Sony Music Direct Presents otonano

甲田まひる a.k.a. Mappy、ジャズ・ピアニストの新星デビュー

PLANKTON/Mahiru Coda a.k.a. Mappy
2018年5月23日発売
品番:MHCL-2755 / 価格:¥2.500 +税
レーベル:TBM(スリー・ブラインド・マイス)
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  • 収録曲
  • 01. UN POCO LOCOウン・ポコ・ローコ (バド・パウエル)
  • 02. CLEOPATRA'S DREAMクレオパトラの夢 (バド・パウエル)
  • 03. INDIANA (take 1)インディアナ <テイク1>(ジェームズ・ハンリー)
  • 04. INDIANA (take 3)インディアナ <テイク3>(ジェームズ・ハンリー)
  • 05. RUBY、MY DEARルビー、マイ・ディア(セロニアス・モンク)
  • 06. PLANKTONプランクトン(甲田まひる オリジナル)
  • 07. CELIAセリア(バド・パウエル)
  • 08. TEMPUS FUGITテンパス・フュージット(バド・パウエル)
  • 09. LADY BIRDレディ・バード(タッド・ダメロン)
  • 10. LAMENTラメント(J.J.ジョンソン)
  • 11. ASK ME NOWアスク・ミー・ナウ(セロニアス・モンク)
  • 12. MY CRUSHマイ・クラッシュ(甲田まひる オリジナル)
  • ( )内は作曲者
  • をクリックすると試聴ができます。

5月23日発売 甲田まひる a.k.a. Mappyデビューアルバム『PLANKTON』購入特典が決定!

甲田まひる a.k.a. Mappyデビューアルバム 『PLANKTON』購入特典が決定!

『PLANKTON』オリジナル缶バッジ

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※特典は数に限りがありますので、無くなり次第終了となります。予めご了承ください。
※対象店舗は一部を除きます。詳しくは各店舗にお問い合わせください。
※上記店舗以外での配布はございません。ご了承ください。

プランクトン/甲田まひる a.k.a. Mappy バド・パウエルをこよなく愛す現在17歳のジャズ・ピアニスト。Mappyとして世界中に14万人を超えるインスタグラム・フォロワーを持つファッショニスタでもある。デビュー・アルバムは、ビバップを中心としたジャズ・ピアノ・トリオ。ドラムスにジャズ界の俊英、石若駿、ベースにKing Gnuのベーシスト新井和輝を迎えた。収録曲は「クレオパトラの夢」「ルビー・マイ・ディア」「ウン・ポコ・ロ-コ」などバド・パウエルやセロニアス・モンクの名曲の他、甲田まひるのオリジナル2曲も収録。17歳の誕生日前夜にメジャー・デビュー。

『PLANKTON』

『PLANKTON ~クレオパトラの夢』

PERSONNEL

甲田まひる(ピアノ)新井和輝(ベース)石若駿(ドラムス)

甲田まひる a.k.a. Mappy

甲田まひる

バド・パウエルをこよなく愛す17歳のジャズ・ピアニスト。
2017年、新宿ピットインでライヴ活動を開始した後、17歳の誕生日前夜にメジャー・テビュー。
ピアニストとしての顔とは別にMappyとして世界中に14万人を超えるインスタグラム・フォロワーを持つファッショニスタ。ファッションアイコンとして業界の注目を集め、東京コレクションにも招待される。以降、ファッション誌の連載やモデルとしても活躍。
ファッション、アート、ジャズ。そして日本と世界を行き来する21世紀のアンファン・テリブル、ニュー・ジェネレーション・ジャズの出現である。
所属:ソニー・ミュージックアーティスツ

instagram bopmappy

Book

「HARLEM」 マッピー パーソナル・スタイルブック

「HARLEM」 マッピー パーソナル・スタイルブック

ISBN:978-4-86647-064-1 価格:1,700円+税 B5変形・120ページ・並製

Contents

NY で撮影したスナップ/インスタの人気コーデ 一問一答Q&A45 /デビューアルバムについて/バンドメンバー鼎談/お気に入りの音楽プレイリスト/ジャズの楽しみ方指南/インスタ投稿で寄せられたMappy の似顔絵 etc,etc

発売元:(株)ディスクユニオン DU BOOKS こちらから▶

Interview

甲田まひる a.k.a. Mappy
デビューアルバム『PLANKTON』発売記念!
otonano(大人の洗礼)1万字インタビュー!!

