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1970年生まれ(昭和45年生まれ)のotonano編集部員が語る80年代洋楽体験記

80年代洋楽メガヒット!PARADISE - MEGA HITS '80s連載企画①


バグルス『プラスティックの中の未来』

バグルス『プラスティックの中の未来』

Universal Music

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MTV開局。80sヒット革命!



  1981年8月1日、一日中ミュージックビデオ(以下MV)を流し続ける“MTV”が、アメリカのケーブルテレビで開局した。記念すべき放映1曲目は、英国の鬼才トレヴァー・ホーン率いるバグルスの「ラジオ・スターの悲劇(Video Killed The Radio Star)」。MVの出現により仕事を奪われたミュージシャンの哀歌だった。 全米ヒットの法則=ラジオ×地道なライブ活動をたった一日で覆したこのヒット革命は、以降世界共通の絶対的な音楽プロモーション手段となった。

  イギリスのアーティストたちは映像を通じてユーザーの目に届けさえすれば、楽器を持って大西洋を渡る必要はなくなった。元々ビジュアル表現に長けていたイギリスのミュージシャンはこぞってMV制作に力を注いだ。ヒューマン・リーグ、デュラン・デュラン、カルチャー・クラブ、ワム!らがアメリカで大成功を収めた現象は、60年代にイギリスのアーティストが大挙北米大陸に押し寄せたビートルズ、ローリング・ストーンズ以来の“第2次ブリティッシュインヴェイジョン”ともてはやされ、多くのスターがブラウン管から生まれていくことになる。

 

VJ小林克也の『ベストヒットUSA』放送開始!


VJ小林克也の『ベストヒットUSA』

『ベストヒットUSA』

BS朝日ほか放送中(毎週金曜よる11:00~11:24ほか)

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  アメリカの“MTV”開局と同年、1981年にテレビ朝日系でスタートしたのが『ベストヒットUSA』だった。VJ小林克也の流暢な英語による軽快なトークが、本場アメリカの空気を伝え、土曜深夜の人気番組となった。ヴェイパー・トレイルズ「サーフサイド・フリーウェイ」に乗ってLPジャケットがパタパタとドミノのように映されるオープニング、最新全米チャートのカウントダウン、来日アーティストをスタジオに招いてのインタビュー、過去の音楽シーンを振り返る「タイムマシーン」コーナーなどツボをおさえた内容は、深夜のワクワク感をかきたて、情報源が少なかったあの時代の洋楽勉強にも役だった。VJ(ビデオジョッキー)という聞き慣れない呼び名を『ベストヒットUSA』で知ったリスナーも少なくない。


マイケル・ジャクソン『スリラー』(1982)

マイケル・ジャクソン『スリラー』

Sony Music Labels

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気がつけば“MTV”と“MV”が同義語



  洋楽番組もたくさん生まれた。『ベストヒットUSA』を筆頭に、ピーター・バラカンの切り口が鋭い『ポッパーズMTV』(TBS系)、週末にMVを3時間半もひたすらオンエアし続けた『SONY MUSIC TV』(TVK系)、現在も放送しているVJ中村真理の『ビルボードトップ40』(TVK)、美人ハーフVJでマイケル富岡を弟に持つシャーリー富岡の『ファンキートマト』(TVK)、萩原健太&光岡ディオンの司会による『MTVジャパン』(TBS系)、日替わりパーソナリティが番組進行する『TOKIO ROCK TV』(テレビ東京系)……横ハマっこの筆者が視聴可能だった洋楽番組は想い出しただけ並べてみても、ズラリ。気がつけば“MTV”と“MV”が同義語となっていた。

  現在BS朝日で復活放送中の『ベストヒットUSA』で懐かしい80年代のMVを見かけたりすると「映像を制する者は音楽をも制する」と言われたあの時代に、映像配信などがあったらどんなに良かったか、と思うことも少なくない。が、鮮明なデジタル記録以上の、自分だけのアナログなセピア記憶をメロディと一緒にたどりながら楽しむことも決して悪くはない。その『ベストヒットUSA』はマイケル・ジャクソンの長編MV「スリラー」を日本初公開したことで番組として知名度をあげたが、マイケルと本家MTVの間で人種をめぐる戦いがあったことを覚えている人はいるだろか。(つづく)

文・安川達也(1970年生まれ/OTONANO編集部)





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