むきだしの魂が、愛を求めて震えている。

ジャニス・ジョプリン/ビッグ・ブラザー&ザ・ホールティング・カンパニー

『チープ・スリル(50周年記念エディション)

2018125発売 ◆ 解説・歌詞・対訳 ◆ SICP 5935〜6(2枚組) ◆ ¥3,600+税

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収録楽曲

    DISC 1

  1. ふたりだけで (テイク3)
  2. 愛する人が欲しい (テイク4)
  3. サマ-タイム * (テイク2)
  4. 心のカケラ (テイク6)
  5. ハリー (テイク10)
  6. タートル・ブルース (テイク4)
  7. オー、スウィート・マリー
  8. ボールとチェーン 
    (ライヴ、ウィンターランド・ボールルーム、4月12日、1968年)
  9. 通行止め * (テイク1)
  10. キャッチ・ミー・ダディ (テイク1)
  11. イッツ・ア・ディール * (テイク1)
  12. イージー・ワンス・ユー・ノウ・ハウ * (テイク1)
  13. ハウ・メニー・タイムズ・ブルース・ジャム
  14. フェアウェル・ソング (テイク7)

    DISC 2

  1. フラワー・イン・ザ・サン (テイク3)
  2. オー、スウィート・マリー
  3. サマ-タイム (テイク1)
  4. 心のカケラ (テイク4)
  5. キャッチ・ミー・ダディ (テイク9)
  6. キャッチ・ミー・ダディ (テイク10)
  7. 愛する人が欲しい (テイク3)
  8. ハリー (テイク9)
  9. フェアウェル・ソング (テイク4)
  10. ミズリー (テイク2&3)
  11. ミズリー (テイク4)
  12. マジック・オブ・ラヴ * (テイク1)
  13. タートル・ブルース (テイク9)
  14. タートル・ブルー (ラスト・ヴァース テイク1-3)
  15. 心のカケラ (テイク3)
  16. フェアウェル・ソング (テイク5)

* の5曲を除き全て未発表


半世紀前は過激すぎるという理由でレコード会社から却下された幻のオリジナル・タイトル『Sex, Dope & Cheap Thrills』が蘇った『チープ・スリル(50周年記念エディション)』には、神話化された1968年のスタジオ・セッションからの29曲と1968年4月12日ウィンターランド・ボールルームで録音された「ボールとチェーン」の未発表ライヴ音源の全30曲(内25曲は未発表)ものレアな演奏が収められる。

ジェファーソン・エアプレインのグレイス・スリックが、今作のライナーノートの中で「あの歌声を聞いた瞬間、なんて凄い、止め処なく溢れるままのあらゆる感情の爆発…と思った。ジャニスはエプロン姿が女性の象徴だった50年代からノーブラに象徴される女性解放の60年代へと難なく適応した。私たちはみんな新しく得た自由を思い切り謳歌したし、音楽にも反映されたわ。このアルバムの世界的成功のお陰で、それまでサンフランシスコのベイエリアだけで起きていた現象を世界中の人々が聞くことが可能になった。そして今、新しい世代がこの『チープ・スリル』体験を楽しむことができる」と綴っている。

リード・ヴォーカルのジャニス・ジョプリン、ギターのサム・アンドリューとジェイムス・ガーリー、ベースのピーター・アルビン、ドラムのデヴィッド・ゲッツの5人編成のサイケデリック・バンドは何年もの下積み時代を重ねていた。1967年のモンタレー・ポップ・フェスティバルでの演奏によりビッグ・ブラザーはその名を全国に轟かせるジャニスのとどまることを知らない全力の歌声に観客は総立ちとなった。その場にいたCBSレコード社長のクライヴ・デイヴィスはビッグ・ブラザー&ザ・ホールティング・カンパニーをColumbiaレコードとの契約にこぎつける。ジョン・サイモンをプロデューサーに迎えた『チープ・スリル』はバンドのむき出しの個性とサイケな演奏力をあるがままにまとめ、「愛する人が欲しい」「ふたりだけで」といった魅力溢れるオリジナル曲の他に、ジョージとアイラ・ガーシュウィンの「サマ-タイム」、ビッグ・ママ・ソーントンの「ボールとチェーン」、そしてジェリー・ラゴヴォイとバート・バーンズによるソウル・バラードの名曲「心のカケラ」といったジャズやブルースの人気曲のカヴァーが収録された。「心のカケラ」はジャニスの代表曲となり、彼女の存命中チャート最上位を記録したシングルとなった。

『チープ・スリル』は1968年10月から12月にかけて、2度に渡り累計8週間ビルボード200アルバム・チャートの1位に輝いた

「『チープ・スリル』は時代を超えて生き残る作品となったようだ」とデヴィッド・ゲッツは『チープ・スリル(50周年記念エディション)』のライナーノーツに綴っている。「それはこれがジャニス・ジョプリンという偉大なアーティストの最高傑作と言えるからなのかもしれない。間違いなくビッグ・ブラザー&ザ・ホールティング・カンパニーというバンドを最も忠実に表した作品であることは確かだ。さらに、ビッグ・ブラザー/ジャニスは1960年代のサンフランシスコ、サイケデリック、カウンター・カルチャーを体現したバンドであり、サウンドであったと付け加えておこう。そして、例えるとするなら、また50年という歳月によって生まれた見解から言わせて貰うなら、『チープ・スリル』は私にとって1968年という年のタイム・カプセルである。あの年はビッグ・ブラザー、ジャニス、そして1960年代のアシッドにどっぷり浸かって燃え尽きたカウンター・カルチャー世代が転機を迎えた瞬間だったのかもしれない


1968年作オリジナル拡大版

ジャニス・ジョプリン/ビッグ・ブラザー&ザ・ホールティング・カンパニー

『チープ・スリル』

  1. ふたりだけで
  2. 愛する人が欲しい
  3. サマータイム
  4. 心のカケラ
  5. タートル・ブルース
  6. オー、スウィート・マリー
  7. ボールとチェーン
  8. <ボーナス・トラック>

  9. 通行止め
  10. フラワー・イン・ザ・サン
  11. キャッチ・ミー・ダディ (ライヴ)
  12. マジック・オブ・ラヴ (ライヴ)

好評発売中 ◆ 解説・歌詞・対訳 ◆ SICP 30046 ◆ ¥1,800+税

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プロフィール

Janis Joplin ジャニス・ジョプリン

ホールディング・カンパニーに参加した後の’67年に同名アルバムでデビュー。同じ年に行われたモンタレー・ポップ・フェスティバルへの出演で賞賛を浴び大きな転機を迎えました。メジャー・デビュー作となった『チープ・スリル』を’68年に発表後、ジャニスはバンドを脱退してソロ活動に入り、’69年『コズミック・ブルースを歌う』を発表、順調に活動を続けているかのようでした。しかしながら、ドラッグとアルコールに溺れていた彼女は『パール』完成前の’70年10月、ロサンジェルスのホテルで、ドラッグの過剰摂取により死亡、27歳でした。短い生涯でしたが、彼女の歌は、ブルース、ロック、フォーク、ソウルに止まらずスタンダードも取り上げ、類まれな表現力により、その作品は伝説的な輝きを今も放っています。圧倒的な唱法とキャラクターにより、数多くの人に影響を与え永く愛され続けているのです。

ジャニス・ジョプリンのライヴ・ドキュメンタリー・フィルム『ジャニス』世界初BD化記念、一夜限りのキネマ最響上映@Zepp東阪