CASIOPEA

ALFA 時代のオリジナル・アルバム18タイトル、待望のハイレゾ化!!

1979年のレコードデビュー以来、現在までに40枚近くのアルバムをリリースしている日本を代表するフュージョンバンドCASIOPEA(現グループ名はCASIOPEA 3rd)。「ASAYAKE」「DOMINO LINE」「GALACTIC FUNK」「SPACE ROAD」「BLACK JOKE」「EYES OF THE MIND」「TAKE ME」等CASIOPEA人気を決定付けた初期の代表曲を含むALFA時代のオリジナル・アルバム18タイトル、待望のハイレゾ化!!

【オーディオ評論:三浦 孝仁】

CASIOPEA  カシオペアのハイレゾ音源が待望の登場である。1979年にアルファ・レコードからリリースされたデビュー・アルバムから、ドラムが佐々木隆から神保彰に換わり国際的に活躍するフュージョングループに成長した「SUN SUN」(1986)までの15アルバム、そしてレーベル移籍を経て再びアルファ・レコードに戻ってきた「DRAMATIC」~「HEARTY NOTES」までの3アルバム(1993~1994)が加わった、トータル18作品もの音源が登場したのだから嬉しい限りだ。しかも、DSDフォーマットと24ビット/96kHzサンプリングのPCMフォーマットという完璧な布陣。貴重なオリジナル・マスターテープを御提供いただいたアルファ・レコードと、マスタリングを担当したソニーミュージックスタジオの鈴木浩二エンジニアに、私は拍手喝采なのである。
 
 リアルタイムでカシオペアを聴きまくっていた私が断然オススメするのは、デビュー作「CASIOPEA」と同年の「SUPER FLIGHT」、そしてドラムスが神保彰になった1980年のライヴ音源「THUNDER LIVE」の3アルバム。特に「CASIOPEA」と「SUPER FLIGHT」は、デビュー時のメンバーである佐々木隆がドラム演奏を担当していて、カシオペアのアマチュア時代を彷彿とさせる鋭角的なハイテク演奏が鮮やかに再現されている。デビュー作「CASIOPEA」では、ランディとマイケルのブレッカー兄弟とデイヴィッド・サンボーンによるブラス演奏が加わっていて、カシオペアのデビューを華々しく彩っているのも聴きどころ。このブラスセクションは、海外のジャズミュージシャン達との交流が深い深町純の協力でNYCでオーバーダビングされたものだ。「SUPER FLIGHT」までの2作品はエレクトリックベース、キーボード、ドラムスなど各楽器に加えられているリヴァーブなどのエフェクトがかなり控えめで、それ以降のアルバムと聴き比べて、各楽器のダイレクトな音を際立たせていることが判る。
 
CASIOPEA  そして圧巻なのは、神保彰さんが新ドラマーとして加入した直後に収録された1980年リリースの「THUNDER LIVE」。打音の力強さが特徴だった佐々木隆に対して、神保彰のドラミングはヤマハYD-9000の鳴りを活かした手数・足数の多彩なハイスピード感覚がとても印象的。最初の2作品で確立されたカシオペアの代表曲を、オリジナルのイメージを残しながらも神保彰のドラミングという強烈なアイデンティティを刻みこんでいる迫真のパフォーマンス。ハイレゾ音源で鮮やかに蘇った記念碑的ライヴ・アルバムだ。ちなみに、「CASIOPEA」と「SUPER FLIGHT」、「THUNDER LIVE」、そして1985年リリースの「HALLE」は、オリジナル・2トラック・アナログマスターテープからのマスタリングになっている。

CASIOPEA  ライヴ音源「THUNDER LIVE」からのカシオペアは、向谷実のキーボードが厚みをグッと増して全員の演奏テクニックもさらに高まり、ダイナミックかつメロディアスな曲調に進化している。デジタルレコーディングも導入され始めた頃で、「MAKE UP CITY」からの音源はほとんどがU-MATIC磁気テープのPCM1630(PCM1610)マスターになっている。デジタル・サンプリング音源の応用による楽器の登場やエフェクターの充実さも加わっており、それらは演奏とサウンドに直接的に反映されていると感じられよう。たとえば、米国市場に参入する目的で制作された1981年リリースの「EYES OF THE MIND」は、カシオペアを代表する人気曲が新たなアレンジで演奏されているわけだが、プロデューサーにドラム奏者のハーヴィー・メイソンを迎えて米国人エンジニアによる録音ということもあり、それまでのカシオペアとはひと味ちがったインターナショナルなフュージョン/クロスオーバーのサウンドに仕上がっているのが興味深いところだ。
 
