっこいい曲がB面1曲目に収められていたんだなってことがわかってもらえるかも。というわけで、まずはビリー・ジョエルから。1983年の大ヒットLP『イノセント・マン』のB面1曲目に入っていたごきげんなヒット・チューンです。
2. Freedom / Wham!

続いてはワム!が1984年にリリースしたセカンドLP『メイク・イット・ビッグ』のB面1曲目に収められていたこの曲を。もちろんジョージ・マイケル作。
3. Born To Run / Bruce Springsteen

われらがボス、ブルース・スプリングスティーンが1975年にリリースした大出世作『明日なき暴走(Born to Run)』のタイトル・チューンもLPではB面の1曲目に収められていました。
4. Come Get To This / Marvin Gaye

ぼくが個人的にいちばん好きなB面1曲目かも。マーヴィン・ゲイが1973年にリリースした名盤『レッツ・ゲット・イット・オン』のLP、B面トップに収められていた「夢を追いかけて(Come Get to This)」。アルバムのタイトル・チューンがシングルとしても大ヒットして超有名なもんで、ちょっとワリを食っている感じもしますが、こちらの曲もタイトル・チューンに続いてシングル・カットされて全米21位、R&Bチャート3位にランクしたヒット曲です。
5. The Boxer / Simon & Garfunkel

サイモン&ガーファンクルが1970年にリリースした特大ヒット・アルバム『明日に架ける橋(Bridge over Troubled Water)』のB面1曲目。A面の1曲目には必殺のアルバム・タイトル・チューンが収められてたわけですが、こちらの曲も実はアルバムに大きく先駆けて前年春にリリースされ、全米トップ10入りを果たしています。
6. When Doves Cry / Prince

プリンスの1984年のアルバム『パープル・レイン』のB面1曲目はこの曲でした。邦題は「ビートに抱かれて」。これもアルバムに先駆けてシングル・カットされプリンス初の全米ナンバーワンに輝いたナンバー。ベースレスのアレンジに当時ぶっとんだものです。
7. Here Comes The Sun / The Beatles

世界でもっとも有名なB面1曲目かも。ビートルズが1969年にリリースしたLP『アビー・ロード』のB面トップ。A面アタマはジョン・レノン&ポール・マッカートニー作の「カム・トゥゲザー」でスタートするのだけれど、B面はこのジョージ・ハリスン作品でスタート…という、このオルタナ感もまたB面という存在の魅力です。
8. Beat It / Michael Jackson

マイケル・ジャクソンが1982年に放ったモンスター・アルバム『スリラー』のLP、B面トップはこのアルバムを象徴するこの大ヒット曲でした。邦題は「今夜はビート・イット」。
9. Dress You Up / Madonna

今日のプレイリストは1980年代半ばのアルバムからの曲が多いのだけれど、この時期を境に世の中がCD時代へと変わっていくわけで。そう思うと、1980年代半ばくらいがLPを想定してアルバム制作が行なわれていた最後の時期ということになるのかも。この曲もそんな時期、1984年の大ヒット作、マドンナの『ライク・ア・ヴァージン』のLP、B面1曲目でした。
10. She’s A Rainbow/ The Rolling Stones

ローリング・ストーンズのLPのB面1曲目にも名曲が多い。1968年の『ベガーズ・バンケット』は「ストリート・ファイティング・マン」、1969年の『レット・イット・ブリード』は「ミッドナイト・ランブラー」、1971年の『スティッキー・フィンガーズ』は「ビッチ」など。今日は1967年の『サタニック・マジェスティーズ』のB面1曲目。「シーズ・ア・レインボウ」をどうぞ。
11. Family Man / Daryl Hall & John Oates

ホール&オーツ、1982年のアルバム『H2O』のB面1曲目はこれ。マイク・オールドフィールド作品のカヴァーでした。ホール&オーツ・ヴァージョンはアルバムからの3つめのシングルとして翌年大ヒットしました。
12. You've Got A Friend / Carole King

そして最後のB面1曲目。キャロル・キングが1971年にリリースした永遠の名盤『つづれおり(Tapestry)』のB面アタマはこの超名曲「君のともだち(You've Got a Friend)」でした。といっても、この曲のヒット・シングルはジェイムス・テイラーによるもので、キャロルさん自身のヴァージョンはシングル・カットされていませんが、やっぱりこのキャロル・キング・ヴァージョンが沁みます。素晴らしきかな、B面1曲目!

解説:萩原健太

古内東子さんをゲストに迎えて(その2)『果てしないこと』B面

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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