ジャズメガネのセンチなジャズの旅

28.「スター・ダスト/山本剛トリオ・ウィズ・ザ・ストリングス」1977年録音
28.「スター・ダスト/山本剛トリオ・ウィズ・ザ・ストリングス」1977年録音

  いつ頃からだろう、ウィズ・ストリングスのジャズを愛するようになったのは。大学時代にビリー・ホリデイの「レディ・イン・サテン」を聞いて涙していたのは覚えているから、その頃かもしれない。それ以前は硬派のジャズ・アルバムしか買う余裕がなかったので、1977年にこの山本剛のストリングス・アルバムを聞くこともなかった。
 ストリングスは甘口で、ソロ部分も短い。アドリブのコピーの対象にもならないし、ジャズ界では企画物として扱われやすいが、チャーリー・パーカーやクリフォード・ブラウン、渡辺貞夫さんや日野皓正さん、と愛されるアルバムは多い。このアルバムも本当に美しい。エロール・ガーナー的なコード・ワークに柔らかなストリングス。まさにしとやかに、華麗に、だ。弦アレンジはギタリストの横内章次さん。


text & cut by Kozo Watanabe