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第333回 萩原健太のotonanoラジオ#216

2023/11/21 公開

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その2)

1.

大貫妙子

Happy-go-Lucky

『Taeko Onuki Concert 2022』

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その2)

2.

大貫妙子

突然の贈りもの

『Taeko Onuki Concert 2022』

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その2)

3.

大貫妙子

朝のパレット

『Taeko Onuki Concert 2022』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#216

『So Far Away~ベテラン女性アーティスト初期名曲の成熟ライヴ集』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. So Far Away (Live) / Carole King

先週に引き続き大貫妙子さんをお迎えした『otonanoラジオ』。去年の12月に昭和女子大学人見記念講堂で行なわれたコンサートの模様を収めたライヴ・アルバム『Taeko Onuki Concert 2022』がCD化リリースされるということで、そのお話をたっぷりうかがいました。今回のライヴ・アルバムには昨今のシティ・ポップ・ブームで再注目されている1970年代の楽曲なども選曲されていますが、どれも新たなアレンジをほどこされ、“今”の大貫さんならではの表現を聞かせてくれており、ぐっときます。曲もパフォーマーも、優れているものはいい形で成熟しながら時代を超えていくんだなという感慨を、改めて覚えました。ということで今週のプレイリストは、大貫さん同様、キャリアを積んだベテラン女性アーティストが初期のレパートリーを成熟した表現で聞かせてくれているライヴ・ヴァージョンってやつを集めて並べてみました。まずは女性シンガー・ソングライターの代表選手、キャロル・キングから。彼女が1971年にリリースした大ヒット・アルバム『つづれおり』に入っていた名曲を、45年の歳月を経て2016年、英ロンドンのハイド・パークで歌ったライヴ・ヴァージョンです。2017年のライヴ・アルバム『つづれおり:ライヴ・イン・ハイド・パーク』より。
2. (You Make Me Feel Like) A Natural Woman (Live) / Aretha Franklin

キャロル・キングつながりでもう1曲。彼女が1967年、ソウルの女王アレサ・フランクリンに提供した大傑作曲です。2015年、キャロル・キングがケネディ・センター名誉賞を受賞したときの式典で、お祝いに駆けつけたアレサが披露した必殺のパフォーマンス。48年の歳月を経た円熟の歌心が楽しめます。これがアレサにとって最後の本格的ライヴ・パフォーマンスでした。
3. Chuck E.'s In Love (Live) / Rickie Lee Jones

リッキー・リー・ジョーンズが2001年、デンヴァーのレッド・ロック・アンフィシアターでのライヴを収めてリリースした『ライヴ・アット・ザ・レッド・ロックス』より。1979年のデビュー・アルバム『浪漫』に収められていた初期代表曲を、いい感じに崩しながら歌ってます。
4. 電話線 (飛ばしていくよ Piano Solo Live 2015) / 矢野顕子

崩しまくりって意味ではこれなんか最強かも。大貫さんの親友、矢野顕子さんが1976年、本格デビュー・アルバム『Japanese Girl』にリトル・フィートとの共演で収めていたナンバーを、2015年、自ら奏でるピアノ1本をバックに歌ったヴァージョンです。アルバム『飛ばしていくよ Piano Solo Live 2015』より。
5. That's The Way I Always Heard It Should Be (Live At Grand Central, New York, NY - April 2, 1995) / Carly Simon

1971年に全米トップ10ヒットを記録したカーリー・サイモンのファースト・ヒット。それを1995年、ニューヨークのグランド・セントラル駅構内で行なったコンサートの模様を記録したアルバム『ライヴ・アット・グランド・セントラル』のヴァージョンで。
6. Poetry Man (Live) / Phoebe Snow

2008年7月、ウッドストックのベアズヴィル・シアターで行なわれたフィービ・スノウのパフォーマンスを記録した『2008ライヴ・アット・ウッドストック』より。このアルバムは本プレイリストでも以前取り上げたことがあって。そのときに書いた解説の繰り返しになりますが。この人、1974年にデビューした直後、出産した娘さんが生まれながら重度の脳障害を抱えていたこともあって長い試練の日々を過ごしてきて。看病のため活発に音楽活動できない時期も長かったのですが。その娘さんが2008年、31歳で他界。想像を絶する苦しみと悲しみを乗り越えて、その年、フィービは久々に復活。ほぼ20年ぶりにこのライヴ盤をリリースしたのでした。フォーク、ジャズ、ブルース、ソウルなど様々な音楽性が魅惑的に溶け合うフィービの歌声が帰ってきた喜びに胸が熱くなったものですが、それも束の間、3年後の2011年、フィービもまた60歳という若さで亡くなりました。あまりにも若すぎる、そして悲しすぎる死でした。この曲は1974年のデビュー・アルバムに収められていた代表曲です。
7. Wedding Bell Blues (Live In Japan) / Laura Nero

ローラ・ニーロが1966年、デビュー・アルバム『モア・ザン・ア・ニュー・ディスカバリー』に収めて発表した曲。これはその28年後、日本で行なったコンサートでのライヴ・ヴァージョンです。アルバム『トゥリーズ・オブ・ジ・エイジズ:ローラ・ニーロ・ライブ・イン・ジャパン』より。ローラもこの3年後に亡くなってしまったんだよなぁ…。
8. Didn't We (Live At Barclays Center) / Barbra Streisand

そんなローラ・ニーロの「ストーニー・エンド」を歌っていたことでもおなじみ、米ショービズ界最高の歌姫、バーブラ・ストライサンドの円熟ぶりも堪能しましょう。1972年のライヴ・アルバム『フォーラム劇場のバーブラ・ストライサンド』で取り上げていたジミー・ウェッブ作品を、その40年後の2012年にレコーディングされたライヴ・アルバム『バック・トゥ・ブルックリン』のヴァージョンで。深みの増し方がやばいです。
9. 少女 (五輪真弓ライブ〜心の友〜) / 五輪真弓

日本ものをもうひとつ。デビュー当初“日本のキャロル・キング”などとも呼ばれていた五輪真弓さん。1972年に、そのキャロル・キング本人も参加して米ロサンゼルスで録音されたデビュー・アルバムのタイトル曲を、2016年にリリースされたライヴ・アルバム『五輪真弓ライブ 〜心の友〜 AFTER DECADES』のヴァージョンでどうぞ。
10. Send In The Clowns (Live) / Judy Collins

1960年代初頭から活動してきたフォーク・シンガー、ジュディ・コリンズ。彼女が1975年にヒットさせたスティーヴン・ソンドハイム作品を45年の歳月の後、ニューヨークのタウンホールでライヴ・レコーディングしたヴァージョンです。これは彼女にとって1964年以来のタウンホール公演だったとか。2021年にリリースされたアルバム『ライヴ・アット・ザ・タウンホール、NYC、2020』より。
11. Forever Young (Live) / Joan Baez

ジュディ・コリンズ同様、1960年代から活動を続けてきたフォークの女王、ジョーン・バエズ。今回は彼女が1974年にカヴァーしてヒットさせたボブ・ディラン作品を、2016年、75歳のお誕生日を祝して催されたコンサートで歌ったヴァージョンで。アルバム『75thバースデイ・セレブレイション』より。
12. Both Sides Now (Live At The Newport Folk Festival, Newport, RI, 7/24/2022) / Joni Mitchell

そして、最後はジョニ・ミッチェル。1968年にレコード・デビューして以来、「青春の光と影(Both Sides Now)」「サークル・ゲーム」「ウッドストック」「チェルシー・モーニング」など多くの名曲を生み出したカナダ出身の女性シンガー・ソングライターですが。21世紀に入ったころからモルジェロンズ病という難病を患い長い闘病生活に。脳動脈瘤にも侵され音楽活動はほぼ休止状態。が、不屈の意志と厳しいリハビリで徐々に回復し、去年の夏、ついに米ニューポート・フォーク・フェスティヴァルで、頼もしい後輩ブランディ・カーライルらのサポートを受けながら全13曲のライヴ・セットを披露しました。そのときの模様を収めて今年リリースされた『ジョニ・ミッチェル・アット・ニューポート』から、初期代表曲「青春の光と影」を。往年の美しい高音ヴォーカルを聞くことはもうできないものの、ブランディらの支えを受けながら以前とは違う低く渋い歌声で往年の代表曲を歌い綴るジョニがそこにいます。彼女はかつての歌声を失い、しかしそれと引き換えにより赤裸々な説得力を手に入れたのでした。泣けます。

解説:萩原健太

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第332回 萩原健太のotonanoラジオ#215

2023/11/14 公開

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その1)

1.