プランクトン/甲田まひる a.k.a. Mappy

自分の中では現在進行形の何かを録音できたんじゃないのかなと……荒削りな部分、出すぎてませんでした?

── デビューアルバム『PLANKTON』。聴かせていただきましたが、すごく楽しかったです。

甲田わあ!

── これはメンバーの座組みもよかったと思うんですが、全体にグルーヴ感が若々しくて勢いがあるし……。

甲田ありがとうございます。

── ピアノトリオといっても変に優等生ぶってなくて。「多少荒削りな部分があっても行っちゃおう!」みたいな気概がビシバシ伝わってきました。

甲田そうなんですよ。今回はもう、それに尽きるかも(笑)。

── ご自分では手応えはいかがですか?

甲田うーん……私、自分の演奏をプレイバックするのがあまり好きじゃないんですね。でもこのアルバムは、家でもけっこう繰り返し聴いていて。意外に飽きないな、とは思いました(笑)。もちろん細かいところで課題はいっぱいあるんですけど。自分のやりたいことは一応、形にできたのかなって。

── スタジオでもプレイバックはしました?

甲田はい。部分的には。何回か続けて演奏しては、どのテイクがいいか選んだり。あとは後日、ミキシングのときに改めて聴き直すこともありましたね。ただプレイした直後って気分が盛り上がってるので、お家で聞くとまた印象が違って聴こえたりしましたね。

── なるほど。

甲田けっこうギリギリのスケジュールで録っていたので。完成したアルバムをメンバーみんなで一緒に通して聴くというのも、まだできてないです。

── 何日間でレコーディングしたんですか?

甲田トータル3日間かな。レコーディングに入る4日くらい前の2月1日に、「新宿ピットイン」でライブがあったんですね。そこで初めて、今回の3人で音を合わせて……。

プランクトン/甲田まひる a.k.a. Mappy Love trio

── ドラムスの石若駿さんと、ベースの新井和輝さん。レコーディング4日前というのは、たしかにかなりギリギリですね(笑)。

甲田ライブ自体が、そのままレコーディングのリハーサルみたいな感じで(笑)。その日終わってから(ドラムの)駿さんに「もっと曲を書いてこようよ」と提案されて、自分ももっとオリジナルを入れたかったので作ることにしました。で、レコーディング予定曲の練習をしながら何となく新曲のアイデアも考えて……。結局、未完成のままスタジオに持っていったんです。

── それがアルバム最後に入っている「マイ・クラッシュ」?

甲田はい。それ以外のスタンダードを最初の2日で録り終えた後、「こんな感じなんですけど」といった感じで前日に作ったものを弾いてみて、その場でセッションしながらアイデアを出しあって、最後の3日目にレコーディングしました。

── まだメンバー全員ではアルバムをプレイバックしてないとのことですが、1人で聴いてもけっこう感動しません?

甲田……します(笑)。

── 弱冠16歳でこういうジャズのアルバムを作れたというのは。

甲田それもあるんですけど、今回このメンバーでレコーディングできたことが、私にとっては一番思い出深いです。それがようやくCDという形になって、全曲聴けるようになったのがすごく嬉しいなって。

── 何しろ、記念すべきデビュー作ですもんね。世間的な注目も大きいし、そもそもファーストアルバムって、当たり前だけど一生に1枚しか作れない。

甲田そうですね。

── 甲田さんの中では、最初のアルバムを「こういう作品にしたい!」というイメージやヴィジョンはあったんですか?

