ジャズメガネのセンチなジャズの旅

17.「ギャザリング/辛島文雄トリオ」1977年録音
17.「ギャザリング/辛島文雄トリオ」1977年録音

   最初に見たのは高校生の時。辛島文雄さんは水橋孝カルテットのピア二ストだった。瑞々しかった。切れのいいタッチとモーダルなフレーズ。どんなに早いテンポの曲でも切れの良いリズム感はチック・コリア風であり、目を丸くして驚いた思い出がある。フェンダー・ローズの使い方のセンスも抜群。当時受験生だった僕としては九州大学卒業という経歴にも脱帽したものだった。水橋さんのカルテットはフロントが大友義雄さんでそのフレッシュさが大好きだった。早く大学に入ってこんなグループを組みたいと思っていた。

  辛島さんを最後に聞いたのは2015年12月、ピットインの50周年のコンサート。もうすでに闘病生活に入っていたのだが、ジャズにかける情熱にあふれていた。2017年2月24日。力尽きて他界された。2月14日にもライヴをやられていたとのこと。日本の誇るピアニストを失った悲しみは筆舌に尽くしがたい。合掌。。

text & cut by Kozo Watanabe