大貫妙子

横顔

『Taeko Onuki Concert 2022』

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その1)

2.

大貫妙子

ピーターラビットとわたし

『Taeko Onuki Concert 2022』

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その1)

3.

大貫妙子

色彩都市

『Taeko Onuki Concert 2022』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#215

『君の友だち~極私的ベスト!大貫妙子コーラスWorks』

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1. しらけちまうぜ / 小坂忠

大貫妙子さんをゲストにお迎えした『otonanoラジオ』。いかがでしたか? 番組でも特集した最新ライヴ・アルバム『Taeko Onuki Concert 2022』を聞いて改めて思うことですが、大貫さんの歌声というのは、こう、なんというか、宝物のようだな、と。大貫さんの歌声が聞こえるだけで、なんだか心がふわっと浮き立ったり、穏やかに落ち着いたり、静かに癒やされたり…。そんな宝物のような歌声の輝きは大貫さんご自身の作品だけでなく、他のシンガーのバックでコーラス参加したときにも発揮されています。大貫さんはシュガーベイブの一員としてデビューを飾った1970年代半ばから、主に山下達郎さんや吉田美奈子さんらと組んで多くのアーティストのレコーディングでバック・コーラスをつとめてきました。もともとハーモニー・マニアだったぼくは当時、大貫さんを含むコーラス隊が参加しているレコードを入手しては、その洗練されたコーラスに胸をときめかせてきたものです。というわけで、今週のプレイリストはぼくの極私的趣味全開。1970年代半ばから1980年代にかけて、大貫さんがコーラスに参加している作品からぼくが好きな12曲を並べてみました。けっして主役ではありませんが、バックに聞こえるハーモニーの中に含まれている大貫さんの声に集中して、その独特の肌触りをお楽しみいただければ、と。どこか不思議な統一感が感じられると思います。まずは小坂忠さんが1975年にリリースした大傑作アルバム『ほうろう』の収録曲から。吉田美奈子、山下達郎、大貫妙子という黄金の3人によるファンキーなコーラスをお楽しみください。
2. 瞳を閉じて / 荒井由実

大貫さんがシュガーベイブの一員としてアルバム・デビューする前、1974年にユーミンがリリースした傑作セカンド・アルバム『ミスリム』より。これはコーラスのクレジットがシュガーベイブとなっているので、たぶん山下達郎、大貫妙子、村松邦男という顔ぶれなのかな? 
3. 薄荷糖の夏 / あがた森魚

あがた森魚、1976年の2枚組大作『日本少年(ヂパング・ボーイ)』の収録曲。“ヘルプ・ミー・ロン・ロン・コーラス”と名付けられたこの曲のコーラスを担当しているのは、矢野顕子、大貫妙子、山下達郎という、これまた超強力な顔ぶれです。
4. スカイラウンジ / 丸山圭子

大ヒット・シングル「どうぞこのまま」を含む丸山圭子、1976年のアルバム『黄昏メモリー』より。山下達郎、大貫妙子、村松邦男というシュガーベイブのコーラスがフィーチャーされています。
5. 涙のプレリュード / ルネ

カナダのお子ちゃまシンガー、ルネ・シマールが1975年にリリースしたアルバム『君のすべてが欲しい』より。村井邦彦がアルバムのほぼ全曲を作曲して、松任谷正隆が編曲…という人脈もあり、アルバム中5曲で山下達郎、吉田美奈子、大貫妙子のゴールデン・トリオがバック・コーラスをつとめていました。そのうちの1曲です。
6. でい どりーむ / 風

伊勢正三と大久保一久によるポップ・デュオ“風”がやはり1975年にリリースした『風ファーストアルバム』にも松任谷正隆編曲作品が3曲あり、うち2曲に大貫さんがコーラスで参加していました。そのうちの1曲です。コーラスしていたのは、シュガーベイブ+吉田美奈子+ハイファイセットという錚々たる顔ぶれ。のちの大物たちが若き日、力を合わせて新しいシーンを作ろうと試行錯誤していた時期の記録です。
7. 火の子供達 / 少年少女合唱団みずうみ&シュガー・ベイブ

六文銭の及川恒平が構成と作詞を手がけ、作曲を坂本龍一、編曲を山下達郎が担当した1975年発表のコンセプト・アルバム『及川恒平の子供のうた「海や山の神様たち」~ここでも今でもない話~』より。山下達郎、大貫妙子、村松邦男がシュガーベイブとしてコーラスに参加しています。
8. 日付変更線 / 南佳孝

南佳孝が1978年にリリースした傑作『SOUTH OF THE BORDER』より、ユーミン作詞、佳孝さん作曲、坂本教授編曲による超名曲。ここに大貫さんはバック・コーラスというのではなく、ゲスト・ヴォーカルとして迎えられていました。名唱!
9. こぬか雨 / 伊藤銀次

シュガーベイブに一時期在籍していたこともある銀次さんが、シュガーベイブ時代のライヴでよく演奏していたオリジナル曲を1977年のファースト・ソロ・アルバム『デッドリー・ドライヴ』で再演したもの。コーラスをシュガー仲間の大貫さんが手がけています。
10. イチゴの誘惑 / 竹内まりや

ここから2曲は1980年代もの。まずはまりやさんの1981年のヒット曲から。当時同じRCAレコードに在籍していた“RCAシスターズ”こと、まりやさん、大貫さん、そしてEPOという3人の女性シンガーによるポップなコーラス・ワークがごきげんです。
11. PARK Ave. 1981 / EPO

続いてRCAシスターズからEPOのナンバー。1980年、清涼飲料水のCMに起用されたシングル曲です。コーラスをEPO本人と大貫さんが手がけました。
12. 君の友だち / 吉田美奈子

最後は1975年にリリースされた美奈子さんのライヴ盤『MINAKO II』より。必殺の名曲のゴスペル風味満載でカヴァーしたナンバーを。荘厳なコーラスを聞かせているのは山下達郎と大貫妙子のシュガーベイブ組とハイファイセット・チームです。

解説:萩原健太

大貫妙子さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第331回 萩原健太のotonanoラジオ#214

2023/11/07 公開

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その2)

1.

はっぴいえんど

颱風

『風街ろまん』

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その2)

2.

はっぴいえんど

さよなら通り3番地

『HAPPY END』

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その2)

3.

はっぴいえんど

風来坊(吉野金次MIX)

『HAPPY END』

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その2)

4.