甲田アルバムを作ることになったきっかけは1年くらい前、ライブハウスでセッションしているとき、たまたま(渡辺)康蔵さん(※編集部注:ソニー・ミュージックダイレクトの名物JAZZプロデューサーにして、吾妻光良 & The Swinging Boppersのサックス奏者)に声を掛けていただいたんです。私がビバップを演奏しているのが、何かツボだったみたいで(笑)。

── このスタイルで1枚、レコーディングしてみないか、と。

甲田はい。だから最初はアルバムを作るということ自体、自分では想像してなかったんです。ていうか、レコーディングの準備期間ずっと「ムリ…」と思っていました。それくらいハードルが高かった。

── それはテクニカルな側面で?

甲田そうですね。技術も全然未完成ですし。もっと正直に言うと、ビバップ以外のことをいろいろ試してみたい気持ちもありました。何にしても、自分が面白いと思えることを追求したいタイプなので。

── へええ。じゃあ必ずしも「ビバップ一筋」という感じでもなかったと。

甲田気持ちの部分では違いますね。できるだけいろいろアイデアを出して、刺激的なものにしたかった。でも、レコーディングに備えて1年前くらいから練習してく中で、その自分のやりたいことにスキルが追い付かない部分がいっぱい見えてくるんですよね。そのギャップはすごく大変でした。

── スタンダードを上手にカバーしているだけでは満足できない?

甲田それもそうですけど、どちらかというとビバップに絞りたくないのと、他の要素も入れ込みたいって感じでした。もちろんレコーディングとなると、自分の技術の範囲内でできることをするしかないから、結果的にそうなってる部分はあるんですけど。この1年間でたまたま、ジャズ以外の音楽をいっぱい聴くようになったのもあって。余計にそう思ったのかも。

── 例えば、どういう音楽でしょう?

甲田ヒップホップとかR&Bとか、本当にいろいろ。その意味ではこの1年間ずっと、「やりたいことはたくさんあるんだけど、やり方が分からない」状態だった気がします。今回このメンバーでレコーディングできたのは本当によかったと思う。

── というのは?

甲田オリジナルについては、やりたい雰囲気をすぐに察してくれたし、ビバップをやる上でもアイデアを出しあって、この3人のビバップができた。何だろう、見え方はビバップでも、自分の中では現在進行形の何かを録音できたんじゃないのかなと。

──「ジャズ・ピアニストとしても活躍する16歳のファッショニスタ」的な、分かりやすい切り口は好きじゃないんですね。

甲田ない。それはまったくない(笑)。

── でも、試行錯誤を重ねた結果できあがった作品が“ゴリゴリ”のビバップ・アルバムだったとしても、それはそれで構わないと。

甲田もともとそれが好きで、今回はそこに、録音当時好きになったものをギリギリで追加したと言ったらわかりやすいかも。今アルバムを作ることになったら、ゴリゴリのビバップにはならないです。なので貴重だと思います。でもビバップは子どもの頃から大好きで、ずっと演奏してきた音楽なので、身体に染み付いちゃってます。どんな音楽をやっても音に出るんじゃないかなと。

── ビバップのスタイルをなぞるだけではなく、その形式を通じて自分なりのエモーションを伝えたいという思いは、荒削りなバンドサウンドからもすごく伝わってきました。

甲田よかったあ。荒削りな部分、出すぎてませんでした?

── いいバランスだったと思います(笑)。

甲田選んだスタンダード曲も、1曲ずつわりとカラーが違うので。そんなにジャズを知らない人にも楽しんでもらえると嬉しいですね。

── 収録曲はどうやってセレクトしたんですか?

甲田「CDを出すなら絶対これは入れたい」というお気に入りの曲を中心に、あとはプロデューサーさんと相談しつつという感じです。今回はオリジナルを作ることに結構時間をかけてしまったので、他はわりと普段のセッションの感じで録りましたね。バラードの選曲は時間がかかりました。

── じゃあライブですでに演奏しなれた楽曲と、今回がんばって挑んだ楽曲、あとは自分のオリジナル曲がうまくミックスされているイメージ?

