NO DAMAGE:歴史的コンピレーション・アルバム発表から30年。

1983年4月21日、歴史的コンピレーション・アルバムが発表された。タイトルは『No Damage』。佐野元春デビューから3年間の音楽創作活動が集約されている。そして発表から30年の時を経て、同時代の奇跡的な音源・映像アーカイブを加え、3枚組(2CD+DVD)の"完全版"でリリースされることとなった。

佐野元春は当時27歳。デビュー直後から、これまでにない全く新しい表現スタイルと次の時代を確実に見据えたような挑戦的で革新的な音楽活動により、"若き革命児""ロック音楽の先駆者"と評されていたが、この完全版では、それがまさに真実だったことを解き明かしており、また、ここに収められている3枚のディスクは、独自の斬新な感覚による"プロダクツ表現""ライヴ(実演)表現""映像表現"がいかに次元の違うレベルで追求されていたかを如実に証明している。

さらに驚くべきは、この10年で確立された"アーカイブ"の概念を、30年前のこの時代に、既にミュージシャン佐野元春が持っていた事だ。この作品に収録されている音源・映像は、残すべくして残されたものだからこそ、長き時を経てもその輝きやエネルギーが全く失われず、むしろ増幅しているのだ。

『NO DAMEGE : DELUXE EDITION』は、アーカイブ作品の領域を遥かに超越した、極めて高い音楽的・文化的価値を有する作品であり、30年前の『No Damage』と同様、この作品が歴史を変えると確信している。

No Damageジャケット
規格:BOXセット、紙ジャケット、3枚組(2CD+DVD)、特製ブックレット(100P)
封入特典: 特製グリーティングカード
CD:全曲最新リマスター音源、BluspecCD2Blu-spec CD2(高品質CD)規格
品番:MHCL 30187-9
価格:¥6,190+税
発売元:ソニー・ミュージックダイレクト
ご好評につき完売いたしました。SOLD OUT

[ライブ・アット・サンプラザ1983]ダイジェスト試聴Part1

[ライブ・アット・サンプラザ1983]ダイジェスト試聴Part2

Disc 1(CD):「No Damage(14のありふれたチャイム達)」

jkt
オリジナル発売日:1983年4月21日
  1. スターダスト・キッズ
  2. ガラスのジェネレーション
  3. サムデイ
  4. モリスンは朝、空港で
  5. イッツ・オーライト
  6. ハッピーマン
  7. グッドバイからはじめよう
  8. アンジェリーナ
  9. ソー・ヤング
  10. シュガータイム
  11. 彼女はデリケート
  12. こんな素敵な日には(On The Special Day)
  13. 情けない週末
  14. バイバイ・ハンディ・ラブ

リリースノート

佐野元春が新たな音楽創作追求のための渡米直前にリリースされ、5月2日付のLPチャートで自身初の1位を獲得。収録曲にはそれまでに発表された3枚のアルバム、『バック・トゥ・ザ・ストリート』『ハートビート』『サムデイ』と、1982年発表の『NIAGARA TRIANGLE VOL.2』(大瀧詠一・杉真理・佐野元春)から14曲を選曲。初期音楽創作活動の集大成的な意味を持たせながら、その一方で作品を貫くコンセプト・ストーリーに合わせ、「グッドバイからはじめよう」「モリスンは朝、空港で」等、一部の楽曲は再レコーディング・再編集が行われるなど、"ベスト盤"とは全く違った、当時はまだ概念として確立していなかった"コンピレーション・アルバム"として完成させた。一つ一つの楽曲をプロダクツ化する際のアプローチを完璧に築き上げたという点で、佐野元春の"プロダクツ表現"の初期完成形と言える。
当然そこには佐野元春3年間の劇的な成長と、そのベースにあった一貫した方向性が窺えると同時に、"シングル""ポップ・ミュージック"等に対しての確固たる考えや強い思い入れが反映されている。
またサブタイトルは、作品の意義がその時代で完結するのではなく、次の時代・世代に受け継がれる事を意図し、未来の日本の音楽への希望と警鐘を込めたメッセージにほかならない。そして、佐野が思い描いた通り、30年後の現在では、収録の14曲をはじめ多くの楽曲がポップ・ミュージックのスタンダードとして、時代・世代を超えて多くのリスナーに愛され続けている。
今回、全曲最新リマスター・高品質(Blu-spec CD2)規格により、作品の力がさらに引き出されており、このアルバムに込められた意志や想いをより強く深く感じ取ることができるはずである。『No Damage』は、さらに未来へと繋がるコンピレーション・アルバムへと生まれ変わったのだ。

Disc 2(CD):『ロックンロール・ナイト ライヴ・アット・サンプラザ 1983』

jkt
1983年3月18日 中野サンプラザホールライヴ
  1. 彼女はデリケート
  2. バック・トゥ・ザ・ストリート
  3. イッツ・オーライト
  4. スターダスト・キッズ
  5. サムデイ
  6. ドゥ・ホワット・ユー・ライク
  7. ガラスのジェネレーション
  8. ソー・ヤング
  9. ハートビート
  10. ロックンロール・ナイト
  11. 悲しきレイディオ
  12. アンジェリーナ
  13. ナイトライフ
  14. グッドバイからはじめよう

