私が欲しいレコード

幻の名盤から架空の一枚まで。今聴きたい、今欲しいレコードを、各界のレコード愛好家のみなさまに、自由な発想で綴っていただきます。

第6回【浦風親方】 公財法人日本相撲協会/aka DJ敷島
第6回【浦風親方】 公財法人日本相撲協会/aka DJ敷島

大人のエロさ、危険さ、儚さが滲み出てくるような禁断の偏愛、変愛な曲ばかりを集めた一枚が聴きたい!最近特に思います。



 私が中学三年の時、美術の時間にレコードジャケットを作るという授業がありました。当時、同じクラスの男子は洋楽を聴く人間が多く、その頃活躍していたアーティストはホール&オーツ、プリンス、マドンナ等々、たっぷりな人材ばかりでした。

 多くの学友は洋楽のアーティストの発売されているジャケットを丸写しで描いておりました。私も洋楽は聴いていたし、フィル・コリンズの『ノー・ジャケット・リクワイアド(フィル・コリンズIII)』を描こうかなと思ったのですが、出てないものでもなんでもいいからと美術の先生が言うので、それなら!と、GBという雑誌に「ALL TOGETHER NOW」という国立競技場で行われたイベントの記事に興奮し胸ときめかせ、ラジオで放送されたのを録音し繰り返し聴いており、それならこのイベントのレコードジャケットを作ろう!と制作に取り掛かりました。

 と言っても結局は中学三年生の考える仮想のレコードジャケット。白地にこのタイトルを3段に分け、その隙間隙間にGBから切り抜いた写真を貼り、裏面には出演アーティストの名前と演奏曲を羅列という捻りも何もないものでした。しかしこのアルバムは俺しか持ってない俺だけのものだ!と、一人興奮していたのを覚えています。

 我ながらいろんなものを聴いてきたなぁと思っているのですが、最近特に原点回帰している聴き方をしている気がします。昔は歌唱力が抜群にある方々がたくさんいらっしゃいました。だからといって今のアーティストの方々が下手だとは言っておりませんが、歌が上手くても、昔と違って悲哀やエロさがまったく匂ってこないアーティストの方々が多いなと。禁断の愛を謳う曲が少なくなったのではないかと。というか皆無に近い状況だと思っています。

 片思い的な歌は今でも歌われることは多いですが、絶賛不倫中な歌は今まったくないですよね。時代がそれを否定する空気なんでしょうけど。でも山下達郎さんは、不倫の曲を歌えてこそ一人前なことを仰っていた記憶があります。ご自身もそういう曲を作られているし歌っていらっしゃるし、その意を汲む最たるアーティストは鈴木雅之さんだと思っております。

 今私が望むのは不倫アルバムがあったらなぁと。不倫がバレると人生が終わるぐらい徹底的に叩かれてしまう今では難しいのかもしれませんが、大人のエロさ、危険さ、儚さが滲み出てくるような禁断の偏愛、変愛な曲ばかりを集めた一枚が聴きたい!最近特に思います。それも男性アーティストだけ、女性アーティストだけと分けていただいて発売していただくと嬉しいなぁ。歌が上手いだけでなく、エロいことを基本に私が男性版をプロデュースするなら達郎さんはマストだし、鈴木雅之さん、松崎しげるさん、布施明さん、山本達彦さんは絶対。SKOOPのTAKEさんもいいなぁ。女性版は竹内まりやさんを筆頭に八神純子さんを入れてあと誰にしよ?妄想が止まらなくなってしまうなぁ…。






●浦風冨道(元・幕内西前頭筆頭 敷島)

公財法人日本相撲協会の親方で審判委員をしつつ、執筆活動、DJ、ボーカリスト、旨食探索人としても活動している快楽欲求自由人。


公財法人日本相撲協会: www.sumo.or.jp


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