甲田ですね。本当は自分の好きなナンバーだけ選んで、アレンジにももっと時間をかけられればよかったんですけどね。

プランクトン/甲田まひる a.k.a. Mappy

── めっちゃ基本的な質問ですけど。そもそも甲田さんはどうして16歳にしてこんなにもジャズが弾けるようになったんですか?

甲田え!? いやいやいや(笑)。自分的には全然弾けてないので。

── ジャズを聴き始めたのは、ご両親の影響とか?

甲田いえ、お父さんはどちらかというとロック好き、お母さんはレゲエやファンクを聴いていたので音楽好きなのは影響受けていると思うんですけど、家でジャズは流れてなかったですね。

── ピアノを始めたのは?

甲田5歳の頃、ヤマハ音楽教室でクラシック・ピアノを習い始めたんです。最初はグループレッスンなんですね。子どもたちがエレクトーンの前に座り、横にお母さんが付いて簡単なアンサンブルで遊んだりするの。その後専門コースに上がってから、先生がクラシックの曲をジャズ風とかラテン風にアレンジしてくれて、グループでコンテストに毎年出てました。和音にテンションが入った響きとか、ジャズのノリが大好きで楽しかったな。

── へええ。幼くしてテンション・コードの気持ちよさに目覚めたと。それが何歳くらいのことですか?

甲田8歳くらいかなあ。先生が発表会に現代曲を弾かせたりする方で、湯山昭さんの「お菓子の世界」をすごく気に入りました。その中で、難しいJAZZっぽいものを弾きたくて、家で自分で譜読みしたりしてました。

── いい先生に出会ったんですね。

甲田本当にそうなんです。教え方は超スパルタでしたけど、私の音楽力はその7年間で作られました。アンサンブルでは「ジャズはベースがリズムをしっかりキープできることが重要だから」と、ジャズをかじっていた私がいつも担当でした。エレクトーンでウッドベースのラインを弾くのはすごく勉強になりましたね。

── 当然、そういう発表会用のアレンジと同時に、普通のクラシックも習っていたわけですよね。

甲田はい。ジャズ風のアレンジが弾けるのは、年に数回のアンサンブルの発表会とコンテストだったので、つねに同時並行でクラシックも練習してました。同じ教室でも先輩の中には、発表会でも(ジョージ・)ガーシュウィンとか(ニコライ・)カプースチンとかを弾く方がいて、先生に「私もクラシックじゃなく、もっとああいう曲が弾きたいです」と直訴しました。それがたぶん、8歳か9歳くらい。

── 早熟ですね(笑)。

甲田お母さんと図書館に行ってジャズの名盤をいっぱい借りてきたんです。オスカー・ピーターソンやビル・エヴァンスはその時は全然ピンとこなかったんだけど、バド・パウエルとセロニアス・モンクにめっちゃ衝撃を受けて。YouTubeでも映像を見まくりました。

── その辺はいかにも「2000年代生まれ」な感じだなあ。

甲田演奏スタイルもめっちゃお洒落でかっこよかったので更に好きになりました。その時ジャズを本格的にやりたいと思ったんだけど、どこから始めていいかわからなかったので、バドとモンクのCDをひたすら聴き込んで耳コピして、それをスコアに起こす作業をするようになって。一応「初めてのジャズピアノ」みたいな楽譜も買ったりもしたんですけどね。

── ちなみに、一番最初に「ガーン!」となった曲って覚えてますか?

甲田はい。バドの「テンパス・フュージット」です。弾きたくて、自然と耳コピを始めてましたね。

── 名盤『Jazz Giant』の冒頭を飾った曲ですね。今回のアルバムにもしっかり収録されていますけど、原曲はバドの“絶頂期”といわれた頃の、いわゆるキレキレのレコーディングで……。

甲田そう! めっちゃヤバイ時期なの!