はっぴいえんど

さよならアメリカさよならニッポン

『HAPPY END』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#214

『ちぎれ雲~鈴木茂ソングライティング作品集』

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1. LADY PINK PANTHER / スターダスト☆レビュー

先週に引き続き鈴木茂さんをゲストにお迎えした『otonanoラジオ』。今週も、はっぴいえんどにまつわる興味深いお話をたっぷりうかがいました。茂さんは1970年に出たはっぴいえんどのデビュー・アルバムでは、最年少メンバーということもあってか、ギタリストという役割に徹し、1曲もオリジナル曲を書いていませんでしたが、バンド活動を続ける中、ギタリストとしてだけでなく、ソングライターとしても成長。1972年の『風街ろまん』には初のオリジナル曲「花いちもんめ」を、1973年のサード・アルバム『HAPPY END』には「氷雨月のスケッチ」「明日あたりはきっと春」「さよなら通り3番地」の3曲を、それぞれ提供しました(すべて作詞はバンドメイトの松本隆)。そしてバンド解散後も自らのアルバムのために、あるいはプロデュースやアレンジを手がけた他アーティストのレコーディングのために、たくさんのオリジナル曲を書いています。ということで、今週のプレイリストは茂さんのソングライターとしての側面に着目。様々なシンガーへの書き下ろし曲はもちろん、はっぴいえんどのために、あるいは自分自身のアルバムのために書いたレパートリーのカヴァー・ヴァージョンなども交えつつセレクトした12曲です。まずは茂さんが1976年にリリースしたソロ・アルバム『ラグーン』のために書き下ろした収録曲をスタレビの面々がお得意のコーラスでカヴァーしたごきげんなヴァージョンから。2008年のアカペラ・カヴァー・アルバム『ALWAYS』に収められていたものです。作詞:松本隆、作曲:鈴木茂。
2. 黄昏はオレンジ・ライム / 松田聖子

続いては聖子ちゃん。彼女が1981年にリリースしたアルバム『風立ちぬ』はアナログ盤のA面全曲の作・編曲およびプロデュースを、これまたはっぴいえんど仲間のひとり、大滝詠一が担当。それに対してB面のほうには財津和夫、杉真理ら複数のソングライターが参加していました。茂さんもそのうちのひとり。ということで、茂さん作曲によるこの曲をどうぞ。もちろんこの曲も作詞は聖子ちゃんといえばこの人、松本隆です。
3. 唇にメモワール / 岩崎良美

80年代アイドルの代表選手のひとり、岩崎良美が1981年暮れにリリースしたアルバム『心のアトリエ』より。作詞:松井五郎、作曲:鈴木茂。
4. Howa Howa Shuwa Shuwa -宇宙ネコの舌ざわり- / 松原みき

松原みき、1980年リリースのセカンド・アルバム『WHO ARE YOU?』の収録曲です。作詞:島エリナ、作曲:鈴木茂。
5. ファニー / 前川清

坂本龍一、中島みゆき、村下孝蔵、高見沢俊彦、福山雅治、矢野顕子、さだまさしら興味深いアーティストたちが曲作りに関わった前川清、2002年のアルバム『前川清コレクション 雪列車~ひまわり』に、茂さんも1曲参加していました。作詞:山川圭介、作曲:鈴木 茂によるナンバーです。
6. 恋人たちの水平線 / 裕木奈江

1994年、松本隆のプロデュースの下で制作された内省的なコンセプト・アルバム『水の精』より。ここにも細野晴臣、矢野顕子、松浦雅也、楠瀬誠志郎、筒美京平など興味深いソングライターが参加していましたが、その中から作詞:松本隆、作曲:鈴木茂によるこの曲を。
7. ソバカスのある少女 / 森丘祥子

茂さんも深く関わっていた先進的ミュージシャン集団“ティン・パン・アレイ”が1975年にリリースしたアルバム『キャラメル・ママ』に収められていた松本隆=鈴木茂作品。そのアルバムでは南佳孝がゲスト・ヴォーカリストとして参加し茂さんとのデュエットを聴かせてくれていましたが、今回は森丘祥子が小西康陽をプロデューサーに迎えて1991年にリリースしたカヴァー・アルバム『夢で逢えたら』からのヴァージョンで。
8. 真夏の少女 / 堀ちえみ

エイティーズ・アイドルをもうひとつ。堀ちえみが1982年にリリースしたセカンド・シングルです。作詞:中里綴、作曲:鈴木茂。
9. 305の招待席 / 布施明

布施明が1979年にリリースしたアーバン・ポップ・シングル。隠れた名曲として人気の高い作品です。作詞:門谷憲二、作曲:鈴木茂。
10. アトランチス / 井上純一

茂さんはアニメ関連の仕事もこなしています。1980年の単発長編テレビ・アニメ『海底大戦争~愛の20000マイル』のテーマ・ソング。声優も務めていた井上純一が歌っています。これも作詞:松本隆、作曲:鈴木茂による作品です。
11. 春爛漫 / 山口百恵

百恵ちゃん、1980年のアルバム『春告鳥』のオープニングを飾っていたナンバー。これまた作詞:松本隆、作曲:鈴木茂。
12. ちぎれ雲 / SKYE

最後は茂さん自身がヴォーカルをとっている音源で締めましょう。鈴木茂、小原礼、林立夫、松任谷正隆というそうそうたる顔ぶれが再結集したスーパー・バンド、SKYEが2021年にリリースしたアルバムの収録曲です。とはいえ、これ実は、はっぴいえんど時代に作られたものの未発表に終わっていた作品。半世紀近い歳月を経てついに世に出た1曲でした。もちろん作詞:松本隆、作曲:鈴木茂。8分超の意欲的な新録音です。

解説:萩原健太

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第330回 萩原健太のotonanoラジオ#213

2023/10/31 公開

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その1)

1.

はっぴいえんど

春よ来い

『はっぴいえんど』

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その1)

2.

はっぴいえんど

飛べない空

『はっぴいえんど』

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その1)

3.

はっぴいえんど

花いちもんめ

『風街ろまん』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#213

『春よ来い~マイ・フェイヴァリットはっぴいえんど』

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1. 明日あたりはきっと春 / はっぴいえんど

鈴木茂さんをゲストにお招きした『otonanoラジオ』。楽しかったですねー! 茂さんをはじめ、細野晴臣さん、松本隆さん、大滝詠一さんというそうそうたる顔ぶれが、若き日、一堂に会していた奇跡のバンド、はっぴいえんどのオリジナル・アルバム3作がこのほど改めて再発されるということで。はっぴいえんどをめぐる様々なお話をたっぷり聞かせていただきました。来週もまた茂さんが来てくださるということで、待ちきれません。ということで今週のプレイリスト、主役はもちろん、はっぴいえんどです。バンドとしては1970〜73年というごく短い期間しか存在しなかったにもかかわらず、その後の日本のポップ・ミュージック・シーンを大きく変えていくことになる刺激的な種を蒔きまくった彼らの音源からぼくが好きな12曲、セレクトしてみました。はっぴいえんど名義の作品はもちろん、彼らが当時バッキングをつとめた他アーティストの音源なども含むセレクションです。まずはこの曲、1973年にリリースされたアルバム『HAPPY END』に収められていたナンバーを。作詞:松本隆、作曲:鈴木茂。『HAPPY END』は米ロサンゼルスのサンセット・サウンド・スタジオで、当時としては思いきり珍しかった海外レコーディングされた、彼らにとって最後のスタジオ・アルバムでした。
2. はいからはくち("CITY"ヴァージョン)/ はっぴいえんど

