落語 みちの駅

第百十三回 「第207回の朝日名人会」
 表記の会が3月20日PM2時から開催されました。彼岸中日の曇天、まだ外出規制モードの下とあって客席もロビーも一段とさびしい空気でしたが熱演続きで3時間半に及ぶ久しぶりの長演となりました。

 柳家小んぶさんの「三方一両損」。大柄な人ですがオーソドックスでおおらかな芸風、伸びる素材の人と感じました。

 古今亭志ん陽さん「愛宕山」。亡師志ん朝の十八番ネタに挑んでしっかり聴かせてくれました。声柄のせいか、一八がもうひとつ明るく、朗らかになり切れませんが、おいおいにこなれていくだろうと楽しみになりました。

 柳家三三さん「橋場の雪」はみっちりたっぷりの長演ですが夢の噺らしい軽みもあって楽しく聴かせてくれました。三三さんならではの世界だと思います。

 柳家さん喬さん「牡丹燈籠」は連続口演最終回の四席目。複数多岐な人間関係と場面転換の中から終着駅が見えてくる、噺の旅の醍醐味が感じられる名高座でした。





第百十三回 「第207回の朝日名人会」
柳家小んぶ「三方一両損」


第百十三回 「第207回の朝日名人会」
古今亭志ん陽「愛宕山」


第百十三回 「第207回の朝日名人会」
柳家三三「橋場の雪」

著者紹介


京須偕充(きょうす ともみつ)

1942年東京・神田生まれ。
慶應義塾大学卒業。
ソニーミュージック(旧CBSソニー)のプロデューサーとして、六代目三遊亭圓生の「圓生百席」、三代目古今亭志ん朝、柳家小三治のライブシリーズなどの名録音で広く知られる。
少年時代からの寄席通い、戦後落語の黄金期の同時代体験、レコーディングでの経験などをもとに落語に関する多くの著作がある。
おもな著書に『古典落語CDの名盤』(光文社新書)、『落語名人会 夢の勢揃い』(文春新書)、『圓生の録音室』(ちくま文庫)、『落語の聴き熟し』(弘文出版)、『落語家 昭和の名人くらべ』(文藝春秋)、編書に『志ん朝の落語』(ちくま文庫)など。TBSテレビ「落語研究会」の解説のほか、「朝日名人会」などの落語会プロデュースも手掛けている。