バド・パウエル『ジャズ・ジャイアント』 バド・パウエル『ジャズ・ジャイアント』 1950年2月23日/ニューヨーク録音
「テンパス・フュージット」「セリア」ほか収録
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── それにしてもオリジナル盤の演奏って、恐ろしいほどの疾走感でしょう。10歳前後の頃に、よくまあ完コピできましたね。

甲田ヤマハで絶対音感だけは鍛えられていたので(笑)。何度も繰り返し聴いてるうちに音は取れました。理論から勉強せず、ひたすら真似して弾いてたのは、いま思うと、自分にとってよかったんじゃないかな。元から書かれてる譜面を見て練習するのと、自分でたくさん聴いて音をとって繰り返し弾くのとは、染み込み方が違いますよね。

── まず曲全体のイメージをギュッとつかむ感じ?

甲田だと思います。当時はまだコードは正確に取れてなくて。まずメロディーを弾けるようになって、あとは適当に左手をつけていました。次にアドリブパートのフレーズを、とにかく楽譜に起こしていく。そうすると、どうしても記譜できない箇所がいっぱい出てくるんですよ。

── うーん……その時点でけっこう、奥深いところまで迫ってますね。

甲田どうなのかな? とにかく、そういう部分はあえて楽譜に書き込まないようにして、そのニュアンスを採り入れられるように、とにかく何回も弾きました。

── それにしても、「テンパス・フュージット」を演奏するバド・バウエルのどこにそんなに惹かれたんでしょう?

甲田うーん……その頃は分からなかったけれど、潔いところがカッコイイと思ったのかなあ。ある意味「Dマイナー」一発みたいな、色々ソロの仕様がある曲ではあるんですけど、そこで本当に基本の音使いであれだけ歌って魅せてることが、本当にすごいと思うんです。簡単なことじゃないので、そういうセンスはずっと憧れてます。この曲に出会った時から、なんでこんなアドリブができるんだろうと思っています。しかも理論とかじゃなく、どのフレーズもぜんぶ口で歌えるんですよ。

── テーマとなる旋律をコードやスケールで展開させてるんじゃなく、実際に弾いてみると、バドの場合はすべてが“歌メロ”に思えると。

甲田そう、歌そのもの! それって、身体の内側から自然に湧いてきたものだから、どうやってもあの人にしか弾けないんですよ。

── へええ。

甲田実際にコピーしてみると分かるんです。何十回も練習して、歌い方を身体に染み込ませても、自分でアドリブしてみるとああいう風には弾けない。当たり前なんですけどね。身体に染み込ませても、自分でアドリブしてみるとああいう風には弾けない。当たり前なんですけどね。そういう意味でも今回テンパスをやるにあたって、目指すところはなるべく基本の音使いでのアドリブだったので、また練習中はバドと向かい合いました。

── 要はビバップという音楽の分野にハマッたわけじゃなく、あくまでバド・パウエルという天才に衝撃を受けたのが始まりなんですね。

甲田うん。同じ『Jazz Giant』に入っている「チェロキー」とか。あとは、有名な「クレオパトラの夢」とか。ほんとヤバイなって思いました。あと私、昔からバラードが苦手なんですけど、バドとモンクのバラードだけはむしろ好んで聴けたので。テンポはゆっくりでも、他の人とは全然違うんですよね。

── その自己流コピー期間があって、本格的にジャズを習いに行ったと。

甲田たしか10歳でジャズのスクールに通い出したので。耳コピをしながら、スクールではセッションのやり方とかを学ぶ感じだったと思います。今でも理論は苦手ですね……。自分の基礎を作ったのはやっぱり、コピーじゃないかな。

── ビル・エヴァンスはいまでも好きじゃない?