はっぴいえんどの代表曲のひとつ。作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。タイトルにこめられた“外来の文化に魅せられた日本人”としてのある種の自虐こそが彼らがシーンに残した最大のテーマだったかもしれません。彼らは単純に英米のロックに憧れて、無為な追いつけ追い越せ劇を展開するバンドではなかったということ。両者の間に厳然と存在する文化の違いをきっちり意識したうえでの表現を実現しようとしていたわけで。これもまた画期的なことでした。ちなみに、はっぴいえんどの諸作中、この曲ほど何度もモデル・チェンジした楽曲もなくて。セカンド・アルバム『風街ろまん』収録の8ビート・ヴァージョンにはじまり、フィル・スペクターがプロデュースしたクリスタルズの「ダ・ドゥ・ロン・ロン」のメロディを拝借したポップ・ヴァージョンまで。ライヴで披露されるたびにアレンジが大きく変わっていたものです。今回はその中から、ベスト・アルバム『CITY』に収録されていたシャッフル・ヴァージョンを。
3. 失業手当 / 高田渡&はっぴいえんど

高田渡が1971年にリリースした傑作アルバム『ごあいさつ』からのナンバー。渡さんは基本的にはアコースティック・ギターの弾き語りを基調にしたフォーク・シンガーでしたが、アルバムの中に3曲ほど、はっぴいえんどがバッキングを担当したものが含まれていました。その中からこのルーズなブルース・ナンバーをどうぞ。作詞:ラングストン・ヒューズ、訳詞:木島始、作曲:高田渡。
4. 抱きしめたい / はっぴいえんど

1971年にリリースされた、はっぴいえんどの大傑作セカンド・アルバム『風街ろまん』のオープニングを飾っていたナンバーです。作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。トリッキーなイントロからドラム・フィルを経て歌が始まって。松本さんのドラムと細野さんのベースによるタイトなグルーヴと、茂さんのルーズなギター、そして大滝さんの柔軟かつ奔放なヴォーカル・パフォーマンス、すべてが完璧。随所に盛り込まれた“くすぐりネタ”も楽しい名曲でした。
5. かくれんぼ / はっぴいえんど

はっぴいえんどが1970年にリリースしたデビュー・アルバム『はっぴいえんど』からのナンバー。これも作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一です。クロスビー、スティルス&ナッシュに触発されたようなクールな世界観が印象的な1曲でした。当時ライヴでもよく演奏されていた人気曲。
6. 雨あがりのビル街(僕は待ちすぎてとても疲れてしまった) / 遠藤賢司

遠藤賢司が1970年にリリースしたファースト・フル・アルバム『niyago』より。B面1曲目を飾っていた名曲です。大滝さん以外のはっぴいえんど、細野さん、松本さん、茂さんがバッキングを手がけています。もちろん大滝さんもエンケンさんとは当時いろいろ刺激し合っていたようで、はっぴいえんどのライヴでも大滝さんのリード・ヴォーカルでこの曲をカヴァーしたりもしていました。
7. あしたてんきになあれ / はっぴいえんど

アルバム『風街ろまん』より、作詞:松本隆、作曲:細野晴臣によるナンバーです。一連のスタックス・レコード作品に通じる切れ味するどいソウル・グルーヴと、当時の日本のロック・シーンではとても珍しかったファルセットによるヴォーカルがやけにかっこよかったものです。
8. ゼニの効用力について / 加川良

加川良が1971年にリリースしたファースト・アルバム『教訓』の収録曲。ブレヒトに触発されて加川さんが作詞作曲したものです。もちろん、バッキングをはっぴいえんどが担当していました。
9. 相合傘 / はっぴいえんど

サード・アルバム『HAPPY END』より。細野さんが作詞作曲したポップでファンキーなナンバー。その後の細野さんのソロ活動を予見させるサウンドがとても新鮮でした。
10. 朝 / はっぴいえんど

ファースト・アルバム『はっぴいえんど』より。作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。細野晴臣が奏でるアコースティック・ギターだけをバックに大滝さんが穏やかなヴォーカルを聞かせています。これまた後の大滝さんのソロ活動での持ち味を予見させてくれる1曲でした。
11. 愛する人へ / 岡林信康

はっぴいえんどというバンドの名前を一般に広めることになった大きなきっかけのひとつは、当時“フォークの神様”などとも呼ばれていた岡林信康のバック・バンドを彼らがつとめたことでした。岡林信康&はっぴいえんど、という組み合わせに、ぼくたち日本のファンはボブ・ディラン&ザ・バンドのイメージを二重映しにしていたものです。というわけで、そんな岡林さんが1970年にリリースしたアルバム『岡林信康アルバム第二集〜見るまえに跳べ』より、はっぴいえんどがバッキングをつとめたこの曲を。もちろん作詞作曲は岡林信康です。
12. 春よ来い(Live) / はっぴいえんど

1973年9月21日、東京の文教公会堂で行なわれた、はっぴいえんどの解散コンサートからの演奏で今週のプレイリストを締めくくりましょう。その日の模様を記録したライヴ・アルハム『ライブ!! はっぴいえんど』のB面ラストに収められていたヴァージョンです。もともとはファースト・アルバム『はっぴいえんど』のA面1曲目を飾っていたこの曲で、解散ライヴを記録したアルバムのラストを飾るという憎い演出でした。オリジナル・ヴァージョンとは大きく違う、ぐっとファンキーなアレンジがほどこされており、短い活動期間の中ではっぴいえんどがどれほどの勢いで成長したかが聞き取れます。

解説:萩原健太

鈴木茂さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第329回 萩原健太のotonanoラジオ#212

2023/10/24 公開

白井貴子さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

白井貴子さんをゲストに迎えて(その2)

1.

白井貴子

イエスタデイズ ドリーミン

『Pascal』

白井貴子さんをゲストに迎えて(その2)

2.

白井貴子

Mama

『Mama』

白井貴子さんをゲストに迎えて(その2)

3.

白井貴子 & THE CRAZY BOYS

Foolish War

『FLOWER POWER』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#212

『Mama~母親のことを描いた洋楽ヒット集』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. Mom / Meghan Trainor feat. Kelli Trainor

先週に引き続き白井貴子さんをゲストにお迎えした『otonanoラジオ』。お楽しみいただけましたか。番組では白井さん初の著書『ありがとうMama』や新曲「Mama」など、昨年他界なさったお母さまにまつわる白井さんの思いをいろいろお話ししていただきました。というわけで、今週のプレイリストは“ママ”にまつわるセレクション。様々な形でママのこと、母親のことを描いた洋楽ヒットの中からピックアップした12曲です。まず1曲目はメーガン・トレイナーが、母親でもあり大の親友でもある素敵なママへの思いを炸裂させたこのポップ・チューンから。2016年にデジタル・シングルとしてちょこっとヒットしました。フィーチャリングされているケリー・トレイナーというのがママ本人。曲中、電話で会話してます。ちなみにメーガンは自分が母親になった立場から作った「マザー」というシングルを今年の春にリリースして、それもヒットさせました。
2. Your Mama Don't Dance / Loggins & Messina

ケニー・ロギンスとジム・メッシーナがタッグを組んだ人気ロック・デュオが1972年に放ったヒット。日本でも「ママはダンスを踊れない」という邦題のもと、当時けっこうヒットしました。ママはダンスを踊らないし、パパはロックンロールしない、デートをしても夜の10時には帰ってこいと言うし、どこにロックンロールしに行けばいいんだよ…的な、1970年代のティーンエイジャーの気持ちを描いたナンバーです。
3. Mother / Kacey Musgraves

2018年のアルバム『ゴールデン・アワー』に収められていた2分足らずの短い曲。つらい日々の中、ふと母親に思いを馳せる感傷的なバラードです。母を思い、自分を気遣ってくれた母の手の記憶をたどりながら、きっと母親も今、自分のことを思ってくれているんだろうなと感じる瞬間を綴っています。
4. Mama Said / The Shirelles

