ジャズメガネのセンチなジャズの旅

80. 水島早苗『ユーヴ・ガット・ア・フレンド』
80. 水島早苗『ユーヴ・ガット・ア・フレンド』

   水島早苗さんは明治生まれ。西暦1909年の生まれだ。ジャズの巨匠たち、チャーリー・パーカーは1920年、ビリー・ホリデイは1915年、マヘリア・ジャクソンですら1911年生まれということで、水島さんはあの巨匠達よりお姉さんということになる。そして、このデビュー・アルバムは水島さんが65歳の1975年に録音された。得意のブルージーなナンバーからキャロル・キングまで黒人のように歌っている。

   残念なことにTBMの仕事に携わるまで、その歌声は聞いたことがなかったが、その名前は自分が中学3年生の時に買ったスイング・ジャーナル1971年8月号でなぜか知っていた。「水島早苗のアメリカ日記」と題された4ページの紀行文が掲載されていたのをよく覚えていたからだ。後藤芳子さんや細川綾子さんの先輩にあたる。このスイング・ジャーナルは今も持っていて改めて読んだら実に興味深い。日本のジャズの歴史も深いものだ。

text & cut by Kozo Watanabe