リリースノート

佐野元春は"ライヴ表現"の追求においても果敢だった。デビューから2年をかけて、自身の求めるライヴ表現を完遂するためのパーマネントなチーム(バンド)結成に向けたトライアルを続け、1982年、ザ・ハートランドが結成された。
メンバーはG.伊藤銀次、Dr.古田たかし、B.小野田清文、Key.西本明、Key.阿部吉剛、Sax.ダディ柴田。彼らの卓越した演奏技術と、一つ一つの"音"が絶妙に融合し共鳴し合う演奏が、最高のライヴ表現を作り上げることになる。
"佐野元春 WITH THE HEARTLAND"と名付けられたバンドは、この年の1月16日大阪厚生年金会館からスタートした最初のツアー『Welcome to the Heartland Tour』(7月17日まで全41公演)を大成功に収め、ツアー終了からわずか2カ月後、伝説のツアー『Rock & Roll Night Tour』が、1982年9月26日東京厚生年金会館で幕を開けた。ツアーは全国を網羅し、翌1983年3月まで全53公演を敢行。この2つのツアーは、佐野元春が放つ無限のエネルギーに引きつけられるように全会場超満員のオーディエンスで埋め尽くされた。
これらのライヴは、ごく一部だけが断片的に発表されていたが、今年、『Rock & Roll Night Tour』最終公演、1983年3月18日中野サンプラザを全て収録したマルチテープが発見された。音源の状態も良く、直ちにデジタルで取り込まれ、1枚のライヴ・アルバムとして完成させるべく6月から本格的な制作作業が始まった。
制作を託されたのは、佐野元春のサウンド・エンジニアとしてアルバム『サムデイ』以降、多くの作品に携わった坂元達也と、1990年代EPICレーベルで佐野の制作ディレクターとして手腕を発揮した滝瀬茂の二人。
1枚のCDの収録時間80分に、ライヴ音源の持つパワーが最大限吹き込まれるよう試行錯誤が繰り返され、まずは14曲がセレクト。さらに一曲ごとに何度も試聴・精査が繰り返され、ライヴ・アルバムとして収録する際に最も適した形になるよう、数曲は細かい編集作業が行われた。
最終的にトータル時間76分45秒。新たにMIXされたライヴは、当時の臨場感そのままに、エネルギーに溢れ、プレーヤーとオーディエンスの熱気まで伝わってくるような、最高の仕上がりとなった。歴史的ライヴ・アルバムがここに誕生した。
諺のように例えれば"百文は一聴にしかず"。音が鳴り始めると瞬く間に眼前にライヴ会場の光景が広がる。楽器が奏でる音の粒が、佐野のヴォーカルに力強く、楽しげに呼応する。「彼女はデリケート」「アンジェリーナ」では、激しくも心地良いビートの疾走感に鼓動が高まり、「ハートビート」「ロックンロール・ナイト」では、言葉が時に優しく染みわたるように、時に鋭く突き刺さるように心の奥に入り込み魂が揺さぶられ、「サムデイ」「グッドバイからはじめよう」では、耳馴染みのない初期アレンジに驚かされる。
そして、そこから発せられる膨大なエネルギーが空気を支配し、会場全体を包み込む。オーディエンスはエネルギーに圧倒されながらも、声援を送り続ける。ステージ上でのバンドの距離感、プレイヤー・オーディエンスの表情まではっきりとイメージできる、まるで音が映像を連れてくるような感覚に襲われる。これぞ"ライヴ表現"の最高峰を収録した唯一無二のライヴの名盤だ。
ライヴ中MCでは、「このライヴをフォルムで残す」という言葉が収められている。これはDisc3の『フィルム・ノー・ダメージ』のことである。極めて重要なのは、単なる記録としてではなく、アーカイブの本質に則り、意図をもって収録した(残した)ことがこの言葉から解ることだ。佐野元春が音楽表現の先駆者であることが、ここでも証明された形だ。MCに関してもう一つ。最後の曲「グッドバイからはじめよう」の前に、渡米することを正式に発表した。決意・感謝・希望を込めたライヴだったと思わせる凄まじさもこのライヴ盤の随所で感じることができる。

Disc 3(DVD):「Film No Damage」

jkt
1983年製作、約70分
  • 悲しきレイディオ
  • ガラスのジェネレーション
  • グッドバイからはじめよう
  • ハートビート
    スターダスト・キッズ/ソー・ヤング/
    君をさがしている(朝が来るまで)/
    彼女はデリケート
  • ハッピーマン・メドレー
  • ロックンロール・ナイト