ぐっと懐かしいポップ・ヒットを。キャロル・キング作の超名曲「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ」で1960年、“全米チャート1位に輝いた初の黒人ガール・グループ”という栄誉を手にしたザ・シレルズが、翌1961年に全米4位にランクさせたナンバー。片想いが実らなかった女の子にママが「いつか素敵な日が来るわよ」と声かけて元気づけてくれます。
5. Mother Popcorn / James Brown

ファンキー大統領、ジェイムス・ブラウンが1969年に放ったヒット。ここでの“マザー”は文字通り“母親”という意味ではなく、女の子のおっきなヒップのことを表わしているのだとか。“ポップコーン”のほうもお菓子の名前ではなく、ダンス・ステップの名前。てことで、ポップコーンを踊るごきげんなヒップの女の子のことを歌ったものです。
6. Mama / Spice Girls

1990年代後半、爆発的人気を誇ったイギリスの5人組ガール・グループ、スパイス・ガールズ。彼女たちが1997年、「フー・ドゥ・ユー・シンク・ユー・アー」との両A面シングルとしてリリースし、本国イギリスだけで当時60万枚を売り上げたヒットです。これまた“母の愛”を歌ったナンバー。ビデオクリップにはメンバー5人それぞれの母親も登場していました。
7. Mama's Pearl / Jackson 5

幼きマイケル・ジャクソンをフロントに据えたジャクソン・ファイブが1971年に放ったヒット。日本では「ママの真珠」というまっすぐな直訳タイトルでリリースされていました。ぼくは恥ずかしながらこの曲の歌詞を今ひとつよく理解できないまま現在に至ってしまっているのですが(笑)、たぶんママから真珠のように大切に思われている女の子との幼い恋の模様を描いた曲…のような気がしてます。知らんけど。
8. Your Mother Should Know / The Beatles

“マザー”という言葉が歌詞に出てくるビートルズの曲でいちばん有名なのは、たぶん「レット・イット・ビー」かなとも思うのですが。あの曲の冒頭に出てくる“マザー・メアリー”は“聖母マリア”のことを表わしているので、今回はストレートに“君のお母さん”のことを歌ったこちらの曲を。君のママが生まれる前の古い曲に合わせて踊ろうよ…と歌うオールド・タイミーな名曲です。
9. Mother / Ashanti

ずばり“マザー”というタイトルの曲はいくつかあって。すでにこのプレイリストでもケイシー・マスグレイヴスの「マザー」が登場しているし、前曲からのビートルズつながりで言うとジョン・レノンの「マザー」という強烈な曲もありますが。今回はもう1曲、アシャンティによる2008年のこちらのナンバーを。ベイビーフェイスのプロデュースで、母親の強さや、母親からの限りない愛を歌ったメロウ・チューンです。
10. A Real Mother for Ya / Johnny Guitar Watson

強烈なファンク・ブルースでおなじみ、ジョニー・ギター・ワトソンが1977年に放ったヒット。新しい車が買いたいけど高けぇし、親はウソをつくし、赤ん坊は泣くし、ああ神様、これがまじ母親ってもんだ、逃げ出したくなるぜ…みたいな歌詞で。何言ってんだかよくわからないけど、なんとなく人生厳しいなぁ的な?
11. Mama Told Me (Not to Come) / Three Dog Night

1968年に米ロサンゼルスで結成されたスリー・ドッグ・ナイトは、オリジナル曲だけでなく、まだ一般的には認知されていない若手ソングライターの曲を的確にピックアップし、見事なアレンジと歌で極上のポップ・ソングに仕立て上げることにかけちゃ天下一品でした。ローラ・ニーロの「イーライズ・カミン」、ポール・ウィリアムスの「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」、ロジャー・ニコルスの「アウト・イン・ザ・カントリー」、ハリー・ニルソンの「ワン」、ホイト・アクストンの「喜びの世界」など、スリー・ドッグ・ナイトが取り上げたことで知名度を一気に上げたソングライターたちは数知れず。現在はピクサー映画の音楽を手がけたりする大御所になっているランディ・ニューマンも、若き日、スリー・ドッグ・ナイトがこの曲「ママ・トールド・ミー」を1970年にカヴァーしたことで一気に一般的な脚光を浴びました。やばいパーティに足を踏み入れた主人公が、ママが言う通りこんなところに来なければよかった…と後悔しているナンバーです。
12. The Best Day (Taylor’s Version) / Taylor Swift

曲名に“マザー”とか“ママ”とか入っていないけれど、母親のことを歌っている曲というのもたくさんあって。そのうちのひとつを最後にセレクトしてみました。テイラー・スウィフトが2008年に発表した曲。いつも“問題から逃げちゃダメ”と言っていた母親が、テイラーが思春期になったころに、“時には逃げたっていいのよ”と教えてくれたというエピソードから作られた名曲です。

解説:萩原健太

白井貴子さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第328回 萩原健太のotonanoラジオ#211

2023/10/17 公開

白井貴子さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

白井貴子さんをゲストに迎えて(その1)

1.

白井貴子 & THE CRAZY BOYS

Chance!

『FLOWER POWER』

白井貴子さんをゲストに迎えて(その1)

2.

白井貴子 & THE CRAZY BOYS

Checkしてしまった!!

『FLOWER POWER』

白井貴子さんをゲストに迎えて(その1)

3.

白井貴子 & THE CRAZY BOYS

My Glory Road

『FLOWER POWER』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#211

『Talk To Me~1985年の女性アーティスト・ナンバー集』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. Talk To Me / 白井貴子&THE CRAZY BOYS

白井貴子さんをお迎えした『otonanoラジオ』。お楽しみいただけましたか。すごくポジティヴな気分になれましたねー。ごきげんです。今週は11月1日、ついにアナログLPとして蘇る1985年のアルバム『Flower Power』のお話をたっぷりうかがいました。白井さんが盟友クレイジー・ボーイズを率いて、ポップス期からロック期へと移行する瞬間を記録した名盤。ということで、今週のプレイリストはこのアルバムが出た1985年という年に注目します。1985年当時にぼくが大好きで聞いていた女性アーティストによるナンバーをダダッと並べてみました。とはいえ、まず1曲目は白井さんの曲から。『Flower Power』のラストを締めくくっていた作品です。もちろん作詞作曲:白井貴子。時間がなくて番組のほうではかけられなかったのでこちらで。
2. 悲しいボーイフレンド / 渡辺美里

1985年は渡辺美里デビューの年でもありました。というわけで彼女のデビュー・アルバム『eyes』から、作詞作曲:大江千里によるこのナンバーを。
3. SUGAR TOWNはさよならの町 / 松任谷由実

あのころ、年末になるとユーミンだったなぁ…。松任谷由実が1985年の暮れにリリースしたアルバム『DA・DI・DA (ダ・ディ・ダ)』より、この曲を。作詞作曲:松任谷由実。
4. AXIA 〜かなしいことり〜 / 斉藤由貴

斉藤由貴のデビューもこの年、1985年。松本隆=筒美京平コンビニよるデビュー・シングル「卒業」も超名曲だったけど、カセットテープのCMイメージソングとして使われていたこの曲も大好きだったなぁ。作詞作曲:銀色夏生。ファースト・アルバム『AXIA』の収録曲でした。
5. ガールズ, ブラボー! / REBECCA

NOKKOがフロントを張っていたスーパー・バンド、REBECCAの大ヒット・シングル「フレンズ」のB面に収められていたナンバーです。個人的にはこっちのほうが断然好きだったっけ。作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫。
6. WELCOME BACK TO MY HEART / 薬師丸ひろ子

薬師丸さんのセカンド・アルバム『夢十話』より。竹内まりやによる英語詞にヒットメイカー、井上大輔が曲をつけたナンバー。1985年の夏、こればっかり聞いていました(笑)。
7. I・E・S・P (アイ・エスパー) / PSY・S

