ジャズメガネのセンチなジャズの旅

142. 「菅野邦彦トリオ+1 / 慕情」
142.  「菅野邦彦トリオ+1 / 慕情」

   菅野邦彦さんを聞くと、その歌心、技術、リズム感、フレーズ、スウィング力、全てにおいて世界レベルであることに驚愕する。多くのリスナー、ミュージシャンが認めるところであるのは確かだし、今、日本のJ-POPが世界で評価されていることと比べても50年以上も前からこんなに世界的なジャズメンが日本にはいたんだぞ、と改めて声を大にしたくなる。和ジャズブームとはまた違った意味で日本のジャズメンの力量を感じさせてくれるアーティストだ。菅野さん、個人的な面識はないけれど、知り合いの先輩ベーシストが言うには、ライヴでは何を始めるか、わからないまま進む、と言うのでそれはたいへんのようだ。鈴木勲さん、日野皓正さんなども同じような感じらしいが、緊張感を超えた緊張はジャズそのものなのだろうか。
   このアルバムのB面は17分を超えて1曲のみ収録。そういった展開を読むのもサイドメンの力量の一つかもしれない。

text & cut by Kozo Watanabe