リリースノート

MTVもメディアとして普及されておらず、ミュージック・クリップもまだ殆ど無かった時代。1983年に制作された、日本初とも言える本格的長編ロック・ドキュメンタリー・フィルムである。撮影監督は井出情児。彼は日本におけるロック・ドキュメンタリー映像作家の第一人者でありパイオニアと言える人物。そして佐野元春は、自身のドキュメントを撮影して欲しいと自ら井出情児に依頼し、制作が実現した。
当時27歳の佐野元春は、その活動ベースを日本からアメリカへ移そうと考えていた。そして、自分のキャリアを冷静に見つめていた彼は、デビューから3年間のライヴを映像として記録に残す事を思い立ち、多感な時期に見て感動したビートルズの『レット・イット・ビー』、『ウッドストック』、ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』を自らの基準として、ドキュメンタリーとエンターテインメント性の両方を兼ね備えた作品を制作することを決意、1983年3月18日、中野サンプラザホールでのライヴがフィルムに記録された。佐野元春、1980年代初期の姿を映した奇跡のドキュメンタリー、それが『フィルム・ノー・ダメージ』。
街に暮らすティーンエイジャーたちの夢と挫折、経験とイノセンス、熱狂と焦燥。その全てがここにある。
特筆すべきは、この映像作品が世界でも音楽映像メディアが確立される以前に作られた事。この意義は極めて大きい。しかもレコード会社や映画関係者からではなく、ミュージシャンである佐野元春本人からのアイデアであったことは、その後の映像表現の発展やさらに後のアーカイブの発想の原点になると言う点で大いに注目すべき事実である。
佐野元春は、それまでに存在しなかった日本語とビートとの新しい表現を提案し、その斬新なビート、言葉、ヴォーカル・スタイルで、日本のロック・シーンに革新をもたらした。映像表現においても同様で、この作品を足がかりとして、日本初の本格的ビデオ・クリップを制作、広く知られてはいないが、間違いなく"映像表現"における草分けなのである。
この映像作品は、1983年7月から、全国のホールで公開されたが、その後このフィルムの存在が長い間不明となっていた。一昨年、奇跡的にその16mmフィルムが発見され、今回完全デジタル・リマスター化、サウンドもDisc2と同じ坂元達也により再ミックスされ、当時の感動と興奮にさらに磨きをかけて再現。佐野元春を知る世代はもとより、全ての世代に伝えたい青春の普遍性を感じさせるものである。

つまらないオトナにはなりたくない。
佐野元春27歳、80年代初期の若き情熱を映した奇跡のドキュメンタリー、オリジナル1983年公開のフィルムを完全デジタル・リマスタリング!5.1chサラウンドで当時の感動と興奮を再現します。

MOTOHARU SANO ARCHIVES on MOVIE
佐野元春『Film No Damage』
出演:MOTOHARU SANO with The Heartland

本作はまだMTVもミュージック・クリップも殆ど無かった時代の1983年に制作された、日本初とも言える本格的ロック・ドキュメンタリー・フィルムだ。

撮影監督は井出情児。彼は日本におけるロック・ドキュメンタリー映像作家の第一人者でありパイオニアと言える人物。そして佐野元春は、自身のドキュメントを撮影して欲しいと自ら井出情児に依頼し、本作は完成した。

1983年当時、佐野元春は27歳。彼はその活動ベースを日本からアメリカへ移そうと考えていた。自分のキャリアもそう長くは続かないであろうと感じていた彼は、デビューから3年間のライヴを映像として記録しようと思い立った。そして多感な時期に見て感動したザ・ビートルズの『レット・イット・ビー』、『ウッドストック』、ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』を自らの基準として、ドキュメンタリーとエンターテインメント性の両方を兼ね備えた作品を制作したいと考えた。

本作がMTV以前に作られていたという意義はとても大きい。しかもレコード会社や映画関係者からではなく、ミュージシャンである佐野元春本人からのアイディアであったことは、注目に値する事実だ。彼はそれまでに無かった日本語とビートとの新しい表現を提案し、その斬新なビート、言葉、ヴォーカル・スタイルで、日本のロック・シーンに革新をもたらした。

「つまらない大人にはなりたくない」(ガラスのジェネレーション/1980年)

既成の体制や大人たちへの抵抗、新しい価値を生むための若いエネルギー…それらは佐野元春の歌詞の一節、このテーゼに見事に全てが集約されている。

1983年、中野サンプラザでのライヴがフィルムに記録された。佐野元春、1980年代初期の姿を映した奇跡のドキュメンタリー、それが『Film No Damage』だ。街に暮らすティーンエイジャーたちの夢と挫折、経験とイノセンス、熱狂と焦燥。その全てがここにある。

本作は1983年に公開された。16mmフィルムで撮影されたものを、今回、完全デジタル・リマスター化し、5.1chサラウンド・システムによって当時の感動と興奮をさらに磨きをかけて再現。当時の佐野元春を知る世代だけではなく、新しい世代にも伝わる青春の普遍性を感じさせるものだ。まさにレジェンドと呼ばれるに相応しい輝きを放っている。

佐野元春「Film No Damage」インタビュー映像/Interviewer:能地祐子