CHAKAこと安則まみの歌声と、フェアライトを駆使した松浦雅也ならではの最尖鋭サウンドが合体したポップ・ユニット、PSY・Sのファースト・アルバム『DIFFERENT VIEW』のリリースも1985年でした。その中からとりわけポップなこの曲を。作詞:高橋修、作曲:松浦雅也。
8. カレンダーにイニシャル / 菊池桃子

林哲司の全面サポートの下、従来のアイドルとはまたひと味違う音作りで独自の活動を見せてくれていた桃ちゃん。1985年にリリースされたセカンド・アルバム『TROPIC of CAPRICORN 〜南回帰線〜』の収録曲です。作詞:秋元康、作曲:林哲司。
9. 涙の茉莉花LOVE / 河合その子

しかし、ここまで登場してきた桃ちゃんにせよ、斉藤由貴にせよ、薬師丸さんにせよ、1985年ってアイドル・ポップの変わり目だったかも。しかも、おニャン子クラブのデビューの年でもあって。ぼくもアイドル・ポップばっかり聞いてた覚えが…(笑)。おニャン子の名作ファースト・アルバム『KICK OFF』もよく聞きました。加えて、そのメンバーから河合その子がいち早くソロ・デビュー。このデビュー・シングルも1985年秋の思い出です。作詞:T2、作曲:後藤次利。
10. Be True / 中村あゆみ

白井貴子さんとともに1980年代を代表するロック・クイーンのひとり、中村あゆみの代表的ヒット「翼の折れたエンジェル」も1985年のナンバーでした。その曲を含むセカンド・アルバムの表題曲をどうぞ。作詞作曲:高橋研。
11. 鎌倉物語 / サザンオールスターズ

これはちょっと変化球っぽいけど。サザンオールスターズの紅一点、ハラボーの歌声も。1985年の2枚組大作『KAMAKURA』より。最近、例のファストファッションブランドのテレビCMでもまた使われてます。懐かしい…。
12. ボーイの季節 / 松田聖子

でもって、ラストは聖子ちゃん。1981年からずっと聖子ちゃんの作詞を担当してきた松本隆が作家陣から引いたのが1985年でした。ということでこの曲も作詞作曲は尾崎亜美。神田正輝との結婚直前にリリースされたシングルです。

解説:萩原健太

白井貴子さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第328回 萩原健太のotonanoラジオ#210

2023/10/10 公開

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その2)

1.

松尾清憲

ムーンライト ランデヴー

『Help! Help! Help!』

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その2)

2.

Piccadilly Circus

恋の道化師~メリー・ゴーラウンド

『Piccadilly Circus』

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その2)

3.

Piccadilly Circus

Dreamer (You're not the only one)

『Piccadilly Circus』

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その2)

4.

BOX

エミリーのいない週末

『Journey To Your Heart』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#210

『マイ・フェイヴァリット松尾清憲[ストリーミング厳選ベスト2023]』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. Nobody But You / 松尾清憲

先週に引き続き松尾清憲さんをゲストにお招きした『otonanoラジオ』。松尾さんとのポップス談義は本当に楽しいです。というわけで、今週のプレイリストは松尾さんスペシャル。松尾さんがリリースした様々な音源から、ぼくの好き曲を12曲、ざくっと並べてみました。といっても、松尾さんのソロ・アルバムを含む過去作品、実はあんまりストリーミングされていなくて。ソロ・デビュー作『SIDE EFFECTS-恋の副作用-』をはじめとするポリドール在籍期の3作とか、ストレンジ・デイズ在籍期の何作かとか、ピカデリー・サーカスの諸作とか、全滅。なぜだ!? ということで、限られた音源からのベスト選曲って感じではありますが。それでも問題なし。いい曲ぞろい。松尾マジックを存分にお楽しみいただけるか、と。てことで、まずは2015年に発表されたソロ・アルバム『THIS TINY WORLD』からのナンバーでスタートしましょう。もちろん作詞作曲:松尾清憲です。
2. グッバイ・ガール / 松尾清憲

続いては2000年のEP『Brain Park』より。作詞:直枝政太郎、作曲:松尾清憲によるナンバーです。
3. 電話・電話・電話 / シネマ

ぐっと時代をさかのぼって、1981年。松尾さんがメンバーとしてプロ・デビューを飾ることになったバンド、シネマのデビュー・アルバム『MOTION PICTURE』からの曲を。もちろん作詞作曲は松尾さんです。
4. ヒットメーカーの悲劇 / Box

杉真理とのゴールデン・コンビによる痛快バンド、Boxの曲です。1988年のファースト・アルバム『BOX POPS』より。作詞作曲:松尾清憲&杉真理。
5. 何マイルも離れて / 鈴木マツヲ

杉さんとのコラボに続いては、最新作、鈴木慶一さんとのコラボによる鈴木マツヲの曲もお届け。今年リリースされた傑作アルバム『ONE HIT WONDER』より、作詞作曲:松尾清憲の作品を。
6. 彼女はそれを我慢出来ない / 松尾清憲

慶一さんと松尾さんは、鈴木マツヲだけでなく、松尾さんのデビューのきっかけとなったシネマのときとか、いろいろな機会にコラボなさってきています。そのうちのひとつを。2000年のEP『Passion Glory』に収められていた作詞:鈴木慶一、作曲:松尾清憲というソングライター・コンビによる作品です。
7. It's A Parallel World / シネマ

2014年に、慶一さんはもちろん、元メンバーの鈴木さえ子さん、さらにはスカートの澤部渡くんなどを迎えて制作された再結成シネマによるアルバム『サイエンス・フィクション・マン』からのナンバー。作詞作曲:松尾清憲。アルバムのラストを飾っていた1曲です。
8. My Tiny World(duet with 星野みちる) / 松尾清憲

杉さん、慶一さんをはじめ、他にも藤真利子さんとか、平松愛理さんとか、甲斐よしひろさんとか、いろいろなシンガーとデュエットしてきた松尾さん。ということで、このプレイリストにもデュエットものをひとつセレクトしておきましょう。前出のアルバム、2015年の『THIS TINY WORLD』のタイトル・チューン。星野みちるさんとのコラボです。作詞作曲:松尾清憲。ちなみに星野さんは同年、松尾さんのソロ・デビュー・シングルでもある超名曲「愛しのロージー」をカヴァーしたりもしていました。しかし、松尾さんの「ロージー」はストリーミングされてないんだよなぁ…。残念!
9. 僕が蒸気のようにとろけたら / 松尾清憲

2002年のアルバム『HELLO SHAKESPEARE』より。作詞:サエキけんぞう、作曲:松尾清憲。
10. GALAXY LOVERS / シネマ

シネマをもう1曲。2007年、26年ぶりにリリースされたセカンド・アルバム『CINEMA RETURNS』の収録曲です。作詞:松尾清憲&掛川陽介、作曲:松尾清憲、プロデュースはもちろん鈴木慶一。
11. 雨のスペースロケット / 松尾清憲

2018年のアルバム『All the World is Made of Stories』より。作詞:姫乃たま、作曲:松尾清憲。
12. My Heaven / Box

そして、ラストはBoxで。1990年のセカンド・アルバム『JOURNEY TO YOUR HEART』の収録曲。作詞作曲はもちろん杉真理&松尾清憲。ビートルズへのオマージュ・バンドというイメージの強いBoxですが、より幅広い音楽性を反映したグループだったことを思い知らせてくれる1曲です。

解説:萩原健太

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第327回 萩原健太のotonanoラジオ#209

2023/10/03 公開

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その1)

1.

