
ジャズメガネのセンチなジャズの旅
141. 「中村照夫グループ / ユニコーン」

最近、知り合いから「『ユニコーン』は和ジャズの最高アルバムですね。」と言われた。確かにその通り。間違いなく中村照夫さんという日本人のジャズマンがリーダーのアルバムだし、TBMからのリリースだから和ジャズ。でも、このメンツ、当時のニューヨークの俊英たちが結集している。グロスマンにいたってはマイルス・グループを抜けて、エルビン・ジョーンズとやっていた頃の絶頂期だ。だから、このアルバムにはエレクトリック・マイルスの香りもする。つまり、和ジャズというより1970年代最先端のクオリティのジャズだったのだ。
和ジャズは同じ年代のジャズでも、まだまだ未熟だったが、それでも魂でジャズを生み出していた日本人の情念みたいなものが、マグマのように噴き出したイメージだ。
このアルバムはそういう意味では特別な和ジャズなのだ。
text & cut by Kozo Watanabe