●LIVE REPORT

ワイヨリカ Wyolica
デビュー20周年
『Wyolica 20th Anniversary ~Beautiful Surprise Tour~』
ライブ・レポート

 デビュー20周年となる5月21日に再結成を果たしたワイヨリカ。新曲とベストアルバムをひっさげて、8月18日にduo MUSIC EXCHANGEにて9年ぶりのライブ『Wyolica 20th Anniversary ~Beautiful Surprise Tour~』が開催された。

 開演前から会場は立見席まで満員となり、熱気であふれている。ここにいるすべての人が、Wyolicaの再結成を待ち続け、そしてふたりの歌と演奏を自分の目で、耳で聴く日を待ち望んでいたのだ。9年もの間、待ち続けたライブが、ついに始まる。そんな気持ちがこみあげて抑えきれなくなった瞬間、ライブは開演した。

 聴き馴染みのあるso-toのギターの音色が奏でられ、Azumiの一声が発せられた瞬間、フロアの空気が一気に変化する。バンドを連れて記念すべき1曲目に歌われたのは、ここにいる人たちが何度も何度も聴いてきただろう『ありがとう』だ。強くて、でも、優しい歌声。「待っていた」という想いとともにフロアから一気に歓声が沸く。

 Azumiはそんなフロアを見まわして、笑顔を見せながらも「言葉になりません。いま、必死です。今日は楽しんでください」を胸に手を当て話したあと、手拍子とともに『青い月』を披露。自然と体が揺れ、続く『もしも』では温かく包み込むようなso-toのギターに心があたたまり、あらためてワイヨリカの楽曲が時を重ねてもまったく色あせず、心の奥を刺激してくれることを体感する。

 このライブは、ファンにからのリクエスト投票によりセットリストが決めらえた。実は1曲目の『ありがとう』が1位だったことを事後報告し、「みなさんへの気持ちを考えながら歌ったらこみあげるものがありました」と教えてくれた。そしてそのリクエストの上位曲である『スパークル』や『風をあつめて』『good-bye summer』も立て続けに披露。

 続いて、タイトル通り、ファンにとっては美しい、奇跡のようなサプライズだった新曲『Beautiful Surprise』を歌う。この曲は今だからこそ歌うワイヨリカの思い、そして誓いが込められている。静かな曲なのに、聞く人を圧倒する力を持つこの曲の後には、大人で艶やかな『One Room』とつながる。ただ、懐古するだけのライブではなく、これらの新曲たちを歌うことでよりまたワイヨリカが始まるワクワク感を感じさせてくれたのだ。

 続くアコースティックコーナーでは『Marcy Me ~いつか光を抱けるように~』、Azumiいわく、「できたときはすごい曲ができてしまったと思った」という『シェルター』そして『キスの温度』と、生音だからこそ伝わる息遣い、細やかな音色を楽しませ、より良質な楽曲を堪能させてくれた。

 お待ちかねのso-toによるMCでは、「実は年に数日だけ、幽霊が見える」というトンデモかつ9年ぶりとは思えない話でフロアは爆笑。Azumiも「変わらないでしょ?」と笑い、その流れで『星』を歌うというまさかのセットリストに(笑)。

 Azumiが「立ち上がって楽しんでください!」という声から始まった『恋の幻』、『僕は忘れない』、どんどんフロアの熱が上昇した『愛をうたえ』ではAzumiにマイクを向けられ一節歌うシーンも。そのままそこにいた全員で一緒に歌い、全員が余すことなく笑顔になり、ライブの定番曲となってすごく壮大で大事な曲という『空と風』を歌い、本編の幕を閉じた。