鈴木マツヲ

昼顔という名の街

『ONE HIT WONDER』

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その1)

2.

CINEMA

クリーム・ソーダ・ベイビー

『GOLDEN☆BEST / シネマ』

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その1)

3.

CINEMA

雨のチャイナタウン

『GOLDEN☆BEST / シネマ』

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その1)

4.

BOX

Temptation Girl

『BOX POPS』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#209

『One Hit Wonder ~素晴らしき一発屋の世界~[1963-1974]』

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1. Mockingbird / Inez & Charlie Foxx

松尾清憲さんをお迎えした『otonanoラジオ』。松尾さん、ほんと話が尽きません(笑)。また来週もこのノリで楽しいお話が聞けそう。楽しみです。番組内でも触れた通り、松尾さんは鈴木慶一さんと組んだユニット“鈴木マツヲ”でアルバム『ワン・ヒット・ワンダー』をリリースしたばかりですが。この“ワン・ヒット・ワンダー”というのは特大のヒット曲をかっとばしたにもかかわらず、不思議なことにそのヒット1曲だけを残してチャートから忽然と姿を消してしまったアーティストたち、そう、いわゆる一発屋のこと。時代時代の空気感を音溝に刻み込みながら作り捨て/聞き捨ての勢いでシーンを駆け抜けてゆくのがポップ・ミュージックなのだとすれば、ある意味“ワン・ヒット・ワンダー”はそんなポップ・ミュージックの極みなわけで。一発ヒット屋にはなんだか奇妙なロマンがありますよ。けど、忘れちゃならないのは、いくら一発屋とはいえ、少なくともその一発は間違いなくどでかい一発だったってこと。完成度はともあれ、衝撃度、ポップ度、楽しさなど、もろもろの面で明らかに抜きんでた作品ばかりなのです。だからこその大ヒット。バカにはできない。というわけで、今週のプレイリストはそんなワン・ヒット・ワンダーに着目。まず、今からちょうど50年前の1963年に立ち返って、そこから毎年1曲ずつ、その年を代表する一発ヒットを1974年まで、全12曲、年代順に並べてみました。松尾さんも慶一さんも多感な時期に浴びるほど聞いたヒット曲ばかりだと思います。スタートは1963年の1曲。ソロR&Bシンガーとしても活躍したイネス・フォックスがお兄ちゃんのチャーリーと組んで1963年に全米7位にランクさせた大ヒット「モッキンバード」です。イネスさんはその後もソロで、あるいはデュオでたくさんのシングルを出したものの、どれも全米トップ40入りできず。ワン・ヒット・ワンダーとなってしまったのでした。
2. Little Honda / Hondells

1964年のワン・ヒット・ワンダー代表は、プロデューサー/ソングライターのゲイリー・アッシャーがでっちあげたホットロッド・グループ、ホンデルズの「リトル・ホンダ」です。実際にはグレン・キャンベル、トミー・テデスコら腕ききセッション・ミュージシャンによる演奏。ビーチ・ボーイズのナンバーをカヴァーして1964年、全米9位にランクしました。以降も1970年ごろまでたくさんシングルをリリースし続けたものの、どれも全米トップ40入りできずじまいでした。
3. The Boy From New York City / The Ad Libs

後にマンハッタン・トランスファーのカヴァーでリヴァイヴァル・ヒットした「ニューヨークの少年」。そのオリジナルが本曲です。ニュージャージーで結成されたポップR&Bヴォーカル・グループ、アド・リブズが放った唯一の全米トップ40ヒット。1965年に全米7位にランクしました。もちろん後続のトップ40ヒットなし。
4. They're Coming To Take Me Away, Ha-Haaa! / Napoleon XIV

鈴木マツヲもコンサートでカヴァーした最強/最凶/最狂の一発ヒット曲(笑)。以前、ノヴェルティ・ソングを集めたプレイリストにも選曲したことがありました。レコーディング・エンジニアのジュリー・サミュエルズが、ナポレオンの末裔“ナボレオン14世”を名乗って1966年にお遊びで録音した1曲。愛犬に去られた男が精神に異常をきたしてクレイジーな世界へと突入していく、なんともイカれたナンバーで、当時ことごとく放送禁止処分を受けたものの、それがまた話題を呼び全米3位にランクすることになりました。邦題は「狂ったナポレオン,ヒヒ,ハハ…」。ヴァリ・スピードを駆使したレコーディングがいかにもエンジニアならでは。
5. Sunshine Girl / The Parade

1960年代後半のサンシャイン・ポップを代表する1曲。ロサンゼルスで結成されたグループ、パレードの唯一のヒットです。1967年に全米20位にランクしました。その後、数枚のシングルをリリースしたもののヒットしないまま解散。メンバーそれぞれの音楽活動に入りました。
6. Green Tambourine / The Lemon Pipers

米オハイオ生まれの4人と、1人の英ロンドン生まれによって結成されたバンド、レモン・パイパーズが1967年にリリースした唯一の大ヒット。シタールや東洋調のパーカッション、ジェット・マシーンによるスペイシーな音像処理など当時大いに盛り上がっていたサイケデリック・ロック的要素と、ポップでキャッチーなピアノやストリングスとを大胆に絡み合わせた鉄壁のサイケデリック・バブルガム・ポップです。作曲とプロデュースを手がけたのは売れっ子プロデューサーだったポール・レカ。彼の思惑は見事当たり、翌1968年にかけて見事全米1位に輝きました。“ドラッグ漬けで録音されたのではないか?”との憶測も巻き起こりセールスに拍車をかけたものの、後続ヒットにはつながりませんでした。
7. In The Year 2525 (Exordium & Terminus) / Zager And Evans

デニー・ゼイガーとリック・エヴァンスが米ネブラスカで結成したフォーク・ポップ・デュオ、ゼーガー&エヴァンスによる特大ヒット曲。もともとは1968年、ローカル・レーベルからリリースされたものでしたが、翌年RCAが全米に向けて配給。人類の未来への警鐘とも言うべき歌詞が大いに話題を呼び、全米チャートではもちろん、世界各国で1位に輝いた。メランコリックなメロディが受け日本でも「西暦2525年」の邦題とともに大ヒットを記録しました。ゼーガー&エヴァンスはその後もシングル、アルバムを数枚リリースしたが、本曲のイメージがあまりにも強すぎたか、結局全米チャートにまったく足跡を残すことはできず。ワン・ヒット・ワンダーの王様です。
8. Vehicle / The Ides Of March

「アイ・オヴ・ザ・タイガー」をはじめ、やがて多くのビッグ・ヒットを飛ばすことになるハード・ロック・グループ、サヴァイヴァーのメンバーとしても知られるジム・ペテリックが、若き日に結成していたブラス・ポップ・グループがアイズ・オヴ・マーチ。もともとはブリティッシュ・ビート・バンドに影響を受けたポップ・バンドとしてシカゴを本拠地に1966年ごろから活動していましたが、なかなか大ヒット・シングルが出なかったこともあり路線変更。ホーン・セクションをバンドに導入し、当時ブームになりかけていたブラス・ポップ/ブラス・ロック・バンドへと転身しました。このモデルチェンジが奏功し、1970年になってついに本曲「ビークル」で全米2位の座をゲットしました。が、その後は全米トップ40入りするヒットを出せない状況に逆戻り。バンドは解散し、メンバーそれぞれの活動に入りました。
9. Put Your Hand In The Hand / Ocean