甲田ハマりはしなかったけど、勉強になるのでコピーもするし聴きます。もともと完璧で綺麗すぎるものには惹かれないところがあるんですよね(笑)。

── 今回のデビュー作『PLANKTON』も、1曲目が「ウン・ポコ・ローコ」、2曲目「クレオパトラの夢」と、いきなりバド・パウエル2連発ですね。他にも7曲目「セリア」、8曲目「テンパス・フュージット」と合計4曲も。

甲田はい(笑)。「ウン・ポコ・ローコ」もバドのレパートリーの中で一番好きな1つなので。今回、絶対入れたかったんですね。

バド・パウエル『ジ・アメイジング・バド・パウエル』 バド・パウエル『ジ・アメイジング・バド・パウエル』 1949年8月9日録音ほか/ニューヨーク録音
「ウン・ポコ・ローコ(テイク1)」「ウン・ポコ・ローコ(テイク2)」ほか収録
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──「ウン・ポコ・ローコ」は、ライブでは前から演奏してたんですか?

甲田いいえ。今回のピットインが初でした。『ジ・アメイジング・バド・パウエル』のアウトテイクに、カウベルがちょっと変則的なリズムを刻んでるバージョンが収録されていて。曲自体も憧れだったけど、是非駿さんの叩くウンポコローコで弾きたい!とずっと思ってました。今回、奇跡的に実現して、本当にうれしいです。メンバー3人の中でも「やっぱこの曲は今回のアルバムの推しのだよね」という空気にもなったので1曲目に持ってきました。

── レコーディングの際、バドパウエルの楽曲ではどこに苦労しました?

甲田オリジナルの音源は録音が古いこともあって、ベースラインが聞こえなかったりするので、「ここ、どうやって弾いてんだろう?」という箇所は(ベースの新井)和輝さんと合わせながら、一緒に作っていきました。実際に演奏してみて、「ウン・ポコ・ローコ」はバドの作曲の才能が全面的に出ているナンバーだなって改めて思った。コード進行は無難なのに、どこをどう切ってもバドのテイストだし。そんなテーマのあとのソロはまさかのC一発だったり、本当にバドらしい。

── あえてまったく違うタッチでカバーすることも可能といえば可能ですが、演奏するにあたって何か、自分なりの“味付け”は意識しなかった?

甲田私はバドのタッチを意識しているわけではなく、バドを弾きすぎてしみ込んでいるのが出でいるのかなと思います。でも、カバーすればするほどその凄さに打ちのめされるというか……圧倒される感覚はありましたね。私はバドの楽曲を他のタッチで弾いたところでそれ以上の格好良さは出せないと思っているところはあります。

── 実際、オリジナルと甲田さんバージョンを聴き比べてみると、曲の長さはほぼ一緒なのにテンポ感がまるで違いますね。イントロのフレーズも、今回の演奏の方がより前のめりに突っかけている感じで。

甲田そうですね。それは別に意図的ではなく、みんなの勢いあまってということもありますね。違う曲ですけど、あとから本人のを聴き直したら、左手のタイミングが明らかに違かった箇所に気付いたりして、凹みました。(笑)

── いいじゃないですか。それが本当の意味での“味付け”なわけですから。

甲田うーん……ですよね? じゃあ、よかったのかな(笑)。今回は3人のメンバーがブースに入らず、ほぼ一発録りの状態でレコーディングしたので、そういう勢いとかを感じてもらえたらいいな。

バド・パウエル『ザ・シーン・チェンジズ』 バド・パウエル『ザ・シーン・チェンジズ』 1958年12月29日/ニュージャージー録音
「クレオパトラの夢」ほか収録
ご購入はこちら

── 甲田さんは今回、なるべくバドになりきって“歌う”ことを意識したわけですよね。そうやって演奏していると、だんだん彼の気持ちが見えてくる気がしませんか?