 大きな声のアンコールに応えるように再登場した彼らは、結成のきっかけとなった『悲しいわがまま』を熱唱したあと、Azumiは2013年に解散したときは、また会えるとは思っていなかったこと、さらに、いつもみんなが私たちの曲で泣いている姿に救われていたこと、解散発表をしたときに、みんなのすすり泣く声を聴いて、二度とこんな思いはさせない、守ろうと思ったことを話し、「今日は嬉し涙になれたかな?」と目にいっぱいの涙をためてした問いかけると、フロアから大きな拍手が沸き起こった。

 so-toは突発的に『忘れそう』を歌い、その場がまた優しい空気で包まれると、Azumiの瞳から大きな涙がほろりと流れる。すると伝染するかのようにフロアからも鼻をすする音が聞こえてきたが、それをかき消すかのように、Azumiは11月にふたりでライブをしようと考えていることを教えてくれた。そうだ、またワイヨリカは歩き出したんだ。そんなことを実感させてくれる瞬間だった。

 そして、本当のラストである、みんなが大好きな『さあいこう』を、会場にいるすべての人と大合唱をし、感動的なラストを飾った。最後にAzumiは「20年やっていてよかったです。ありがとうございました! また会いましょう!」と手を振り、その場を去った。その後も、会場には長らく大きな拍手が起き、あらたな門出をそこに居るすべての人がかみしめ、心に刻んでいるようだった。この日のライブは終わってしまったけど、また次がある。その当たり前のようで当たり前ではない幸せをかみしめたファンのみんなの表情は、とても明るく、輝いていた。レポート/吉田可奈

『Wyolica 20th Anniversary ~Beautiful Surprise Tour~』
@duo MUSIC EXCHANGE 2019.8.18

<東京セットリスト>
1 ありがとう
2 青い月
3 もしも
4 スパークル
5 風をあつめて
6 goodbye summer
7 Beautiful Surprise
8 OneRoom
9 Mercy Me 〜いつか光を抱けるように〜
10 シェルター
11 キスの温度
12 星
13 恋の幻
14 僕は忘れない
15 愛をうたえ
16 空と風
<アンコール>
17 悲しいわがまま
18 さあいこう

<大阪セットリスト>
1 ありがとう
2 スパークル
3 are you missin' me?
4 青い月
5 red song
6 goodbye summer
7 Beautiful Surprise
8 OneRoom
9 Mercy Me~いつか光を抱けるように~
10 シェルター
11 キスの温度
12 星
13 恋の幻
14 僕は忘れない
15 愛をうたえ
16 空と風
<アンコール>
17 悲しいわがまま
18 さあいこう



<バンドメンバー>
東京:
Azumi(Vo.)
so-to(Gt).
SWING-O(Key)
坂本竜太(Ba)
有坂美香(Cho.)
みどりん(SOIL&"PIMP"SESSIONS)(Dr.)

大阪:
Azumii(Vo.)
so-to(Gt).
SWING-O(Key)
坂本竜太(Ba)
西岡ヒデロー(Per/Tp)

大阪カメラマン:JP


ライブ情報:

9月14日(土) タワーレコード札幌ピヴォ店インストアライブ
9月15日(日) サンデーマーケット × 函館BLOCK PARTY
10月20日(日) 駿河湾フェリースペシャルライブ
11月9日(土) Wyolica 20th Anniversary ~Folky Soul Cafe 2019~
11月16日(土) 北九州港 開港130周年記念イベント LIKE BLUE MART


Profile

ワイヨリカ(Wyolica)

北海道札幌市出身のAzumi(vo)と
大阪府出身のso-to(池宮創人)(g,programming)による
2人組音楽グループ。
名前はネイティヴ・アメリカンの言葉を用いた造語で“草原の民”の意。
それぞれに活動していた二人がオーディションを機に出会い、大沢伸一プロデュースとして
99年5月にシングル「悲しいわがまま」でデビュー。
ブラック・ミュージックを軸に、切ない歌詞や洒落たセンスとポップ感覚を合わせた
爽やかで甘酸っぱいサウンドで人気を博す。

2013年5月の正式解散発表後は、
それぞれソロで活躍していたが、
デビュー20周年を期に再結成を発表した。

< Wyolica >

   

< Azumi >

Official site 

     

< so-to >

Blog