本曲はもともとカナダを代表する歌姫アン・マレーが1970年、彼女のサード・アルバム『ハニー、ホイート・アンド・ラフター』に収めたポップ・ゴスペル・ナンバー。それを同郷のグループ、オーシャンが1971年にカヴァーしシングルとしてリリース。本国カナダで10位、アメリカで最高2位に達するヒットにしました。オーシャンはザ・バンドのロビー・ロバートソン作品を取り上げたり、イギリスの人気ソングライター・コンビ、ロジャー・クック&ロジャー・グリーナウェイに曲を依頼したり、様々な試行錯誤を続けましたが、結局はその後カナダでもアメリカでも小ヒットしか飛ばせず、アルバム2枚を残したのみで1975年に解散してしまいました。邦題は「サインはピース」。
10. Dancing In The Moonlight / King Harvest

のちにビーチ・ボーイズ人脈とも組んで多くの仕事をこなすロン・アルトバックを含む米仏混合バンド、キング・ハーヴェストが1972年に放った唯一のヒット曲です。全米13位。アルトバックがイントロで弾いているウーリッツァのエレクトリック・ピアノのサウンドがとても印象的な1曲です。が、他のシングルは次作「ア・リトル・ビット・ライク・マジック」が90位台にランクされたのみでした。
11. The Night The Lights Went Out In Georgia / Vicki Lawrence

女優さんとして知られるヴィッキー・ローレンスが1973年、見事全米ナンバーワンに送り込んだ大ヒット曲。邦題は「ジョージアの灯は消えて」。作者はヴィッキーさんの当時の旦那さま、名ソングライターのボビー・ラッセルです。本職は女優さんとはいえ、けっこうたくさんレコードを出しているのですが、トップ40入りしたのはこの曲のみ。
12. Beach Baby / The First Class

ワン・ヒット・ワンダーを語るうえで、絶対に忘れてはいけない存在がトニー・バロウズです。というのも、なんとこの人、5曲の一発ヒットを持つ男なのでした。5曲の一発ヒットって、なんだそれは、と思う方もいらっしゃると思いますが。この人、著名なイギリスのスタジオ・セッション・シンガーで。1960年後半〜70年代前半、イギリスのポップ・シーンで様々な架空のスタジオ・バンドみたいなやつが大流行した際、いろんなバンドのリード・シンガー役を担当。そんな中、エディソン・ライトハウスの「恋のほのお(Love Grows)」とか、ホワイト・プレインズの「恋に恋して(My Baby Loves Lovin')」とか、ピプキンズの「ギミ・ダッ・ディン」とか、ブラザーフッド・オヴ・マンの「二人だけの世界(United We Stand)」とかが1970年にそれぞれヒット。すべて全米チャートでもトップ20入りを果たしました。これら、歌っているのはすべてトニー・バロウズながら、すべて別アーティスト名義でのリリースだったうえ、どのアーティストも全米チャートで後続のトップ40ヒットを生み出すことができなかったもんで、彼は1970年になんと4曲の一発ヒットを放った“歌声”となったわけです。すごい。そんなバロウズさんが1974年、もういっちょ放った一発ヒットが本曲、ファースト・クラスの「ビーチ・ベイビー」なのでありました。作者であるイギリスのソングライター/プロデューサー、ジョン・カーターがトニー・バロウズとチャス・ミルズというスタジオ・セッション・シンガー2人を召集。バロウズを中心に3人でビーチ・ボーイズばりのコーラスをしまくりながらレコーディングを行ない、“ファースト・クラス”という架空のバンド名の下リリースしたところ全米チャート4位まで上昇する大ヒットに。が、その後、後続のトップ40ヒットを生み出すことはできず、これまためでたくトニー・バロウズにとって別名義グループによる5つ目の一発ヒットとあいなってしまったのでありました。

解説:萩原健太

松尾清憲さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第326回 萩原健太のotonanoラジオ#208

2023/09/26 公開

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

1.

クレイジーケンバンド

横浜美味礼賛

『世界』

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

2.

クレイジーケンバンド

Sweet Vibration - CKB tune -

『世界』

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

3.

クレイジーケンバンド

レコードの日

『世界』

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

4.

クレイジーケンバンド

TERIYAKI

『世界』

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

5.

クレイジーケンバンド

SHHH!

『世界』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#208

『CKB<世界>にインスパイア!“世界“がタイトルに入った曲集[邦楽編]』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. 新世界の夜 / 佐野元春 & THE COYOTE BAND

先週に引き続きクレイジーケンバンド横山剣さんをゲストに迎えた『otonanoラジオ』。傑作ニュー・アルバム『世界』についてあれこれうかがいました。楽しんでいただけましたか? ということで、こちらのプレイリストのほうも先週に引き続き“世界”というワードにこだわってみました。先週は“世界”という単語がタイトル、しかも邦題に含まれている洋楽ナンバーを集めてお届けしましたが、今週はその邦楽編。“世界”という単語がタイトルに含まれている日本の楽曲集です。といっても“世界”という言葉が使われた楽曲は本当にたくさん、無数にあるもんで。その中からごくごく一部、ぼくがパッと思いついた個人的フェイバリット・ナンバーを12曲、とりいそぎ並べてみました。今週のワールド・ヒットパレード! お楽しみください。まずは佐野元春さんのこの曲から。2015年のアルバム『BLOOD MOON』の収録曲です。
2. 世界は僕のもの / 堂島孝平

堂島くんが1997年にリリースした4作目、アルバム・タイトルにも“世界”が入った『すてきな世界』の収録曲。アルバム・リリースに先駆けてシングルとしてもカットされたポップな名曲です。
3. ふたりの世界 / あいみょん

あいみょんがメジャーからリリースした最初のアルバム、2017年の『青春のエキサイトメント』より。最初聞いたとき、すげえ歌詞書くなぁ…と思ったものです。
4. 世界が終わる夜に / チャットモンチー

2007年にリリースされたチャットモンチー5枚目のシングル。「とび魚のバタフライ」との両A面扱いだったような…。映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の主題歌でした。
5. 世界が見たい / 踊ってばかりの国

2011年リリースのセカンド・フル・アルバムのタイトル・チューン。アメリカ文化への憧れとか、背中合わせに存在する妬みとかを対象化しようとした1曲だとか。深いテーマだ…。
6. 世界は踊るよ、君と。 / 羊毛とおはな

アコースティック・デュオ、羊毛とおはなが2011年にリリースしたナンバー。アニメ『異国迷路のクロワーゼ The Animation』の主題歌でした。
7. 愛ある世界 / ザ・コレクターズ

コレクターズには「世界を止めて」という代表曲もありますが。今回はこちらのほうを。「世界を止めて」も収録されていた1993年のアルバム『UFO CLUV』からのナンバーです。
8. その後の世界 / YO-KING

YO-KINGも真心ブラザーズ時代から“世界”という言葉が入った曲をいくつか歌ってきていますが。今回は1999年のアルバム『DEFROSTER ROCK』に収められていたこの曲を。
9. さよならの無い世界 / 大橋トリオ

去年デジタル・リリースされたシングル曲。TVドラマ『さよならの向う側』の主題歌でした。間奏のサイケなストリングスが印象的。
10. 終わらない世界で / Daoko

2018年のアルバム『私的旅行』のオープニング・チューン。ゲームの主題歌だったかな?
11. 光の世界 / 桑田佳祐 & 奥田民生

Act Against AIDSのコンサート用に1993年に作られた曲。ライヴでは桑田佳祐、奥田民生、宮田和弥、奥居香という豪華な顔ぶれで歌われましたが、今回は桑田佳祐が2002年にリリースしたソロ・ベスト『TOP OF THE POPS』に収められていた桑田&奥田のデュエット・ヴァージョンで。
12. 世界中の人に自慢したいよ / 忌野清志郎

最後は清志郎さんが1996年にシングルでリリースした必殺のバラードを。

解説:萩原健太

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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