CASIOPEA  カシオペアはメンバーチェンジを経て、現在もカシオペア 3rdとして積極的に活動している息の長いグループだ。私がカシオペアを初めて知ったのは、当時ヤマハが主宰していたバンドの登竜門「East West」での超絶演奏から。1976年の初年度大会で、ギターの野呂一生は栄光あるベストギタリスト賞を受賞している。それだけではない。翌年(1977年)の「East West」ではカシオペアが優秀グループ賞で、野呂一生は2年連続のベスト・ギタリスト賞に輝いているのだ。最初の副賞としてゲットしたエレクトリックギターのヤマハSG-2000は、それから長いこと野呂一生のアイコンとしてカシオペア・ファンの記憶に刻まれていたに違いない。
 
 カシオペアのアルファ・レコード時代をハイレゾ・フォーマットで改めて聴きなおした私は、彼らが築いてきた音楽が時代を超えて新鮮に響いてくることに感激!! マスタリングを担当した鈴木浩二さんに、私は賛辞を惜しまない。


【三浦 孝仁 (ミウラ タカヒト)】

1960年生まれ水瓶座O型。 中学時代よりオーディオに目覚めて以来、ずっとオーディオ再生の高みを目指している。 アナログオーディオ技術とDSD/PCMのデジタルオーディオ技術に興味を持ち続けており、 自身のオーディオシステムは常に現在進行形。学生時代に抱いていた夢はプロのドラム奏者 として活躍することだった。ストイックなまでに透徹で解像度の高い写実的なオーディオの 音を探求している。


LINEUP #1 野呂一生 (G)/櫻井哲夫 (B)/向谷実(Key)/佐々木隆 (Dr)

LINEUP #2 野呂一生 (G)/櫻井哲夫 (B)/向谷実(Key)/神保彰 (Dr)

  • THUNDER LIVE

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    オリジナル発売日:1980/4/21
    ※ライヴ・アルバム

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  • MAKE UP CITY

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    オリジナル発売日:1980/11/21

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    オリジナル発売日:1981/4/21

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    オリジナル発売日:1981/10/21

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  • MINT JAMS

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    オリジナル発売日:1982/5/21
    ※ライヴ・アルバム

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    オリジナル発売日:1982/12/16

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    オリジナル発売日:1983/4/23

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    オリジナル発売日:1983/11/30

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  • THE SOUNDGRAPHY

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    オリジナル発売日:1984/4/25
    ※ベスト・アルバム

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    オリジナル発売日:1984/10/25

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  • HALLE

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    オリジナル発売日:1985/9/10

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    オリジナル発売日:1985/12/21
    ※ライヴ・アルバム

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    オリジナル発売日:1986/9/10

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LINEUP #3 野呂一生 (G)/鳴瀬喜博 (B)/向谷実(Key)/熊谷徳明 (Dr)

  • DRAMATIC

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    オリジナル発売日:1993/5/21

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  • ANSWERS

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    オリジナル発売日:1994/5/25

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  • HEARTY NOTES

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    オリジナル発売日:1994/8/24
    ※アコースティック・アルバム

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【カシオペア】

1974年、当時別々の高校に通っていた高校3年生の野呂一生と高校2年生だった櫻井哲夫が友人の紹介で出会い意気投合、ベック・ボガート&アピスを目標として都内の練習スタジオでセッションを始める。ボーカルを従える時期などもあったが、野呂と櫻井以外は常にメンバーは流動的で、次第にハードロックやファンクをベースとしたサウンドから、そこにジャズのエッセンスを加えたインスト音楽へとバンドの方向性が変化していった。

バンド結成はしたものの、野呂と櫻井以外に固定メンバーが揃わないまま活動していたため、バンド名もライブを行うたびに適当に付けられていた。しかし、ある雑誌の取材を受けた際、「正式なバンド名がなければ載せられない」ということになり、野呂が自宅に帰って母親に相談したところ、「星座の名前なんていいんじゃない?」とのアドバイスに星座の本を広げて選んだのがカシオペアである。ただ、英字表記はCasiopeaとし、出典元のカシオペヤ座 (Cassiopeia) の正式な表記とは異なる。

バンドの名称をカシオペアと改めた後の1976年、野呂と櫻井、後にレコード会社のディレクターとなる小池秀彦(キーボード)、後にプリズムに加入する鈴木徹(ドラム)を入れた4人編成でヤマハ主催のアマチュア・バンド・コンテスト「EastWest'76」に出場。決勝大会まで進出し、野呂がベストギタリスト賞を獲得したことでアマチュア・シーンに名前が知れ始める。しかし、出場後に小池と鈴木は脱退。野呂は友人のツテを頼って、自分と同学年の年齢で、当時合歓音楽院(現・ヤマハ音楽院)エレクトーン科在籍中だった向谷実をキーボーディストに勧誘して引き込んだ。そして向谷を入れたカシオペアは自らのオーディションにより選んだ佐々木隆を加えて同コンテストに再度出場。カシオペアは最優秀グループ賞、野呂は二年連続のベストギタリスト賞を受賞。これをきっけに彼らの演奏を収めたデモ・テープを当時のアルファレコード社長・村井邦彦が聴くこととなり、1979年のカシオペアのデビューとなる。