ジャズメガネのセンチなジャズの旅

111. 細川綾子『ノー・ティアーズ』『コール・ミー』
111. 細川綾子『ノー・ティアーズ』『コール・ミー』

   細川さんの再発を手がけたのは『ミスター・ワンダフル』だけでCD2回、アナログ3回。その他の3タイトルはCD1回、2タイトルがアナログ2回という驚きの回数だ。それだけ手に入れ損ねた方が多いのと、それでもまだ欲しいという人が多いという結果だった。
   細川綾子さん、残念ながら2020年にお亡くなりになったが、生前、日本においてはそんなにメジャーな歌手ではなかった。というのも、活動拠点はアメリカ西海岸がほとんどだったからだ。
   初渡米の1961年からアール・ハインズ楽団の専属歌手で活躍していたので、むしろアメリカでの方が知名度は高い。そんな細川さんは晩年になって日本で再評価された。歌のうまさとアナログ・ブームも手伝ってのことだろう。
   私は2018年にライヴを聞いてお話をしたのが最初で最後。キュートな方だった。もっとライヴを聞いておけばよかった、と今となっては悔やまれる。

text & cut by Kozo Watanabe