ジャズメガネのセンチなジャズの旅

20.「ステップ!/宮本直介セクステット」1973年録音
20.「ステップ!/宮本直介セクステット」1973年録音

  TBMを知り始めた高校生の頃、全く聞いたこともない名前のジャズメンのリーダー・アルバムが発売されていたのが不思議だった。有名ミュージシャンのサイドメンは良く知っていたし、東京にもたまに遊びに行き、ピットインの朝、昼に出ているような若手の名前も知っていた。なのにTBMから出していた二人の名前は知らなかった。和田直と宮本直介だ。それもそのはずだ。和田は名古屋在住のギタリスト。宮本は大阪在住のベーシストだったのだ。

  TBMは地方在住のジャズメンにも録音の機会を与えた。名前は知らないが、ジャケットが二人ともとてもカッコ良かったのが印象に残っている。そして、当時これらの音を静岡のすみやで試聴した。ぶっ飛んだ。どちらも黒いカッコいいサウンドだったのだ。そしてどちらもサイドメンに学生を起用していた。吹奏楽しかやっていない僕は叩きのめされるようだった。数年上の大学生が海外アーティストの様な録音を残している。僕のジャズに対するやる気を焚きつけたのはこの二人のアルバムだったのかもしれない。

text & cut by Kozo Watanabe