甲田しますね、すごく。バドの楽曲って、どんなに疾走感があってリズムが軽やかでも、弾いてみると哀しい感じがするんですよ。速いのに切ないって。「どういう思いでこの曲を書いたんだろう?」とか、考えるのも楽しくて。バドと同じ時代に生まれていたらといつも思います。

── 実際に会ったら、超タイヘンな人かもしれないですよ(笑)。

甲田でも、好きなんですよねえ。

── バド・パウエルの演奏スタイルってよく「右手でシングルトーンの高速なフレーズを弾き、左手で複雑なコードチェンジをする」という風に形容されるじゃないですか。子どもの頃からそれをコピーしまくったことで、その奏法に影響された部分はあると思いますか?

甲田はい。ソロの左手は特に採譜してないけど、右手がこう動いたとき左手がどの位置でそれをカバーするかとか、そういう感覚は自然に染み込んでいると思う。でも今後、バドのバラードをもっと忠実にコピーする時は、きっと左手ももっと研究しなきゃですね。

── 5曲目の「ルビー、マイ・ディア」と11曲目の「アスク・ミー・ナウ」はセロニアス・モンク。彼はバド・パウエルにも多大な影響を与えた巨人です。 甲田さんはモンクのどこに惹かれますか?

甲田響きが、ほんと独特ですよね。一番最初に聴いたときは、間違えてるんじゃないか?と思ったくらい。そういう一風変わった個性にまず、ギュッと心を掴まれて(笑)。その後でYouTubeとかで演奏を見ると、弾き方もユニークだし、ファッションも独特で……。ずっと好きですね。

セロニアス・モンク『ソロ・モンク+9』 セロニアス・モンク『ソロ・モンク+9』 1949年8月9日録音ほか/ビューヨーク録音
「ルビー、マイ・ディア(テイク3)」、「アスク・ミー・ナウ」(テイク2)ほか収録
ご購入はこちら

── ビバップって乱暴に言うと、最初にテーマとコード(和音)進行という約束ごとだけを決めて、後は即興で勝負するスタイルでしょう。その意味ではバド・パウエルやセロニアス・モンクに限らず、聴く人が聴けばプレーヤーの才能や技術がまる裸になっちゃうジャンルとも言える。そういう世界って怖くないですか?

甲田怖いですよ! レコーディングもライブもめっちゃ怖い。私、本番ではけっこう緊張する方だし。アドリブとか結局いまだに慣れないですし。自分がピアノが弾けるとか、ジャズができるとか、胸を張って言えない。

── そうなんだ。客前で演奏するようになってどのくらいでしたっけ?

甲田ライブとしてちゃんと演奏するようになってからは、半年も経ってないですね。プロデューサーさんと出会った1年前は、時々イベントに呼んでもらって弾くくらいでした。まだまだこれからです。

── そういえば甲田さんのインスタのアカウントって「bopmappy」でしょう。今や世界中に14万人を超えるフォロワーを持つわけですけど、開設当初から“バップ愛”が強かったのではないですか?

甲田もちろん。開設当初は本当にビバップ、ラブ!だったので。それをずっと使い続けているという。

── それでいうと3曲目と4曲目で、あえて「インディアナ」の2テイク続けて入れている構成にも、ビバップへの愛を感じました。普通ならアルバム最後にボーナステイクとして入れるところを、あえて「こういうアドリブの違いも楽しんください」という気持ちが伝わってきて。

甲田そう。最初は2テイク入れる予定ではなかったんだけど、聴き直してみるとどっちのテイクも捨てがたかったので。続けて入れたのはもちろんバドリスペクトもあるし、結果、それができてうれしい。

── アルバムタイトルにもなっているオリジナル曲「PLANKTON」。これはハードバップというよりは、むしろモダンでソフィスティケートされた響きが印象的でした。これはどういうイメージで書きました?

甲田plankton(曲)のタイトルは最初は特に決めてなくて、仮でふざけて'幕張メッセ'って呼んでたんですけど、曲のイメージが何か浮遊したものだったので、浮遊生物という言葉に出会った時、これがいいかな。と。キャッチーだし、中身とも合ってると思ったのでそのままアルバムのタイトルになりました。

── 甲田さんはモデルとしても活躍されていますが、2つの分野を両立させるのは難しくないですか?

甲田自分がやりたいことは昔から音楽だったので、もう少し音楽の練習時間を確保したいと思う時は多いですね。でもファッション関係のお仕事は大好きなので、私はこの2つがあることによって良いバランスを保ててます。自分のレベルが追い付かないのにライブやレコーディングの機会が増えていくのは怖いので、そこは自分が時間をうまく使って、もっともっと、練習しなきゃなって。

── 一流のミュージシャンは、もれなく“練習の虫”ですもんね。それでいうと今回トリオを組んだ石若駿さんと新井和輝さん。おふたりともジャズだけでなく幅広いジャンルで活躍されている若手屈指のミュージシャンです。刺激を受けることも多かったのでは?

甲田もう刺激しか受けないですね! とにかくお二人はレベルが高いので、一緒に演っててももちろん、演奏していないときもいろんなことを教えてくれて……。駿さんはセッションの後にアドバイスをくれたり、私が自信をなくしそうな時は、「Mappyは強いから大丈夫、やりたいことだけやればいいよ」って励ましてくれるんですよ。

── なるほど。

甲田もちろん、共演する相手によって自分の演奏レベルが変わってきちゃうというのは、ミュージシャンとして未熟だってことだと思うんですよ。だけど駿さんとセッションしてる時って、音での会話が本当に楽しいな、と感じます。今回のレコーディングもそうだったので、3人の楽しさが伝わると思います。

── もともと出会いはどこだったんですか?

甲田私の知り合いのピアニストが音楽監督をしていた舞台を見に行った時に、駿さんがドラムで参加していたので、そこで初めてお会いしました。私はもちろん知っていたんですけど、駿さんも知り合い通じてか認識してくれていたみたいで。それからはよくセッションで会って、演奏させてもらってます。

── 東京芸大の打楽器専攻を首席で卒業し、アニメ「坂道のアポロン」のサウンドトラックにも出演したり、今をときめくプレーヤーで……。

甲田そうですね。駿さんはビート系まで本当に幅広くて。

── ちなみに、ヒップホップではどういう人が好きなんですか?

甲田わりと90年代ものを聴きますね。ア・トライブ・コールド・クエスト、マッドリブ、J・ディラ。もともとローリン・ヒルが大好きなんです。夜な夜なサンプリングのネタを調べたりが日課です。ヒップホップで学ぶことをジャズに取り込むようになって、自分の中では大分やりたいことが見えてきてるし、幅は広がってますね。

ア・トライブ・コールド・クエスト『ロウ・エンド・セオリー』(1991年) ア・トライブ・コールド・クエスト
『ロウ・エンド・セオリー』(1991年)
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── たしかにアルバム最後に入っているオリジナル「マイ・クラッシュ」は、明らかにビート感が違いますよね。クラブっぽいというか、最新形のジャズと繋がっている感じがする。あれが1曲入っているかどうかで、アルバム全体の印象は随分違っているのでは?

甲田そう思います。頑張って入れられて本当によかった(笑)。MY CRUSH 、最新のジャズをやってるという意識は全くなく、ヒップホップを演ってますね。今回はギリギリだったし、アコースティックだったので、やりたかったことは次できるようにしたいです。二人の対応力には本当に感謝しかないですね。

──石若さんと新井さんだと、感覚的にも世代的にも近いですしね。

甲田そうなんです。私としてもやっぱり若手の波長の合うミュージシャンとやりたいという思いがあって。レコーディングもお願いしました。

── なるほど。

甲田あの2人じゃなければ、先ほど話に出た「マイ・クラッシュ」のようなビート・ミュージックっぽいオリジナル・ナンバーを短期間で収録することもできなかった気がする。とにかく今回の、メンバーで『PLANKTON』というデビュー・アルバムをレコーディングできたのは、私にとっても最高に幸せなことだったと感じています。

2018年春・都内某所15Fにて
インタビュー・文/大谷隆之